KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第180回通常国会 予算委員会 2012年3月15日

第180回通常国会 予算委員会 2012年3月15日

○林久美子君 おはようございます。民主党の林久美子でございます。
まず冒頭、昨年の三月十一日から一年余りが経過をいたしました。今回の震災によって亡くなられた皆様方に改めて御冥福をお祈り申し上げますとともに、今なお不自由な生活を強いられている皆様方にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。
さて、この国会の大きなテーマとして社会保障と税の一体改革がございまして、連日、この委員会でも質疑が行われているところでもございます。
今、日本は既に人口減少社会となり、少子高齢化が進んでいます。世帯の半数以上が今や共働き家庭で、合計特殊出生率は平成二十二年では一・三九、結婚した夫婦は二・四二人の子供を持ちたいと願っているのにそれがかなわないという状況にあります。更に申し上げれば、M字カーブもいまだなかなか解消しないという現実があるわけでございます。つまり、言ってみれば、子供を持ちたい人が安心して持てない社会になっているのではないかと考えるわけでございます。
なぜかと考えると、これまで医療や年金や介護という人生後半の社会保障は行われてまいりました。しかしながら、一方で、子育てや子育ちという人生前半の社会保障がなかなか充実されてこなかった。子供を持ちたいと願っても、それをしっかりと支える仕組みができていなかったのではないかと思います。
当然、子育ての第一義的な責任は親にあります。人間を育てるわけですから、しっかりと責任を持って子供を育てていかなくてはなりません。子供から教えてもらうことも結構親は多くて、子供とともに親が育っていくようなところもありますけれども、時には子供のために自らを犠牲にしてでも、しっかりと責任を持って深い愛で子供を育てていくというのが親の責任であるというふうにも思っております。
しかし、一方で、大家族が崩壊をして核家族化が進んでいる中で、介護でもそうですけれども、今ではもう家族の中だけでは子育ても支えられなくなってきて、もっと社会全体でしっかりと支えていかなくてはならない時代になったのだと思います。
今回の社会保障と税の一体改革では、人生後半の社会保障のみならず、人生前半の社会保障として子供が加わって、まさに全世代の社会保障制度にしていこうというのが今回の社会保障と税の一体改革だと思います。
その人生前半の社会保障に当たるところが、まさに子ども・子育て新システムではないかなというふうに考えております。これまでは省庁の縦割りの壁とかでなかなか乗り越えられなかったものを乗り越えて、ばらばらに行われてきた子供政策をしっかりと再編成をすると。様々な法律を改正をして、まさに現場のニーズにこたえられるような、子供を持ちたい人が安心して持てる、そういう政策をしていくための新システムであるというふうに思っています。
子供が生まれ育つことなくしてはやはり日本の持続的な発展はないと思っておりますので、そうした観点からも、非常に厳しい議論が連日行われていますけれども、何としても、社会保障と税の一体改革の実現と同時にこの新システムを実現していきたいという思いで今日は質問をさせていただきたいと思います。
では、早速お伺いいたします。
この国会では、今ほど申し上げました子ども・子育て新システムに関連して、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、関係法律の整備法案の三つの法案が閣議決定をされて提出される予定であるというふうに伺っています。
そこでまず、この新システムの概要について、御自身も三人のお子さんを育てられながら仕事を続けてこられた、そして、この間ずっとこの議論を引っ張ってきていただいた小宮山厚生労働大臣にこの新システムの概要とその精神についてお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) もう今、要点の部分は委員がおっしゃっていただきましたけれども、今回の社会保障の一体改革の中で、高齢者だけではなくて子育てという、子供のことを入れたというのが大きな特徴だと思っています。
安心して持ちたい人が子供を産み育てられる、そして何より生まれてきた子供が安心して育つことができる、そういう社会をつくるためには総合的にいろいろな政策を子供の視点でパッケージでやらなければいけないと思っていまして、今回、子ども・子育て新システムは、省庁縦割りの壁を取って幼保一体化を進めること、それからまた待機児さんが多いので保育を量的に拡充をする、また地域での子育てあるいは家庭で子育てをしていらっしゃる方もしっかり支援をしていく、そのような多様なサービスを用意をしたいというふうに思っています。
これまで一年半にわたって、委員も参画していただいていたところですけれども、幼保の団体を始め、地方団体ですとか経済団体、関係者の方たちに集まっていただいて、内閣府の方で関係省庁も政務が集まって一年半にわたって本当にかんかんがくがくの議論をしてまいりました。幼稚園は幼稚園でプライドを持って今までの幼児教育をやり、保育園は保育園でまたプライドを持って保育をしてきたという中で、最初はもう本当に交わらないような議論でしたけれども、一年半の間に、やっぱり子供のためには全ての子供たちに良い就学前の場所をつくりたいということで一致をしたということでございます。
まだまだいろいろと理解を深めていかなきゃいけないと思いますが、三月二日の少子化社会対策会議の決定を受けまして、これから今御紹介いただいた三本の法律、子ども・子育て新システムをこの国会に提出をして、成立に向けて皆様の御協力をいただきたいと思っています。

○林久美子君 今大臣におっしゃっていただきましたように、振り返れば本当に様々なステークホルダーの方々が一回に三時間を超える議論を何十回も重ねて、もう振り返ると、本当にまとまるんだろうかと思うような場面も正直ありました。しかしながら、子供たちにとって何が最善の利益なのかという原点にその都度立ち返りながら、最後はみんなの理解を得てこの形になったんだというふうに思います。
特に大変だったのは、幼保一体化の議論でございました。この幼保一体化については、今から六十六年も前の一九四六年には既に帝国議会において議論が行われておりまして、議事録も残っています。しかしながら、この間実現してこなかったというのは、いかにそれだけ難しいテーマであったのかということも逆に言えば言えるのかなと思います。
その議論の結果、こども園という指定制度を今回新たに導入をして、これまでの幼稚園や認可保育所や認定こども園やさらには基準を満たした施設についてはこども園という指定を与えて、それでくくって、幼保連携型認定こども園のようなところは総合こども園ということで位置付けて、しっかりと新システムの中で幼保一体化を実現していくということになったわけです。
大変に小宮山大臣には副大臣のころから御苦労いただいてきて思いもひとしおかと思いますけれども、一生懸命みんなで議論してこの制度をつくろうとしているにもかかわらず、やっぱり余りにも大きな話というところもあって、保護者の方とか現場の施設の運営者の一部の方からはやっぱりいろいろな心配の声が実は聞かれております。ですから、こうした不安を払拭するためにも、ちょっと順番に伺わせていただきたいと思います。
まず、保育に欠ける要件について伺います。
これまで保育所は、児童福祉法第二十四条第一項によって、保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあったときには、それらの児童を保育所において保育しなければならないというふうに定められています。
つまり、保育所に入るには保育に欠けているという要件が必要であって、共働きの間は保育所に入れますと。でも、例えば、また専業主婦になりました、そうしたら保育所の保育に欠ける要件から外れるから出てくださいとか、あるいは二番目の子供を出産をして育児休暇を取りました、そうしたら保育に欠けるという要件にこれも当てはまらなくなるので、第二子が生まれた段階で既に入っていた上のお子さんの保育所から出てくださいとか、こういうことがあって、保護者の就労形態などによって子供の居場所が非常に不安定な状況にさらされてまいりました。
そうした意味では、保護者の就労形態にかかわらず、やっぱり子供には安定した幼児教育や保育の場が必要でありますので、今回の新システムに伴って、やはりこの保育に欠けるという要件は外すべきだと思うんですね。やはり必要性というのは客観的基準によって認定していかなくてはいけませんけれども、この保育に欠ける要件というのは外すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) この保育に欠けるという要件についても、もうここ十年以上、何十年議論をしてきたことだと思います。この保育に欠ける子供に保育を行うという現在の仕組みに代えまして、今回は、必要な全ての子供に客観的な基準に基づいて保育の必要性を認定をして確実に保育が提供される仕組みにしていきたいというふうに思っています。
今言われたように、親の働き方にかかわらず、全ての就学前の子供に質の高い学校教育と保育を行う、そういうことを目指していますので、この認定こども園を更に発展させました総合こども園、これを制度化をして、保育の必要な子供全ての子供を受け入れる施設をこの地域につくっていくということですので、この児童福祉法二十四条の保育に欠けるという要件は、これは撤廃をするということだと思っています。

○林久美子君 ありがとうございます。
この児童福祉法二十四条の変更に伴って、一部では現場から、じゃ、行政が保育から手を引いてしまうのではないかと、そういう御心配をいただいているところがございます。この点については、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 確かに二十四条がなくなると改悪だというようなお声もありますが、決してそうではなくて、今回の子ども・子育て新システムは、実施主体を市町村としまして、児童福祉法や子ども・子育て支援法、この二つの法律によって全ての子供の健やかな育ちを重層的に保障する仕組み、市町村の責任をしっかりと明記をいたしますので、後退させるものではありません。
子ども・子育て支援法では、全ての市町村による計画的な学校教育、保育の基盤整備、保育に関する個人給付化、そして権利保障、公的契約による利用手続、利用支援、こうしたものを規定をいたしまして、確実な給付の保障を図っていきます。
そして、児童福祉法の方では、保育を必要とする全ての子供に保育を確保する、その措置を講ずるとともに、周辺施設事業者との連携調整を図る旨、全体的な責務を市町村に課すということにしています。また、虐待事例など特殊なフォローが必要な子供につきましては、利用の勧奨、入所の措置、これを創設しまして保育の利用保障を全体的に下支えをすると。
これによりまして、市町村は保育の保障などに関する中心的な役割を果たして、子供の権利保障をより確実に担保する、こういう形にしたいと思っています。

○林久美子君 市町村がこの新システムの事業計画をこれから作ることになりますので、今大臣の御答弁がありましたように、むしろ市町村が住民の皆さんの状況をしっかり見ながら、今よりもむしろしっかりと責任を持って取り組むこともできるということだと思いますし、むしろ公的責任は重くなるということかと思います。
では、次に伺いたいのは契約の在り方です。
今、入所の措置の話も一部いただきましたけれども、今回、こども園に入園するに当たっては直接契約になります。これまでは、幼稚園は施設と保護者の直接契約、保育所の場合は保護者の方が市町村に行って、いつから子供を預けたいと、第一希望はこの保育所、第二希望はここ、第三希望はここというふうに出して、自治体がその状況を、市町村が見ながら、ある意味では、じゃ、ここに行ってもらおうとかいうことを振り分けて、どうにか調整をしてきたわけです。
しかしながら、今回、直接契約になるということで、主に保育の関係の皆さんからは、ちゃんとそれができるのかと。あるいは、保護者の方からすると、私はここのこども園に子供を入れたいと思いましたと。ここに行って申し込んだけれども、もういっぱいで入れませんと。そうしたら、次のところ、そしてまた次のところとたらい回しにされちゃうんじゃないかという御心配の声もいただいております。この点についてはいかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 今回の子ども・子育て新システムは、その施設とか事業の利用に当たりまして、今言われたように保護者が選択をした施設とか事業者に申し込み、契約することを基本にしています。でも、言われたように、市町村はそれぞれのニーズを把握をして事業計画をきちんと作って、その受皿というか、その量を確保することの責務がございますので、市町村が管内の施設とか事業者の情報を整理をして、利用者に広く情報提供をして、相談にも対応することにしています。
また、先ほどちょっと虐待のことを申し上げましたけれども、虐待とか障害をお持ちの方とか、特別に支援が必要な子供ですとか、待機児さんが発生しているような場合には、市町村が利用調整を行って利用可能な施設事業者をあっせんするなど、市町村による支援も設けていますので、たらい回しということはなることがない、そういう仕組みとしています。

○林久美子君 ということは、しっかりと、待機児童がいるところ、あるいは虐待を受けたお子さん、あるいは障害のあるお子さんについては、自治体か市町村が責任を持って、そこら辺は調整をしたり、あっせんを行うということかと思います。
また、この直接契約に関連をして、保育所の運営者の方からは、保育料の徴収ができないんじゃないかという御心配をいただいています。これまでは市町村が保育料を実質徴収をしてくれていましたけれども、特に今、学校の給食費の未払の問題などもあって、本当にちゃんと保育料の徴収ができるんだろうかと。その徴収ができないとその施設の運営が非常に困難になりますので、その点についても大きな不安を抱いていらっしゃる現状がありますが、この保育料の徴収に関して何らかのサポートというのは行われるんでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 今回は、今言われたように保護者と施設事業者の間で直接契約をしますので、利用者負担も施設や事業者が保護者から徴収することになります。その際に、今のような御心配がないように、施設にとっては利用者負担の確実な支払、これが担保される必要があるため、先ほどちょっと申し上げた児童福祉法二十四条に規定をされます市町村の責務、これも踏まえまして、市町村が確実な支払を担保する、こういう仕組みを設けることにしています。

○林久美子君 是非ともよろしくお願いをしたいと思います。
さて、こども園をめぐる議論では、よく幼稚園と保育所の確執みたいなものが報道をされました。実際にワーキングチームで議論に参加していた感覚からすると多少ちょっと違和感があるんですけれども、ワーキングを振り返ると、とりわけ働きながら子供を育ててこられた方なんかが、涙ながらに、今度できるこういう総合こども園のようなもので私の子供も学ばせたかったとおっしゃった場面が私なんかはよみがえります。
幼児教育と保育がちゃんとどの子にもやっぱり提供されなきゃいけない。保護者が共働きだろうと片働きだろうと、やっぱりそこはしっかりと、これからの日本を支える子供たちの本当に最初の第一歩ですから、しっかりとやっていかなくてはならないと。それがあったから、逆に言えば、いろんなステークホルダーの皆さんが様々な思いを乗り越えてくださったんだと思います。
とはいえ、後半よく指摘をされましたが、今回のこども園において私学助成が残ります。私学助成については、これまで私立幼稚園における学校教育のほかにも、特別支援教育や教育の質の向上などに使われてきました。一方で、保育所に対してはこういう機関補助というのは行われてこなかったわけです。
今回、この私学助成が残るわけですけれども、これは幼稚園を基盤としたこども園に対してのみ行われるのか、それとももっと違う、もうちょっと広くこども園全体に対して何らか措置が行われるのか、その点について平野大臣にお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(平野博文君) 林議員は、新しい仕組みができ上がった場合に、私学助成という、こういうところを含めて幼児教育、特に社会福祉法人をやっておられる方々についてどうなるのかと、こういう御指摘でございます。
もう議員はずっと、長い間この件について取り組んでこられておりますから釈迦に説法でございますが、簡潔に申し上げます。
私立幼稚園に対する機関補助というのは、現行では一般補助と特別補助と、こういうことでございます。新しい子ども・子育て新システムにおきましては、現行の私学助成のうち一般補助としては原則はこども園給付と、こういう形に統合することになっております。また、特別補助のうち預かり保育でありますとか子育て支援でありますとか、こういう補助については、私学助成という観点ではなく、新システムにおける子ども・子育て支援事業として改めて再構築をさせていただこうと、こういうふうに考えておるところであります。
一方、委員御指摘の、特別補助のうち特別支援教育あるいは多様なニーズに対応する特色ある取組については、幼児期の学校教育を振興する、こういう奨励的な立場から、引き続き私学助成により支援を行おうとしておるところであります。その際には、学校法人に加えて、社会福祉法人が設置する総合こども園についても助成の対象とすると、こういうことで、より広範な包括的な立場で支援をしていきたいと、かように考えているところであります。

○林久美子君 それでは、私学助成法を改正をして社会福祉法人にもしっかりとその支援を行えるようにするということでよろしいでしょうか。──よろしくお願いします。
では、次に二元行政についてお伺いをしたいと思います。
この幼保一体化の議論がずっと行われてきたということは申し上げましたけれども、平成十八年の、今から六年前に認定こども園という制度ができました。四つの類型があったんですけれども、結果、やはり幼稚園はあくまでも文科省からお金が出る、保育所は厚労省からお金が出る、要するにお財布が二つだったので書類も二つということで、非常に事務が現場では煩雑になりました。これは二元行政じゃないのかとか、屋上屋を重ねただけじゃないのかと、そういう御批判も出ていたわけでございます。
そういった意味では、まさに今回、このこども園という指定制度をつくる中で、やはり財源をしっかりと一本にしていくことが大事かと思いますが、この点については、小宮山大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 前の政権のときにつくられた認定こども園、これも両方併せようという試みだったんですが、委員御指摘のとおり、二つの省庁に分かれていたので、なかなか二重行政、二度手間になるということもあり、広がりませんでした。
今回、子ども・子育て新システムは、こども園給付、給付を一本化をしてその財政措置を一本化する、その手続も一本化をするということで二重行政を解消したいと思っています。
将来は子ども家庭省をつくりたいんですが、なかなか一度にそうはいきませんので、内閣府の中に統括する部局を設けてそこで一元的に扱う、二重行政を解消していく方向でやりたいと思っています。

○林久美子君 ありがとうございます。
一方で、今回しっかりと財源も一元化されるということでございましたが、今回措置される財源が一般財源化されてしまうと、やはり市町村が自由に使い道を決めることができるわけです。地域主権という立場からいえば非常にいいことであるかと思うんですが、一方で、子供の支援のために使ってほしい財源が違うことに使われてしまうというケースもあるかと思います。実際、過去を振り返ると、学校の図書費とか公立の保育所の運営費とかいうものは、一般財源化されたことで措置率が大きく下がりました。こういうふうにしない工夫がやはり必要なのではないかなというふうに思うわけでもございます。
今回の給付は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の対象になるのかどうか、まずお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) 子ども・子育て新システムでは、国から市町村に対して給付事業の区分に応じて必要な費用を交付をします。これは子ども・子育て新システムの給付事業に充当するために交付をするということで、この目的外に使用することはできません。また、使途が限定されている交付金として、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の対象とする、この方向で法案化作業を進めていますので、ほかのことに使われることなく子供のためにしっかり使われるような仕組みにしたいと考えています。

○林久美子君 是非ともよろしくお願いをしたいというふうに思います。
では、次に待機児童との関係についてお伺いしたいと思います。
今回の新システムによって待機児童の解消につながるのかどうかと、やはりこれは大きな気掛かりになっているところかと思います。皆さんよく御存じのように、現在、日本にはおよそ二万六千人の待機児童がいます。その内容をしっかりと見てみますと、待機児童のうちのゼロ歳から二歳が最も多くて、全体の八二・六%を占めています。八割強がゼロ歳から二歳ということです。
待機児童の問題は、一方で貧困の問題とも深く関係をしています。先日、労働政策研究・研修機構が調査を行ったところ、貧困層でありながらも妻が働けない専業主婦世帯が大勢いて、そのうち、保育の手だてがないことが理由で働けない母親が半分以上を占めていることが分かりました。つまり、待機児童の問題というのは、共働き家庭のみならず、貧困家庭においても重要な問題だということかと思います。
今回のこども園制度では、ゼロ歳から二歳の保育を幼稚園には義務付けませんでした。そのために、待機児童が最も多いこのゼロ―二を義務付けなかったことで本当に待機児童の解消になるのかという声が上がっています。そうした意味では、選択権を保護者から奪ってはいけないんですけれども、できるだけ多くの施設がゼロ歳から二歳の保育をしてくれる総合こども園にできることならなってもらいたいと。でも、なってくださいねと言うだけでは駄目で、やはりインセンティブが必要なんだと思います。
この点についてはどのような方法を考えていらっしゃいますか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 委員が言われたように、総合こども園にはゼロ歳から二歳の受入れは義務付けていませんが、そのインセンティブとしましては、現在の制度の幼稚園型の認定こども園、この保育所機能部分につきましても、基準を満たせば財政支援が受けられるようにする。今、八割の幼稚園が預かり保育という形でやっていますので、ここに安定的な財源が入るということが一つあります。また、小さい子を受け入れるための調理室を造るための財政支援ですとか、あとはゼロ、一、二歳に関する経費を見込んだ単価の設定などもしまして、インセンティブを付与することによって多くの総合こども園でなるべくゼロ、一、二歳も受け入れていただけるような、そういう仕組みにしたいというふうに思っています。

○林久美子君 お願いします。
それと同時に、ゼロ歳から二歳は集団保育よりも個と個の関係が大事な年齢でもありますので、これまで多くの自治体がほぼ持ち出しでやってきた小規模保育事業とか家庭的保育事業、そうしたものに対する支援もやはり新システムにおいて必要かと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 御指摘のように、今回、小規模保育、二十人以下で保育園がつくれるようにいたしますし、あと家庭的保育、これは保育ママさんも、自宅でやるものも施設を借りてやるものもできるようにいたします。また、地域のNPOがやっている子育て支援のひろばとか、そうした事業なども指定制度を導入して安定的な財政措置をしたいと思っています。これによりまして、小規模保育とか家庭的保育など多様な保育、これが質の確保のための客観的な指定基準を満たせば財政措置の対象となる。
これは、地域型保育事業として指定をいたしまして、公費で財政支援をして多様な保育サービスが充実するような、そういう形にしたいというふうに思っています。

○林久美子君 きめ細かな支援によって量的な拡充を図っていただいて、是非、待機児童にも大きく寄与をいただけるシステムにしていただきたいと思います。
では、次に学童保育についてお伺いをいたします。
学童保育は、今まで法律にしっかり位置付けられてきませんでした。そのために、質、量共に不足をしているという問題がございますけれども、今回の新システムにおいてはどのような取扱いになりますか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 放課後児童クラブにつきましては、その発祥の形態が違ったり多様な実情で事業が運営されてきたために、今まで法律上の具体的な基準を設定していませんでした。しかし、ニーズが非常にあるということもありまして、今回の子ども・子育て新システムでは、放課後児童クラブについて一定の質を確保するという観点から、職員配置、資格、開所日数・時間などについて法令上の基準を新たに児童福祉法体系に設定をする、国が定める基準を踏まえて市町村が基準を条例で定めるということにしています。
〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
国の基準の設定に当たりましては、今あるクラブの実施状況がさっき申し上げたようにいろいろでございますので、職員の資格に関する経過措置など、無理のない形を取りながら進めたいと思っています。

○林久美子君 それと併せまして、児福法の中で、おおむね十歳未満という要件が学童については課されていますが、この要件はどうなりますか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 現在の児童福祉法では、放課後児童クラブの対象児童について、「小学校に就学しているおおむね十歳未満の児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないもの」としています。現在でも、その十歳、小学校四年生ですけれども、それ以上の小学生を事業の対象外としているわけではありませんが、子ども・子育て新システムでは、小学校四年生以上も含む全ての小学生が対象となることを児童福祉法に明記をいたします。
また、小学校四年生以上のニーズも踏まえた放課後児童クラブの量的拡充を促進するために、引き続き、その整備に対する補助ですとか学校の余裕教室の活用の促進などの取組も行っていきたいと思っています。

○林久美子君 この新システムは平成二十五年度から段階的に実施を予定をしています。財源は、社会保障と税の一体改革から七千億円が投入されることになっています。就学前から、そして小学校期を通してきめ細かな子育てをしっかりと支えるシステムとして、是非これ、社会保障と税の一体改革も実現をしていただきたいというふうに思います。
では、最後に自見大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
郵政法案については、この間、民主、自民、公明党による三党の協議が行われまして、二月の二十二日に公明党さんからの案が示されて、民主党としても是非それで合意をさせてくださいというふうに返答させていただいた経緯がございますが、既にもう二週間がたっているところでもございます。まさに、この待ったなしの郵政改革を実現するためにも時間的な余裕はないと思いますけれども、自見大臣に郵政法案の成立に向けた現在の状況をお伺いするのとともに、改めてお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。

○国務大臣(自見庄三郎君) 林久美子議員にお答えをさしていただきます。
郵政改革法案、今先生のお話にもございましたように衆議院で協議中でございまして、個々の案については、御存じのように国会が国権の最高機関であり唯一の立法機関でございますから、私の立場からああだこうだということは申し上げるということはできませんけれども。
政府としては郵政改革法案が最善のものだというふうに提出させていただいておるわけでございますから、是非国会で、各党各会派、いろいろ困難を乗り越えて協議をやっていただいているということは担当の責任者として大変感謝をいたしておりますが、是非、この日本郵政グループの株式の売却益は全部東日本大震災の復興に充てるということももう決めさせていただいたわけでございますから、そういったことを含めて、三事業一体、そして誰でも、やはり明治四年以来ずっと日本人というのは郵政サービスはどんな田舎でも離島でも受けることはできたわけでございますから、そしてネットワークがあるわけでございますから、ネットワークの維持ということに関しては各党全て一致しておるわけでございますから、そういったことを考えて国会で論議をされてしっかりした結論を得ていただきたいというふうに思っておりまして、出された、当然でございますが結論については、我々、行政府でございますから、言うまでもなくしっかりこれを真摯に受け止めて従わせていただくということでございます。

○林久美子君 よろしくお願いいたします。
それでは、終わります。ありがとうございました。