KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第188回通常国会 総務委員会 2015年4月7日

第188回通常国会 総務委員会 2015年4月7日

○林久美子君 民主党の林久美子でございます。よろしくお願いいたします。
先日、NHKの予算が可決いたしました。しかし、これまで全会一致でほぼみんな賛成して通してきた予算が、二年連続、我々民主党も含めて反対という中での可決になりました。
これは会長御自身が御自覚なさっていらっしゃるかどうかは別として、昨年一月の籾井会長の御就任以来、政治的中立が疑われる発言をなさったり、あるいは慰安婦問題について政府におもねるとも受け取られかねないような御発言をされるなど、非常に籾井会長の御発言が大きな問題として指摘をされているわけでございます。今日も何でこんなふうにNHK問題について集中審議をしなくちゃならないのだろうかと、こういうふうにおっしゃる方もいらっしゃいます。
非常に私もこれは悲しいことだと思います。しかしながら、受信料によって成り立っているNHKは公共放送であり、まさにこれは従来から私申し上げておりますとおり、国民にとっての財産だと思うわけですね、財産だと。だから、NHKさんにしっかりしてほしいと、国民の期待に応え得る組織としてしっかりともう一度信頼を勝ち得ていただきたいというふうに思うからこそ、我々はこうして時間を割いてこの国会という場において審議をさせていただくわけでございます。その点をどうか十分に御理解をいただきたいとお願いいたします。
特に、籾井会長、前回も申し上げましたけれども、現場の記者さんも職員の方も、皆さん頑張っていらっしゃいますよ、この状況の中で。しかしながら、トップである籾井会長のその言動によってかなりNHKに対する国民の信頼は揺らいでいるということは重く受け止めていただきたい。会長御自身の御人格がいいとか悪いとかそういう話ではなくて、これは公共放送のトップとしてやはりそれは問題があるのではないですかということでございます。仮にも籾井会長は受信料から年間およそ三千百万円の報酬を得てその任に当たっていらっしゃるわけですから、しっかりとその点は肝に銘じていただきたいと思います。
数々の御発言に加えて、今年に入りましてからは、会長の私的なゴルフに行かれる際にハイヤーを使われて、その代金を一時的とはいえNHKが立て替えると、およそ五万円のハイヤー代を立て替えることになったということがございました。これについては監査委員会も動いたわけでございますけれども、今日はこのハイヤーの問題から伺ってまいりたいと思います。
それでは、早速、上田監査委員に伺わせていただきます。
この監査報告書、読ませていただきました。本来、この立替えという発想自体、私はおかしいと思うわけですよ、本来。そもそも、本当に会長御自身が私用で使われるんだったら、ハイヤーの会社の電話番号を聞いて、会長が御自身で取られたらいいわけです。そこでNHKの職員が、秘書室の職員がその業務をしているということ自体、私はもうこれ公私混同だというふうに思っています。
にもかかわらず、この報告書は、最後、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではないという意見をまとめていらっしゃいます。監査委員会の結論そのものも、私はそういった意味では一般常識から懸け離れているというふうに思います。
順に伺いたいわけですけれども、籾井会長にまずこの事実関係を正式に聴取したのは、この報告書によりますと三月九日と三月十六日というふうに記載をされておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

○参考人(上田良一君) 監査委員会として会長に事情をお伺いした一番最初は、三月の六日の日でございます。

○林久美子君 今、上田委員御自身がお答えになられましたけれども、この監査委員会の対応というのを見たときに、三月六日に事実確認の聴取を行ったと。会長からの聴取という項目立てでは、三月九日と十六日に会長から事実関係等について聴取したと書かれております。
ということは、都合三回会長にお話を伺われたということかと思いますが、それでは伺いますが、三月六日の会長への聴取は、監査委員、どなたが行われたんでしょうか。

○参考人(上田良一君) 三月六日の会長との監査委員による面談は、私が一人で行いました。

○林久美子君 そもそも、私は、これ一人で行うというのはおかしいと思いますよ。その中の話が、じゃ、いかに正確に行われているかというのを誰が証明できるんでしょうか。
その後の二日間の聴取はどなたが行われましたか。

○参考人(上田良一君) 三月六日は私一人。それから、三月九日は、当時、監査委員一名欠員がありまして、室伏委員と二人で面談をいたしております。それから、最後、十六日ですか、これは私と事務局同席の下で行っております。

○林久美子君 今の御答弁ですと、三月六日は上田委員がお一人、三月九日は上田委員と室伏委員、三月十六日は上田委員と事務職員ということでございます。
通常、こうした正式な聴取というのはそれなりの形をもって行われるのが普通だと思いますけれども、なぜこういうあやふやな、日にちによって聴取体制が違うということが起きているんでしょうか。

○参考人(上田良一君) 監査委員会は、三月五日までに、コンプライアンス担当理事から本件の概要及び順次判明した事実について報告を受けております。会長の本件ハイヤー利用が公用又は私用のいずれかについて早急に確認する必要があるという判断の下に、三月六日の日に私の方で、その調査の必要性の緊急性に鑑みまして、単身で事前の連絡なしに会長と面談をいたしております。

○林久美子君 つまり、聴取の仕方そのものがまずずさんだということを私、指摘をしたいと思います。
この監査報告書について、後に経営委員会に御報告を上田委員、なさいました。そのときに、この監査委員会の報告書の二ページ目の上の方の段に、三行目ですね、「当該ハイヤー代金を自己で負担する意向を示していたと述べ、ハイヤー代金はその場でただちに支払うと申し出た。」というのが、これ三月六日のこととして記載をされているわけでございますが、上田委員は、経営委員会においてこうおっしゃっています。「私が三月六日に初めて事実確認をした際に、私に対しての発言です。会長のことばとして、私に対して「私用だということを、秘書室に対して、きちんと当初から言った」と会長がおっしゃっています。その辺がどういう会話をしたかわかりませんが、」というふうに上田委員御自身、おっしゃっているわけです。
ということは、この報告書を作るに当たって、非常に言い方は悪いですけど、籾井会長がおっしゃることをうのみにされているように私には見えるんですけれども、この点はいかがでしょうか。

○参考人(上田良一君) 今の御指摘は、うのみにしたのではないかという御指摘でありますが、度々私の方から答弁をさせていただいておりますけれども、監査委員会といたしましては、関係部局や秘書室を中心にヒアリング等を行いまして、複数の対象者からの聴取内容等を総合的に勘案して監査委員会報告書記載の事実を確認いたしております。
したがいまして、会長からの事情聴取ももちろん考慮に入れておりますけれども、それ以外の、具体的にはこの監査報告書の二ページ目に、どういう日時でどういう方々に聴取したかという概略が書いてありますけれども、これを総合的に判断して報告書は記載させていただきました。

○林久美子君 それでは、総合的に様々な方から聴取をして報告書を作成されたというお話でございました。
先日、我が党の難波委員の御質問に対しまして、今回の監査に当たって、上田監査委員は、およそ十人に聞き取りをしたと御答弁をされています。この十人の方がどこの部署のどういう立場の方でいらっしゃるのか、そしてその方々に対してどなたがヒアリングをなさったのか、お答えいただけますでしょうか。

○参考人(上田良一君) 監査の具体的な調査方法については公表を控えさせていただきますけれども、この監査報告書の二ページ目に、誰に対して、それからいつやったかという概略が記載してありますので、この報告書の内容が今お話しできる内容です。

○林久美子君 具体的にお名前を言ってくださいと申し上げているわけではなくて、どこの部署のどういう立場の方ですかと。例えば、秘書室であれば室長さんとか、いろいろいらっしゃるわけですよね。そういうふうにしてお答えをいただければと思いますが。

○参考人(上田良一君) ここに記載いたしておりますように、まず会長からの聴取を行っております。それから、コンプライアンス統括理事からの聴取を行っております。それから、秘書室からの聴取は、前回も答弁させていただいたと思いますけれども、本件に関係あると思われる方々の事情聴取を行っております。それから、関係部局職員からの聴取を行いまして、これはハイヤーの手配等を担当しております総務局関連の職員、それから、実際の支払がどういうふうに行われたかということで経理局関連の職員。それから、秘書室を統括する立場にあります副会長からの事情聴取。こういうのを行っております。

○林久美子君 なかなか明確に、それが例えば局長さんなのか課長さんなのかとかいう細かいところまでお答えいただけないわけでございますけれども、先日、秘書室は三名の方から聴取をしたと委員お答えだったかと思います。このNHKの秘書室の職員さんは、室長が一人、専任部長一人、副部長五人、一般職二人の計九人であるというふうに内訳は伺っております。この中のどういうポジションの方に伺われましたか。

○参考人(上田良一君) 具体的に誰に聞いたかということは公表を控えさせていただきますが、監査委員会といたしましては、必要な事実関係、特に本件に絡む方々には事情聴取ができて、事実関係を確認できたものというふうに認識いたしております。

○林久美子君 きちんとお答えをいただきたいと思いますが。
では、上田監査委員がおっしゃる本件に明らかに絡んでいるという判断をなさったのは、どういう要素で本件に明らかに絡んでいるということでその三人を選ばれたんでしょうか。

○参考人(上田良一君) これは、私どもの判断、監査委員会の判断に基づいて重要と思われ、かつ情報が拡散することを非常に懸念いたしまして、直接的に関係あると思われる方々を中心に事情聴取を行いました。

○林久美子君 上田委員、よく理解していただきたいと思いますが、我々は今回の監査委員会の報告書は極めてずさんだと思っているわけです。そうじゃないということを理解してほしいのであれば、挙証責任は監査委員にあるんですよ。分かりますか。
であれば、この三名の方の中に、私、じゃ、順番に伺いますよ、ハイヤーの利用を提案した職員は入っていますか。

○参考人(上田良一君) 申し訳ありませんけれども、具体的な調査手法、誰にという個別の回答は控えさせていただきたいと思います。

○林久美子君 それでいて、監査報告書を信頼してくれと言われたって信頼できるわけないんですよ。
何で私がこういうことを伺うか申し上げましょう。
最初に、室伏委員と上田委員がお二人で籾井会長に事情聴取をされる前に、お一人でお会いになられたとおっしゃいました。これは非常に疑念を生むわけです。誰も聞いていない中で会長と二人で会って、ヒアリングする人をピックアップする、これは可能になるわけですよ。そうやって選んでいないということは、第三者は証明できないわけです。証明できない。だからこそ、だからこそ、最もこれに関係がある人たちに話を聞いたんだというのであれば、ハイヤーを手配した人が入っているんですかと聞いているだけじゃないですか。何で答えられないんですか。

○参考人(上田良一君) お答えいたします。
三月六日、私が一人で会長と面談いたしましたのは、先ほども申し上げましたように、三月五日までコンプライアンス担当理事からの本件の概要、順次判明した事実について報告を受けておりまして、最終的にこれが公用であるか私用であるか、ここが確認できていなかったわけです。したがって、まず、公用か私用かというのを確認するために、緊急性があると私は判断いたしまして、事前の通告なしに会長のところにお邪魔して確認をしたわけです。

○林久美子君 公用か私用か確認するために私の方で行きましたとおっしゃいますけど、それは余りにもいいかげんですよ、委員。それが本当に公用か私用か確認するために行ったんですと幾らおっしゃっても、じゃ、それは誰が証明するんですか。上田委員と籾井会長以外の第三者で、誰が証明できるんですか。

○参考人(上田良一君) 私が三月五日までにコンプライアンス担当理事から本件に関して報告を受けた中で、公用と私用の区別のところだけが確認できていないという報告を受けていましたので、まずはそこを確認する必要があるという判断の下にお会いしました。

○林久美子君 これは理解は得られないと思いますよ、そうやっておっしゃったって。それを証明できる人はいない。
だから、だからこそ、ちゃんと本来ヒアリングをしなければならない人に話を聞いているのかということを私は外形的に確認をさせていただきたいわけです。ちゃんと話を聞くべき人にヒアリングをなさっているのであれば、そうですねということも言えるかもしれない。でも、誰に聞いたかすら言えない、これはおかしいんじゃないですか。
もう一度伺いましょう。ハイヤーを使ったらどうですかと勧めた職員さんにはヒアリングをされましたか。

○参考人(上田良一君) 今の委員の御質問は極めて重要な点だと思いますので、そういう重要な関わり合いがあると私どもの方で判断した職員に対しては事情聴取を行っております。

○林久美子君 極めて抽象的な御答弁になりましたけれども、今の御答弁は、ハイヤーを使ったらどうですかと言った人にヒアリングをしたということでよろしいですね。

○参考人(上田良一君) 個別具体的な回答は控えさせていただきますけれども、先ほど申しましたように、極めて重要な点でありますので、その重要な点に絡んだ職員に対しては事情聴取を行っております。

○林久美子君 なかなかきちっとお答えいただけないわけですけれども。
では、続いて伺いますが、このハイヤーの伝票の起票、時間がなくて慌てて起票したというふうに監査報告書には書いてあって、そこの点も非常におかしいと思うんですけれども、伝票を起票した職員さんもヒアリングをなさいましたか。

○参考人(上田良一君) 重要性のあることに関わった職員には私の方で事情聴取を行っております。

○林久美子君 それは何によって証明ができますか。

○参考人(上田良一君) 何度もお答えいたしていますように、関係部局、秘書室に限らず、関係部局を含めていろんな方々に、複数の対象者に事情聴取を行っておりまして、その中から判明して極めて重要だと思われる、それから、既にコピーの提出をいたしておりますが、乗車票がありますので、そういったことに絡んだ方々に関しては基本的に事情聴取を行っていると、こういうことです。

○林久美子君 いろいろな方に事情聴取したとおっしゃっていますけれども、上田委員は十人とおっしゃいましたよね。話を聞いたのは十人とおっしゃいましたよね。その中の三人が秘書室なんですよね。その中の二人が、ハイヤーを使ったらどうですかと言った人が一人、我々の手元にいただいたのは黒塗りになっていましたけど、このハイヤー乗車票を起票した人が一人入っているということでよろしいんですね。

○参考人(上田良一君) 繰り返しで大変申し訳ありませんが、具体的な調査手法とか方法につきましては公表を控えさせていただきますけれども、先ほどから私の方で繰り返しているように、必要だと思われる職員に対しては事情聴取を行ったということです。

○林久美子君 後ほど伺おうかと思っていたんですが、私から申し上げますが、上田監査委員が複数で聴取をされたのは籾井会長に対する二回目の聴取、室伏委員と。で、先ほどお答えになった三回目、事務職員の方と聴取をされた。それ以外の残り九人の方に対する聴取はどなたがされましたか。

○参考人(上田良一君) 監査の具体的な手法、内容に関しては公表を控えさせていただきますが、何度かお答えいたしておりますが、監査委員会といたしましては、自ら直接に関係部局や秘書室を対象にヒアリング等を行い、複数の対象者からの聴取内容等を総合的に勘案して監査委員会の報告書を作成しております。監査委員会といたしましては、必要な事実関係を確認できたものという認識をいたしております。
それから、本調査に際しましては、あらゆる予断を排した上で関係部局からのヒアリングを行っております。

○林久美子君 そもそも、これ皆さん是非考えていただきたいんですけど、これ民間企業でもそうですけど、監査するときは、どこから見ても、ちゃんとやりましたね、公平にやりましたね、恣意的なものが入る余地がなく行われましたねというものができ上がって初めて監査として成り立つわけですね。それが、残念ながら今のところ、上田監査委員の御答弁だと、誰に聴取したのか、どうやってやったのかも言えない、でもちゃんとやったんですとおっしゃる。これを信じてくれと、これなかなか難しいですよ。
もう一つ申し上げましょう。
NHKさんは、冒頭申し上げましたように、国民の受信料で成り立っているわけです。だから、民間企業以上にこういうことについては厳しく自らを律して取り組まなくてはならないと私は思います。
上田委員、今、どういうふうにヒアリングしたか言えない、詳細言えないとおっしゃいましたけれども、でも、経営委員会の場では発言されていますよ。監査委員は三月六日に会長に事実確認の聴取を行いました、私が会長と一対一で事実の確認をまず行ったということですと。その後、三月九日に早速私と室伏委員の二人で会長から事情聴取を行いました、その後、私の方で副会長、コンプライアンス統括理事、秘書室及び関係部局職員から事情聴取を行っておりますとおっしゃっているじゃないですか。
上田委員、お一人でなさったんじゃないですか。

○参考人(上田良一君) 私が常勤でNHKにいますので、私を中心に複数の事務局のメンバーと一緒に、事情聴取は、その後のものは全て行っております。

○林久美子君 事務職員と一緒に残り全ての九人の方のヒアリングを行ったということでよろしいんですね、では。

○参考人(上田良一君) 監査委員会は監査委員会事務局というのがありまして、事務局の職員が私をサポートしてくれているわけですが、その事務局の職員と一緒に行ったということです。

○林久美子君 それは何らかで証明できますか。

○参考人(上田良一君) 具体的な調査方法というか内容については公表を差し控えさせていただきますが、調査の方法としては、今私が申し上げましたような方法で行ったということです。

○林久美子君 これ、残念ですよ。ちゃんとやったんだったら、ちゃんとやったと証明をしてください。例えば、事務職員と一緒に行かれたのであれば、そのときの記録が残っているとか、せめて、この人とこの人とこの人に聞きましたと言っていただいたら確認が取れるじゃないですか、こちらも。何かちゃんと記録を残していらっしゃって、それを証明できる方というのはいらっしゃるんですか。これは監査が適正に行われたかどうか、非常に重要な点だと思いますよ。いかがですか。

○参考人(上田良一君) 繰り返しになりますけれども、具体的な調査方法、内容については公表を控えさせていただきたいというふうに思います。(発言する者あり)

○委員長(谷合正明君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕

○委員長(谷合正明君) 速記を起こしてください。

○林久美子君 今、やじが大きいとかいろいろございましたけれども、それは与野党共に委員会でそういうことを過去もなさってこられているわけですから、それよりもむしろ当委員会がやるべきことは、当委員会がやるべきことは、委員の皆さん、よく聞いてくださいよ、国民の受信料によって成り立っているNHKなんだから、そこの監査委員が、監査委員会が今回きちっとやりましたと、違法性はありませんでしたという報告書をまとめたのであれば、ちゃんとそれが信頼に足り得るものかどうか、きちっと明らかにしてもらおうということはこれは連携してもいいんじゃないでしょうか。どうですか、皆さん。私はそう思います。そういうこと必要ないですか、必要ないですか。
ですので、私はしっかりとその点を明らかにしていただきたいと思うわけであります。これ、今日この委員会で明らかにならないとすれば、これは委員長もしっかりと質疑をお聞きいただいていますから、何らかこの監査がしっかりと行われたんだということを証明をしていただかないと、これはなかなかうんと言えないわけであります、大事なNHKですから。是非、これは御理解をいただきたいと思います。
じゃ、ちょっと次の、違う角度から伺いますよ。
今回、私、冒頭申し上げましたけど、そもそも立替えという発想がおかしいと。民間からいえばもう考えられないですよ、私、地方のテレビ局にいましたから、ちっちゃいところでしたけど。民間からいえば考えられない、こんなことは。今回、監査委員会は、違法性はないということで、今後ちょっと気を付けてよねという報告書をまとめられましたけど、上田委員は、これ放送法の七十三条の中の、第二十条第一項から第三項までの目的のどの部分で今回の支出が適法だという判断をされたんでしょうか。

○参考人(上田良一君) 今御指摘の放送法の根拠ですけれども、放送法第七十三条第一項では、「協会の収入は、第二十条第一項から第三項までの業務の遂行以外の目的に支出してはならない。」と、委員御指摘のように記載してあります。
会長は協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する立場にあることから、放送法第二十条第一項ないし第三項所定の業務に関連あるものという理解をいたしております。

○林久美子君 それではちょっとよく分からないので、具体的にお答えいただけますか。

○参考人(上田良一君) 繰り返しになりますけれども、会長のその業務を総理するというお立場から、この放送法第二十条第一項ないし第三項所定の業務に関連があるというふうに理解いたしております。

○林久美子君 じゃ、その総理する業務のどの部分がこの条文のどこに当たるということでしょうか。

○参考人(上田良一君) 総理するというお立場にある会長のその業務が、この第二十条第一項ないし第三項の所定の業務に関連があるというふうに考えております。

○林久美子君 今の御答弁ですと会長が何やっても大丈夫だということになってしまうんじゃないかという懸念をしますよ。
それでは、高市総務大臣に伺いたいと思います。非常に、先ほども申し上げましたけど、私たちは残念なんですね。監査やるならちゃんとやってほしかったし、本当に問題がないんだったら問題がないとちゃんと分かる監査報告書にしてほしかったし、それをちゃんと証明していただきたかったというふうに私は思っています。
大臣は、三月三十一日の当総務委員会において、今ほど質問させていただきました放送法七十三条に照らすと、今回の事案というのは総務省としては可とすると、それは認めるのかという我が党の難波委員の質問に対して、法律の立て付け上、どうしても監査委員会においてこれは自律的に、自己規律的に判断をしていただかなきゃいけないということでございますという御答弁をされていらっしゃいます。
これは、放送法七十三条と今回の事案を照らし合わせた場合、すなわち今回のことに限ってのみのことをおっしゃっているのか、それとも、常に総務省は監督官庁であるにもかかわらず放送法に照らした判断を主体的にすることはないということをおっしゃっているのか。いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 一般論として申し上げますと、放送法、これはNHKだけではなく民間放送事業者も対象になるものでございますが、これが法律に合致しているのか、また違反するのか、この行政としての判断は総務省が行うべき仕事でございます。
今回は、これは、NHKの監査委員会、受信料によって運営されるNHKについては監査委員会の監査の実効性を確保するために監査委員に対して大変大きな権限を与えているということで、自律的な取組によって業務の運営の適正を確保しているという、そういう立て付けによりますから、今回の事案と放送法七十三条の関係についても、まずは監査委員会について自律的に判断をいただく、その調査の結果を尊重すると。自律、自己を律する仕組みという観点からのものでございます。放送法全ての対応についてのことではございません。

○林久美子君 これまでの監査委員とのやり取りをお聞きいただいて、今回の監査委員会が自律的に判断をされた、作成をされた監査報告書、これについて総務大臣は可ということでいいんでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 監査委員会が放送法によって与えられた権限を行使して自律的に調査をされたという結果に基づいて示されたものでありますので、総務省としてもこれは尊重したいと考えております。
ただ、これまでのやり取りを伺っておりまして、個別具体的に言いにくいというのはプライバシーに配慮したことなのかもしれませんけれども、この報告書に書かれてある内容について、こういうことをされた方、こういうことをされた方について聞きました、聞きませんというのは別にプライバシーに当たらないので、分かりやすい範囲でもう少し分かりやすい御回答があってもいいのかなという感想は持ちました。しかし、監査の結果そのものについては総務省として了といたしております。

○林久美子君 上田監査委員、今の大臣の御答弁をお聞きいただいて、やはりこれは、大臣が御覧になっても、お聞きいただいても、やや分かりにくいですねということだったんだと思いますよ。これ監査をやはりしっかりともう一度やり直すべきじゃないですか。疑念の余地が挟まれないようにしっかりとやり直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○参考人(上田良一君) 私どもとしましては、何度も申し上げておりますように、監査委員、必要な事実関係を確認できたというふうな認識でおりますので、新しい事実が出てこない限りにおいては、改めて監査を行うということは考えておりません。

○林久美子君 私、経営委員会の議事録を読ませていただきました。浜田委員長も、当日すぐに最初は了承するようなつもりじゃなくて、議論しましょうみたいな形でスタートをされていたと思います。それがもう今日決めちゃいましょうよみたいな話で最後行っちゃっているわけですけれども、私、やっぱり、今回の監査を見ても思うんですが、経営委員と監査委員を兼ねることはもう無理なんだと思います。きちっと監査できるならいいですよ。でも、できないんですもの。少なくとも、疑念を挟まれる余地をつくるような監査しかできないのであれば、これはやはり私、監査委員会を独立させるべきだと思います。
この点について、高市大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 経営委員も監査委員も、まあ監査委員は経営委員から選ばれるわけですけれども、NHKの身内ではございません。これは、NHKの経営をしっかりと見ていくということで有識者から、主に有識者から両院の御同意をいただいた上で内閣総理大臣が任命されている、その経営委員の中から監査委員を選んでいるという仕組みは、これは、やはり経営委員として、NHKの大変幅広い、経営委員のやるべき仕事というのはもう放送法に書いてあるだけでも相当幅広い業務を見ている、その知見を生かしてしっかりと監査をしていただくという意味でございます。
また、私が承知しておりますのは、経営委員会と監査委員会、事務局も別々、それぞれに置かれて独立した存在として仕事をしていただいていると。ですから、今の仕組みで妥当だと私は考えます。

○林久美子君 今大臣は、身内ではないし、幅広い知見を生かして監査してもらうんだというお話でございましたけれども、身内ではありませんけど、経営委員の皆さんが会長を選ぶわけですからね、罷免だって経営委員会がするわけですから。ある意味では、私は、NHKという組織の身内ではないですけれども、会長にとっての身内だと思いますよ、やっぱり。
さらに、幅広い知見に基づいて監査をしてもらうということでございますけれども、そうであれば、監査委員会を独立させて経営委員会に陪席してもらえばいい。陪席してもらえば、そこで議論される幅広いNHKの職務についても十分に理解をされる、能力のある方がなられるわけですから、その点についてはクリアされるというふうに思います。
是非、今回のこの監査を受けて、これは総務省として、もう一回、組織の仕組みの在り方として少なくとも検討していただけないでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 先ほども申し上げましたけれども、現在の仕組みについては私は妥当だと考えております。
監査につきましても、法律に基づいて、与えられた権限によってなされた監査であります。
報告書の内容も、私が読む限りは内容は非常に分かりやすくできていると思うんですが、今日の委員の御質問に対して、もう報告書に書かれてあることというのは、私の理解では全てヒアリングをちゃんとした上であるからこの報告書に書かれてあるんだろうと思いますので、ですから、こういう内容について聞かれたんですかとか、その程度の御質問、ここの報告書に書いてある御質問について全く答えにくいということについては、もう少し答え方を工夫していただけたらいいかなと思います。個別の氏名を挙げろというんじゃなくて、ここに書いてあることは恐らく全てきちっとヒアリングをした上で作られたものだと、監査委員はそのように責任感を持ってやっていただいていると私は信じておりますので、ちょっと答弁のなさり方から分かりにくかったように感じます。

○林久美子君 非常に思いやりあふれる御答弁でございましたけれども。
そもそも、上田委員が一人で聴取をされたり、あるいは職員を連れて聴取をしたといっても、それを証明するものがなかったり、誰に聞いたかということも言えなかったりということであっては、これは幾ら総務大臣がきちんとやっていると思うわとおっしゃったところで世間一般の理解は得られないということを私は申し上げたいと思います。
ただ、そもそも籾井会長がやはり公私混同とも取れることをなさったり、様々な御発言をなさったりすることにこうした事態が起因しているということを思えば、もう一度籾井会長にはしっかりと改めていただきたいと思いますし、昨年は一連のこういう不祥事について視聴者の皆さんに対しておわびの番組を放送されました。
今回も相当いろんな意味で、今年に入ってからも八千件の電話が来て、そのうち七割ぐらいが厳しい意見だったということも伺っていますので、今回、視聴者の皆様に何らかおわびを番組でされる御予定は、会長、おありでしょうか。

○参考人(籾井勝人君) 私としましては、いろいろ御迷惑をお掛けしたということはそのとおりでございますし、今後とも丁寧に真意を説明することに努めて、視聴者の皆様との信頼を築いていけるよう努力をしていきたいと思います。
実際に、このハイヤーの問題につきましても、監査委員報告が出た時点で私の意向を表明したものをホームページにも載せております。そういう形でいろいろ今後とも誠心誠意NHKのためにやっていきたいと思いますし、疑問がいろいろ起こらないように、もう誠心誠意の努力をしていく所存でございます。

○林久美子君 最後に、浜田委員長、会長の任命、罷免権も含めて持っている経営委員会トップとして、そして監査委員が経営委員のメンバーとして兼ねていらっしゃるわけですけど、今回の監査の報告書、よく、私、経営委員会として了承なさったなとも思うわけですが、これ今後、経営委員会として、会長の問題、あるいは監査の在り方、委員長としてどういうふうに取り組んでいこうと思っていらっしゃいますか。

○参考人(浜田健一郎君) 国会を始め様々な御指摘を経営委員会としていただきました。また、附帯決議でも御指摘をいただきました。それらを踏まえて、経営委員会としては放送法に則して今後取組をしていきたいというふうに思っております。

○林久美子君 それでは時間が参りましたので終わらせていただきますが、きちっとしたお答えを本日、上田監査委員からいただけませんでしたけれども、最後に申し上げたいのは、やはりNHKというのは国民の皆さんの、視聴者の皆さんの受信料で成り立っているんだと、これは経営委員の皆さんの報酬もそうですよ、会長の報酬もそうです。その重さというものをしっかりともう一度胸に刻んでいただいて、視聴者の皆さんがそうだねと納得がいくNHKであってほしいと。少なくとも、現場の職員の皆さんは頑張っている、視聴者の皆さんも期待をしている。であれば、肝腎のトップがこういう状態ではやはり良くありませんねということになるんだと思います。
そういうことをしっかりと御理解いただきたいということをお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。