KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第190回通常国会 総務委員会 2016年3月23日

第190回通常国会
総務委員会 平成28年3月23日
待機児童問題・地域手当について

○林久美子君 民主党の林久美子でございます。限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず、冒頭お伺いしたいのは、待機児童の問題についてでございます。
保育園落ちた日本死ねというブログが非常に大きな影響を与えながら多くの共感の輪が広がり、全国各地で待機児童のお子さんをお持ちのお父さんやお母さんが今声を上げていらっしゃいます。先日は、四万九千人が実際は潜在的な待機児童になっているということも明らかになったところでもございました。
私事で恐縮ですけれども、私自身も初当選のときに子供がまだ一歳十一か月でございまして、子供を抱えながらこの仕事をさせていただいてまいりましたけれども、やはり認可外の保育所にしか入れなかったり、時には一時預かりで何とか乗り切ったりということで、本当に保育所に入ることの難しさとか、その一方で、保育士の先生方が一生懸命子供に向き合ってくださっているということを痛感しながら私自身も仕事を続けてくることができたわけでございます。
その非常に子供の基礎をつくる大事な就学前の保育、教育がこれだけ大きな問題になっている。もう長きにわたってこういう状況が続いているわけでもございますが、全国の地方公共団体を所管される総務省の立場から、まずは高市大臣、この待機児童の問題、どのように受け止めていらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 実際にお仕事をされていてお子さんを預ける場所がないとか、それから育休を取られた後になかなか職場に戻れない、それからまた急に朝お子さんが熱を出したときに病児保育も不足している、また空いていないといった様々な問題があって、多くの親御さんが御苦労されていると思います。
待機児童数ですが、近年は減少傾向にあったんですけれども、保育の申込者数の増加に伴いまして、平成二十七年度の待機児童数は前年と比較して増加しています。これまで安倍政権では、二〇一三年四月に待機児童解消加速化プランを打ち出すとともに、昨年の一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施するべき対策においては、平成二十九年度末までの保育の受皿整備量を四十万人分から五十万人分に上積みをして、待機児童ゼロに向けて取り組んでおります。
また、待機児童ゼロに向けましては、保育の現場で働く人材の確保がやはり重要でございますので、就業促進、離職防止、処遇改善などの施策を総合的に実施していくことが重要であると考えております。

○林久美子君 ありがとうございます。
ここ数年、これは政党を問わずですけれども、全国各地で保育所をしっかりつくっていこうという取組はみんな一生懸命やってきたんだと思います。しかし、今ここに至ってもなお解決されていないということを考えると、箱を造るだけじゃ駄目なんだということなんだと思いますね。
今大臣からもお話がございましたように、やっぱり処遇の改善は急務です。これ全国各地を御覧いただいても分かるかと思いますが、例えば公立の保育所ですら、場所はあってもそこで勤務してくれる保育士の方がいなくて子供が受け入れられないというケースは山のようにやっぱりあるわけであります。
そこでお伺いをしたいんですけれども、公立の保育所の保育士さん、まあ本来公務員です。最近ではただ、現場でも非常勤とか嘱託とかという方が非常に多くなっているというふうに伺っています。今、公立の保育所の保育士さんに限って伺いますが、正規の職員なのか非常勤なのか臨時職員なのか嘱託職員なのか、どうなっているのか、その割合をお聞かせをいただければと思います。これ厚生労働省、お願いします。

○副大臣(竹内譲君) お答えいたします。整理して申し上げたいと思います。
保育園に勤務する職員につきましては、既存の統計調査では正規、非正規別あるいは嘱託の保育士数といった形では把握しておりませんが、常勤、非常勤別の保育士の数につきましては把握をしております。
平成二十六年の調査では、公営の保育園に勤務する常勤の保育士は約十二万人、非常勤の保育士は約四万人となっています。また、私営、公立だけですね、公営だけでよろしいでしょうか。

○林久美子君 はい。
今、副大臣から御答弁いただきましたが、本当はそもそも正職員、さらには嘱託、非常勤とか、その辺の内訳すら把握ができていないということはまずもって重要な問題点であるということを指摘をさせていただいておきたいというふうに思います。
その上で、常勤、非常勤で見たときに、常勤が十二万、非常勤が四万ということで、三対一の割合でもう非常勤の方が増えているということなわけでございますね。
ここで総務省の高市大臣、お伺いしたいんですけれども、そもそも公立の保育所で、本来正規職員さんであるべきである保育士さんにおいても三対一でもう非常勤の方が増えているという状況にあるわけですけれども、この保育士さんの人件費というのは地方交付税の中に入って一般財源化をされているわけであります。これは、厚労省、この保育士さんの問題に限らずですけれども、きちっとこの地方交付税の中に要求された金額が入っているんだろうかと、どういう積算根拠に基づいて計算をされて入っているんだろうかということを非常に心配をするわけでございます。
ということで、どのような計算がされてこの地方交付税の中に入れられているのか、またその際には保育士さんというのはきちっと正規の職員として計算をされているのか、大臣、お願いいたします。

○国務大臣(高市早苗君) 公立保育所の給与費を含む運営費というのは、委員がおっしゃったとおり、税源移譲に合わせて国庫負担金が一般財源化されて、全額が地方負担となったことから、従来の国庫負担金、負担分も含めた地方負担の全額についてこれまで適切に地方交付税措置を行っています。
この地方交付税の算定上なんですが、公立保育所と私立保育所を分けて、公立保育所については国庫負担金が一般財源化された分を上乗せして在籍児童お一人当たりの単価を設定していますので、実態に応じた配分となるように算定をしています。それから、昨年四月から施行されました子ども・子育て支援新制度に伴う拡充分も含めて一般財源化後も措置額の拡充を図ってきております。
また、常勤、非常勤の話でございますけれども、公立、私立それぞれの保育所の在籍人数、お子さんの在籍の数にそれぞれの単価を乗じるという形で算定していますので、職員の方が常勤職員であるか非常勤であるか、これは区別をしておりません。
また、単価についても申し上げますけれども、今のような形の算定でございますので、私立保育所においては国庫負担率二分の一、県負担率四分の一であることを踏まえまして、公立保育所と私立保育所の単価の比率はおおむね四対一となっております。私立保育所の単価に併せて公立保育所もこれまで拡充を行ってきています。
保育所の単価につきましては、いずれにしましても、所管官庁の厚労省とも相談しながら対応をしてまいります。

○林久美子君 済みません、ちょっと分かりにくかったんですけれども、公立については、いわゆる俸給表に基づいていわゆる正規職員としての算出方法で掛けて地方交付税の中で措置をされている、一般財源の中で措置をされているということでよろしいですか。

○国務大臣(高市早苗君) 先ほど算定について分かりにくかったかもしれませんが、正規職員とか非正規職員とか職員の方ということではなくて、在籍されている児童お一人当たりの単価を設定いたしております。例えば二十七年度の交付税算定上の単価ですけれども、これは公立保育所で六十四万二千七百九十円、お一人頭、当たりでございます。私立で十六万四千百一円、お一人ということです。これは、公立と異なって国が二分の一、県が四分の一の負担があるということでございます。

○林久美子君 そういうことで申し上げれば、いわゆる子供の数ということでいえば、配置基準というのが年齢によって違うわけですね、ゼロ歳児、一歳児、二歳児、三歳児。そこの配置基準にのっとっての計算でないと私はこれはおかしいと思うし、なぜ私がここにこだわっているかと申し上げますと、済みません、昨日のちょっと事前のレクでは俸給表の単価に基づいて算出をしていますと、常勤職員に関してというようなちょっとお話だったので、ちょっとそこら辺、また役所の中でちょっとしっかり整理をしていただきたいんですけれども。
要は、この俸給表に基づいて、公立の保育所の俸給表にのっとって、これは私立とか民間の保育所の保育士さんのお給料もやっぱり連動するわけです、連動する。ということは、この俸給表の中で保育士さんの給与がどういう位置付けにあるかというのは非常に重要なことでありまして、保育士というのは皆さん御存じのように国家資格です。国家資格にあるにもかかわらず、福祉俸給表で非常に低く抑えられているということを鑑みれば、俸給表の中での保育士さんの位置付けを見直す必要があるのではないかと思うわけです。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 国の福祉俸給表は、福祉関係職員に対しまして、その職務の専門性にふさわしい適切な処遇を確保するということを目的としており、初任給を始め入口部分の給与水準については一般職、一般の行政職の俸給表よりも一定程度高めの水準となっております。必要であれば、また後ほど金額も申し上げることができます。
それから、民間の福祉関係職員は簡素な職制に基づいて職務が遂行されている実態があることから、簡素な級構成、六級制の俸給表としています。地方公共団体の福祉職の給料表につきましては、地方公務員法の給与決定原則に基づきまして、地域民間給与や国家公務員の給与などを考慮して人事委員会の勧告を踏まえて定められています。その水準は、国家公務員と同様に職種間の均衡の観点から、原則として各人事委員会が人事委員と共同で民間給与の調査を実施して判断される一般行政職における対応を基本として定められ、人事委員会における専門的見地から判断をされているということでございます。

○林久美子君 何となく議論がかみ合っていない感じがあるんですけど。
じゃ、率直にお伺いします、大臣。今、全産業の、ちまたよく言われていますけれども、平均の月額の給与が三十三万、保育士の方は二十二万円ですよ、十一万円低くなっていると。この状況において、現在の俸給表の中での位置付けというのはこのままでいいとお考えでしょうか、どうでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 民間給与も、あと国家公務員給与も勘案しながらということで、一般的には地域の民間企業、同種の仕事をされているような民間事業者よりも高くなるということにはならないと思います。
行政一般職との比較でしたら、例えば高校卒業の方で十四万二千百円が行政の一般職です。福祉職でしたら、同じ高校卒業の方で十五万七千円。大卒の方であれば、行政一般職が十七万四千二百円、福祉職が十七万九千六百円となっています。
本来、人材確保ということを考えますと更に処遇改善がされるということが望ましいんでしょうけれども、他の公務員とのバランスもあり、現在の法体系の中で、今、人事院が人事委員会とともにこれは専門的な見地から決定されている、これが立て付けになっております。

○林久美子君 そういう壁を高市大臣には是非打ち破っていただきたいと思うわけですけれども、なぜこういうことを申し上げるかといいますと、冒頭大臣もおっしゃったように、これは非常に重要な問題なわけですよ。この国の未来を担うのはもう間違いなく今の子供たちであって、全ての子供たちに質のいい就学前の教育、保育、居場所が必要であるということについては、恐らく誰も異論を挟まれる方は私はいらっしゃらないと思います。そこに関わる先生方というのは非常に貴い仕事を担っていただいているわけです。にもかかわらず、子供たちの権利が損なわれ、先生たちが存分に働けない環境があると。だとすれば、ここにしっかりと対応していくのは私は政治の役割であるというふうに思います。
今、保育士の方が足りない、処遇の改善が重要だと大臣おっしゃいました。保育士資格を持っている方々は全国で百三十万人です。しかし、実際に保育士として仕事をしていらっしゃる方はおよそ四十五万四千人、全体の僅か三割です。
厚労省の調査によると、保育士としての就業を希望しない理由の最も多いおよそ五割近くが、賃金が希望と合わないと答えていらっしゃいます。その上で、就業を希望しない理由が解消された場合の保育士への就業希望は六割を超えるんです。賃金が上がれば保育士として仕事をしたいという人が六割いる、多くの方が復帰を望まれているということです。
私たちは今、こうした保育士の方のみならず、幼稚園の先生やこども園の方、あるいはそこに働く調理師とか事務職員の方々なども含めて処遇を改善しようということで、月額五万円を引き上げるための助成金を支給する処遇改善法案を議員立法で今作っておりまして、今国会で提出をする予定でもあるんですけれども、この瞬間も適切な保育を待っている子供、その子供を抱えながら、もう仕事を辞めなきゃいけないかもしれないと。これはぜいたくで働くわけじゃないですからね、お母さんだって。今これだけ非正規の人が増えて、共働きじゃないと家庭が成り立たないというのはいっぱいある。だから、自己実現もあるかもしれないけど、仕事をせざるを得ない状況に置かれている方たちもいっぱいいる中で、まさに子供も親も追い込まれているわけです。
そういう方々にしっかりと応えていくためには、スピード感を持ってこの処遇改善問題に、人事院の問題とかいろいろあるかもしれませんけど、総務省としてはやっぱり俸給表の見直しということになるかもしれませんが、是非当たっていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) これは、国家公務員の給与ですとか地方公務員の給与全体に関わってくることでございます。そして、保育士の仕事、大変貴い大切なものでございますが、ほかにも介護に携わっておられる方、また児童相談所で働いておられる方、たくさんのお仕事がございます。そんな中で、また国民の皆様から行革努力への御指摘もあり、大変重要なことであることは承知をいたしておりますけれども、例えば保育士だけを取り上げて待遇を改善するというのはなかなか困難なことでございます。
関係の厚労省とも相談をしながら、いかに今保育士の資格を持っていらっしゃりながら職場に戻ってこられない、またお勤めになれないという方の実情もよく考えながら検討をしてまいりたいと思っております。

○林久美子君 よろしくお願いいたします。
ちなみに、我が党が今準備している法案で、保育所、幼稚園、幼保連携型認定こども園、地方裁量型認定こども園、地域型保育事業、児童養護施設、放課後児童クラブ、ここで月額五万円の賃金引上げに要する費用は二千七百六十八億円なんです。これ余り申し上げたくはございませんけれども、低所得のお年寄りに一人三万円配る、四千億円ですよ。ワンショットかもしれないけれども、そういうお金の使い方をするのであれば、やっぱりこれから先の未来を担う子供たちのところにももうちょっとしっかりと目を向けていただきたいということをお伝えをしたいというふうに思いますのと、もう一つ、今は保育園落ちたということで非常に問題となっていますが、必ず、この子供たちはこれから先、小学生になります、そのときにやってくるのは学童保育の問題です。
今これ学童保育も大変な状況にあって、これ我々民主党政権のときに、実は児童福祉法で学童保育というのはおおむね十歳未満という規定が置かれていたんですね。だから、小学校四年生になったら出なきゃいけなかった。これを民主党政権時に、おおむね十歳未満という規定を外しました。だから、今は法的には六年生までいられるんです。
だけれども、やっぱり学童もしっかりとした環境が整えられていなくて、実際何が起きているかというと、その運営をお父さんとかお母さんがやっているんです。日中働いていて家に一人で置いておくのは大変だ、そういうこともあるから学童にお願いをしているのに、お父さんやお母さんは夜帰ってきて何するかというと、それから学童に行って経理やるんですよ、夜中の二時ぐらいまで。しかも、指導員の方が辞めたら面接までしなきゃいけない。こういう状況が学童の今現場です。地方公共団体によっては、経理とかについてはNPO法人にお願いできるようにして、その分を財政的に支援していただいている自治体もあるんですけれども、まだ僅かなんですね。
だから、やっぱりこれは全国の地方公共団体を所管する総務省としても、次は学童の問題も非常に重要であるということも含めて御理解をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
では、もう時間もなくなってまいりましたので、もう一点、地域手当についてお伺いをしたいと思います。
地方公務員給与における地域手当と特別交付税の減額措置についてお伺いをしたいんですけれども、地方公共団体の地域手当とはどのような目的でいつ設けられたのか、制度の概要と併せて御答弁をお願いいたします。

○国務大臣(高市早苗君) 国家公務員の地域手当でございますが、平成十八年の国家公務員の給与構造改革において創設をされ、一般職給与法に基づいて、地域の民間賃金水準を的確に反映させるため、民間の賃金水準を基礎とし、物価等を考慮して人事院規則で定める地域に在勤する職員に支給するものとされています。
地方公務員についても、地域手当は地方自治法二百四条の規定によりまして条例で支給可能とされております。

○林久美子君 地域手当は居住地ではなく勤務地において支給される立て付けになっているかと思いますけれども、この理由はなぜでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 現在、地域においてということ、地域の民間賃金水準を的確に反映させるために、民間の賃金水準を基礎として、物価等を考慮して人事院規則で定める地域に在勤する職員に支給すると。先ほど申し上げたとおりでございます。

○林久美子君 本当に大丈夫ですか。賃金水準を埋めるためということでいいんですか。それだけでいいんですか。
なぜ勤務地なんですか、じゃ。

○国務大臣(高市早苗君) 地方公務員の地域手当については、国における地域手当の指定基準に基づいて支給地域及び支給割合を定めるということが原則であるということで助言を行っております。

○林久美子君 なぜ勤務地かということを伺ったんですが、ちょっと明確なお答えになっていただけないので申し上げますが、要するに、物価の幅を埋めたりとかいうことも、まあいろんな目的があるわけですけれども、私はむしろ、消費活動とか賃金という、こういうことをおっしゃるのであれば、勤務地ではなくて居住地で本来算出をすべきではないかなというふうに私は思うわけでございます。
しかも、この地域手当については、それぞれ地域によって、例えば滋賀県でも、ここでは地域手当が付くけれども、ここでは地域手当が付かない地域とかいうのがいろいろあるわけですね。でも、今、御存じのように、非常に広域行政が増えています。消防とかごみとか、そういうことをやるわけですけれども、つまり、同じところに勤務をするのに、どこの市役所の所属、どこの市役所から来ているかによって、実は同じ業務をするのにお給料が違うという事態が発生しているわけですね。
こうした状況を考えると、地域手当の支給地域や支給割合は、市町村ごとという枠ではなくて、一定の大枠でくくった地域での水準差にとどめて、生活圏や経済圏を考慮して設定するべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 先ほども申し上げたんですが、国家公務員に対する地域手当は、地域ごとの民間賃金の水準との均衡を図るために法令によって支給され、その支給割合は、基幹統計である賃金センサスをベースとして法令で定められるということに留意しなきゃいけません。
その上で、地方公務員の給与ですが、地方公務員法第二十四条の給与決定原則に基づいて、地域民間給与や国家公務員の給与等、これを考慮して定められるものでございます。
それで、今回、国の給与制度の総合的な見直しにおいて、地域ごとの民間賃金の水準をより的確に公務員給与に反映するという観点から、俸給表水準の平均二%の引下げと併せて、地域手当の区分を従来の六区分から七区分とするような形で支給地域、支給割合の見直しを行いました。
地方における広域的な状況、形ということなんですけれども、広域自治体である都道府県などについては、これは、人事管理上一定の考慮が必要となった場合に、国の基準にのっとった場合の支給総額を超えない範囲で地域手当の支給割合の差の幅の調整を行うことは差し支えないということで、地域手当の趣旨を歪曲しない、没却しない範囲で、一定の裁量の余地というのは認めております。

○林久美子君 今、一定の裁量の余地というお話がありました。ちょっと今日は時間がないのでパーソントリップ補正の話はちょっとできないかもしれないんですけれども、実際、その幅を認めているとおっしゃるんですが、特別交付税に関する省令第四条及び第五条の規定では、国の基準を上回る地域手当を支給した場合、その上回る額を減額して特別交付税を算定することとされています。
これは、例えば広域行政とかで隣の市から来る人よりも地域手当が付いていて、自分の町の職員さんには付かないから、本来は認められていないけれども、そこへ乗せるとかいうことをした場合、その分、特交は削られるということなわけですね。
これは、この規定というのは、自治体の努力を私はある意味では踏みにじるというか、非常に理不尽な規定であるというふうに思うんですけれども、なぜ特交を減額するんでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 特別交付税の算定においては、地方の共有財源という性格に鑑みまして、国基準を超える地域手当を支給している場合は、他団体と比較して財政的に余裕があるという観点から、特別交付税の算定においては当該超過支給額に応じた減額措置を行っております。
近年、減額団体数及び減額の額ですけれども、平成二十六年が一県七十六市町村合計六十一億円、二十七年度が八十一市町村合計三十九億円という状況でございます。

○林久美子君 平成二十七年は八十一市町村とおっしゃいましたか、大臣、済みません、ちょっとよく聞き取れなかったんですけど、二十七年度。

○国務大臣(高市早苗君) 二十七年、八十一市町村でございます。

○林久美子君 ありがとうございます。
先ほど高市大臣は、特別交付税の減額措置を行う理由について、まず財政的に余裕があるということをおっしゃいました。これは、私、質問主意書を出したときにも同じ内容で返ってまいりましたけれども、今ほど御紹介いただきましたこの平成二十七年度の八十一の市町村のうち、財政が豊かで国から交付税を受けていない、いわゆる不交付団体というのは幾つあるんでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 平成二十六年度で特別交付税が減額算定された七十七団体のうち、不交付団体は十九でございました。

○林久美子君 二十六年度は七十六で答弁書返ってきていますけど、七十七ですか。

○委員長(山本博司君) 高市総務大臣、よろしいですか。

○国務大臣(高市早苗君) 済みません。
市町村数が七十六でございます。県が一つでございます。

○林久美子君 不交付団体は幾つですか。不交付団体は七でよろしいですか。不交付団体今幾つとおっしゃいましたか。

○国務大臣(高市早苗君) じゃ、ちょっともう一度申し上げます。
平成二十六年度特別交付税が減額算定されたのが七十七団体、内訳が七十六市町村で一つの県。普通交付税の交付を受けた団体数は五十八、不交付団体数は十九でございます。

○林久美子君 ということは、五十八の団体は財政的に豊かではないということになるわけですよね。ということは、その大臣がおっしゃった財政的に豊かだから国の基準を踏まえて地域手当を出しているわけではないということなんだと思います。
実際に、国の基準を超過して地域手当を支給している理由について、一般財団法人自治総合センターが昨年三月に取りまとめた報告書では、近隣団体との均衡を考慮したという団体がおよそ半数の五二%です。都道府県の支給割合を考慮した団体が二一%、合併による影響を考慮した団体が一三%などとなっています。つまり、決して余裕があるから支給しているというわけではないということがこのデータからも御覧をいただけると思います。
こうした現状を踏まえますと、総務省の認識は、この地方公共団体の実情に照らして実態をしっかりと把握しているというふうには言えないのではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 先ほども申し上げたんですけれども、他団体と比較して財政的に余裕があるという観点でございます。

○林久美子君 この特別交付税の減額割合もずっと今増えていて、今一〇〇%であるというふうに伺っています。こういう実情を踏まえて見直すおつもりは、大臣、おありですか。

○委員長(山本博司君) よろしいですか、高市総務大臣。

○国務大臣(高市早苗君) 済みません。
地方公務員の給与ですが、地方公務員法第二十四条の給与決定原則に基づいて地域民間給与や国家公務員の給与等を考慮して定められるものです。地方公務員の地域手当については、国における地域手当の指定基準に基づいて支給地域及び支給割合を定めるということが原則だという助言を行っています。
この国の基準を超えて地域手当を支給している団体は他団体と比較して財政的に余裕があると考えられることから、特別交付税の配分に当たって地方団体間の実質的な公平を図る必要があるという観点から、超過支給額に応じて特別交付税の減額措置を行っているものでございますので、この措置を廃止するということは考えておりません。

○林久美子君 今ほども財政的に余裕があるとおっしゃいましたけれども、じゃ、何で財政的に余裕があるのであればその団体全てが不交付団体になっていないんですか。

○委員長(山本博司君) どなたが。
速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山本博司君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(高市早苗君) 済みません。
先ほど来、他団体と比較してということを申し上げております。やはり、特別交付税の算定において、地方の共有財源という性格に鑑みて、国基準を超える地域手当を支給している場合に、他団体と比較して財政的に余裕があるという観点から、この算定において当該の超過支給額に応じた減額措置を行っているというものでございます。

○林久美子君 それでは伺います。
他団体と比較してというときに、どういう指標で比較をしていらっしゃるんでしょうか。

○委員長(山本博司君) 速記を止めてください。

〔速記中止〕

○委員長(山本博司君) 速記を起こしてください。

○国務大臣(高市早苗君) 地域手当を出しているかどうかということでございます。

○林久美子君 済みません、話がくるくる回ってしまうんですけど、地域手当を出しているのは、先ほど私、御紹介を申し上げましたね、御紹介申し上げましたね。なので、決して余裕があるから地域手当を出しているわけではないわけですよ。
もう一度申し上げますね。近隣団体との均衡を考慮したという団体がおよそ半数の五二%です、およそ五二%です。それを出していることをもってして財政的に余裕があるというふうには当然言えないわけです。実際に特別交付税を減額をされた団体のうち、不交付団体の方がはるかに少ないわけですから。そのことを私は申し上げているわけです。それは決して財政的に余裕があるとは言えませんよねということであれば、この制度、おかしいのではないですかということを私は申し上げています。
その上で、大臣にこの制度を見直すおつもりはございませんかと伺ったわけです。いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 制度を見直すつもりはないと答弁申し上げました。

○林久美子君 分かりました。
本当は、問題があればやっぱり見直すのが私は政治だと思うわけですね。現場との実態と合わなくなっていて、非常に住民の皆さんに最も身近なサービスを提供していらっしゃる地方公共団体の皆さんが困っていらっしゃるわけです。しかも、それが、財政的に余裕があると総務省はおっしゃいますけれども、実際は開けてみるとそんなことはないですねという実態があるわけです。
しかも、今、地方創生とおっしゃっています。一定、国の基準に基づいてということは確かに理解はできるんですけど、でも一方で、それぞれの地域にはそれぞれの事情があるし、地域の自主性、自立性を重んじるという観点に立てば、それぞれのその地方公共団体がしっかりと取り組めるような環境を整えるのもこれまた重要な役目であるというふうに思うわけでございます。
その辺りを踏まえて、大臣の御所見をお伺いをできればと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 地方全体のやはり財源であるということも考えながら、しっかりとそれぞれの地方公共団体が安定的に財政運営を行えるだけの措置は精いっぱいしてまいりました。それは団体によって過不足もあるかと思いますし、委員の地元の市長さんも私の大臣室に見えて、様々御要望をいただきました。全ての御要望にはお応えができませんでしたけれども、しかしながら、真にお困りのことについては一定の配慮をさせていただいたところでございます。

○林久美子君 地方全体の財源であるというお話でございます。で、応えられるところは応えてきているんだという御答弁であったかと思います。しかしながら、であれば、自治体の努力をやっぱり踏みにじったらいけないと思うんですね。限られた財源の中で、そういう部分でいろんな、周りの近隣の自治体との見合いとかで独自に地域手当を出している団体がある、それはそれでいいんだと思うんですよ。そうしたら、なぜ特別交付税を削るんですかということなんです。
せめて独自に地域手当を出すということを認め、それと今セットになっている特別交付税を削るということをやめていただきたい、まさに地域の自主自立を重んじていただきたいと、大臣、思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 地域の自主自立を重んじるということを基本にしながら考えております。一方で、地域間の財政的な格差もあり、そしてまた日本の国全体、どの地方に住んでも最低限のサービスは確保できなきゃいけない、その基本に立ちまして、大変厳しい地方の財政状況です、国の財政状況も厳しい中で最適な方法をということで対処をしてまいります。

○林久美子君 ありがとうございました。
最後に一言だけ。
皆さんよく御存じのように、地方公共団体はもう乾いた雑巾ですよ。絞っても絞っても出ないぐらい一生懸命やっている。その中で、その努力をしっかりと尊重するような総務省のお仕事であっていただきたいし、そういう法律であっていただきたいし、そういう制度であっていただきたいと。高市大臣、だから、しっかりとお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。