KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第187回臨時国会 総務委員会 2014年11月13日

第187回臨時国会 総務委員会 2014年11月13日(未定稿)

○林久美子君 おはようございます。民主党の林久美子でございます。
 急遽、解散・総選挙が行われるのではないかという話が出ておりまして、総務省も大急ぎでもしかしたら準備をしていらっしゃるのかもしれないと思います。六百億円を超える税金が投入をされる衆議院の解散・総選挙に大義があるのかという点については私は大いに疑問を感じておりますけれども、しっかりと我々としてもその場合には受けて立ちたいというふうに、まず冒頭お話をさせていただきたいと思います。
 さて、今日は久しぶりにNHKの籾井会長にもお越しをいただいていますけれども、今日は無戸籍の話を中心に伺ってまいりたいと思います。
 まずは実態からなんですが、皆様、無戸籍という問題を御存じでしょうか。この日本において戸籍がない人がいると。ある方によると、一万人ぐらいいるのではないかというふうに言われています。
 では、なぜ戸籍がない人が存在するのかというと、一つは民法七百七十二条の三百日規定。離婚した後、三百日以内に生まれた子供は前の夫の子供とするという規定があります。一つはこれによるもの、もう一つはそれ以外と、大きく言えば二つに分けられるかと思うんですが、この七百七十二条に関していえば、例えば夫からDVを受けて着のみ着のまま逃げ出して、離婚もできないまま、例えばほかの男性とその何年後かに恋に落ちて子供を授かって産んだとしても、離婚ができていなかったら戸籍上は前の夫の子供になってしまう。離婚手続をするのにも、まあこれは女性は本当にお分かりいただけると思いますが、きっとそうやって暴力を振るうような元夫のところと話をするのは非常に怖いわけで、離婚すら成立していない場合もあるし、何とか離婚が成立していても、実際はずっと離れて暮らしていたけれども、三百日以内に生まれてしまったら戸籍上は元夫の子供になるからという、そういう実態があるわけです。
 この嫡出推定というのは、子供の福祉の観点に立っても、父親が存在しない状況をつくらないという意味からも、ある一定必要性はあるんだと思いますけれども、この七百七十二条によって無戸籍になって、そのまま今もう成人してしまっている人も数多くいらっしゃいます。それ以外のケースというのは、例えばネグレクトとかいうこともあるでしょうし、やむにやまれぬ事情で子供を授かったということを社会に、なかなか表に出せないというような、非常にこれもまた深刻なケースもあるわけです。
 この無戸籍であるということでどういう不利益を被るのかというと、基本的には戸籍がないと住民登録ができないわけです。だから、住民票がないので国民健康保険への加入もできないし、子供が学校へ行くにも就学通知は来ないし、当然参政権もないから選挙にも参画をすることができないし、運転免許も取れないし、あるいは国家資格の取得もできないと。実際に私が会った成人した無戸籍の方なんかは、小学校にすらやっぱり行ったことがないと。お母様は何度か掛け合われたようですが、住民登録がないことを理由に学校も行っていない、だから小学校も中学校も高校も行っていない、そういう方がこの日本にやっぱりいるんだということなんですね。
 我が国の根幹を成すものということで戸籍というのは非常に信頼性の高いものなんですけれども、でも実は万能ではありません。先ほどの三百日規定もそうなんですけれども、一応法律的には、婚姻後、二百日を経過した子供はその夫の子供となるんですけど、今も非常に多いですが、授かり婚とかは、子供ができてその後に入籍をした、実際は婚姻してから百日とかで子供が生まれていたりするケースもいっぱいあって、本当は嫡出子ですらないはずなんだけれども、今の日本の現状においてはそれはそぐわないので、二百日経過していなくても、婚姻関係にある夫の子供とこれはなるわけですね。片や厳格に運用されているところもあれば、片方では非常にそういう意味では非常に緩やかに運用されているということで、私には、どうしても民法とかいうものに、戸籍というものにかなりバグがあるんじゃないかなという感じがしています。
 まず冒頭伺いたいんですが、こうした法律の隙間に無戸籍の方たちというのは落ちてしまっています。ようやく法務省も実態調査に乗り出していただきました。最新の数字を教えていただきたいのと、そのうち一体成人の方が何人いらっしゃるのか、その理由についても分かる範囲でお答えいただければと思います。

○大臣政務官(大塚拓君) お答えを申し上げます。
 法務省におきましては、本年の七月三十一日に民事局民事第一課長通知というものを発出をいたしまして、市区町村の職員等を通じて各地の法務局が無戸籍者の存在に関する情報を集約するという取組を開始したところでございます。
 この取組の結果、十一月十日現在、これは七月三十一日に発出してこれまで三回報告が上がってきておりますけれども、その三回目となります十一月十日現在で、全国で四百二十七人の無戸籍者を把握しております。このうち成人は六十人となっております。
 それから、理由ということでございますけれども、この取組においては、無戸籍となった理由が分かる場合にはそれについても報告をするようにということを求めております。その結果、民法の七百七十二条により嫡出推定が及ぶ場合に、戸籍上、夫又は前の夫の間との子とされるのを避けることを理由として出生届出をしていないと認められるものが全体の九六%を占めているという状況になっております。

○林久美子君 実は、この七百七十二条関係に関して言うと、平成二十年の七月から、認知の調停をしているとか親子関係の不存在の確認の調停など裁判手続を行っていることが証明できる場合は、出生証明書などがあれば戸籍の記載がなくても市町村長の判断で、職権で住民登録できるようになりました。以降、年間、大体平均で五百件超えているんです。だから、毎年五百件を超える人が戸籍はないけれどもそういう裁判の手続などをすることで住民登録をしているわけですけれども、その数字から考えると今回のこの四百二十七人という数字は私は少ないというふうに思うんですけれども、これは各市町村等を通じて調査をされたというふうに今おっしゃいましたけれども、全ての自治体の何%から回答が寄せられたんでしょうか。

○大臣政務官(大塚拓君) これまでのところ、当初しばしば指摘されておりましたが、一部の市区町村において、個人情報保護条例との関係などを懸念をして法務局に対して情報提供をちゅうちょしているということがあるというようなお話を聞いたわけでございます。そういうこともございまして、十月十七日付けで民事局民事第一課長補佐事務連絡というものを発出をいたしまして、この情報提供の要請は戸籍法に基づくものであるということを改めて全国の市区町村に周知をいたしました。
 この取組の結果として、十月十日、三回目の報告までで全国の百八十、九十六市区町村のうち九六%に当たる千八百二十二、九六%でございます、自治体の数の、九六%の市区町村から情報提供がされているという状況になっております。
 こうした意味での取組というのは今後も継続していきたいというふうに思っております。

○林久美子君 先日、実はレクを受けたときは非常に回答率が低かったんですね。最初の段階は一割の自治体からしか回答が寄せられていないということなんですけれども、そのときはたしか三百六十ぐらいの数字だったんですけど、九割を、九〇%を超える自治体からというので間違いないですか。

○大臣政務官(大塚拓君) 当初非常に低かったというのは事実でございます。九月十日、十月十日の時点では低い数字が出ていたということでございますが、今回の分についてでございますけれども、その九六%の内訳になりますが、無籍者の情報を提供した市区町村が二百六十九で全体の一四%、無籍者の存在を把握していないというふうに回答してきた市区町村が千五百四十三で全体の八一%、それから、把握をしている無籍者が一歳未満、要するに、まだ無籍者と認める年に至っていないというのが十件ということで、これらを合わせて九六%ということになっております。

○林久美子君 分かりました。そういうことであれば、八一%の自治体が無戸籍者について把握をしていないということだったということで跳ね上がったということなんだと思います。
 高市大臣、これはやっぱり自治体がしっかり協力して、無戸籍者の把握に努めるべきなんだと思います。大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。

○国務大臣(高市早苗君) 私も最初、回答率が一割ほどと聞いておりまして大変低いと思っておりました。これもやはり個人情報との絡みでちゅうちょがあって、その後ちゃんと法に基づくものであるという通知がなされて、回答率がこれだけの数字、九六%になったということそのものは評価できるかと思います。
 しかし、把握できていないという現状を今内訳で伺いましたので、これは総務省としても地方公共団体に対して必要な助言を行ってまいらなきゃならないと今思いました。

○林久美子君 ありがとうございます。
 やはり自治体というのは、住民、そこに住まう方たちにとって最も身近で最も頼りになる機関なんだと思います。そこが、把握していないというところが八一%もあることは非常に私は重大な問題だと認識をいたしますので、これは大臣のリーダーシップを発揮いただいて、是非、全国の自治体に実態を把握すべきだということで発言をいただければというふうに思います。
 さらに、実は住民登録だけでも行いたいということで、まず無戸籍の方が一番最初に行くのは市役所とか区役所とか自治体の窓口なわけなんですが、実はこれ、自治体によって対応が非常にまちまちで、たらい回しにされるケースがたくさんあります。
 さらに、市町村長の職権で住民登録ができるというスキームになっていることもあって、首長さんのスタンスによっても随分と違いが出てきています。実際に裁判を、調停を起こしていなくても、事情をきちっと把握をして住民登録をしているところもあれば、裁判をやっていても駄目だというところもあって、非常に対応がばらついていると。
 実は、ここに問題が二つあります。
 一つは、先ほど申し上げました裁判に至っているケースです。これは、七百七十二条関係は問題ない、一応通知が出ていますからね、一応できるというスキームにはなっているんですけれども、七百七十二条関係以外で、例えば戸籍がなくて就籍の裁判をしていると、就籍の手続をしているという人もいるわけです。戸籍を作る手続です、就籍というのは。このケースについては今のところなかなか積極的に住民登録をしていただいていません。しかしながら、裁判所で正当な手続によって戸籍を作ろうということで就籍の裁判をしているわけですから、これについても七百七十二条と同様、住民登録ができるようにしていただきたいと、これが一つです。
 二つ目は、裁判ができないケース。例えば、これは具体的にあった話なんですが、児童養護施設に無戸籍の子供がいて、職員さんが何度も親に出生届を出してくれと言っても言っても親が出さないと。結局、その子供は無戸籍なままなわけです。でも、子供は自分で戸籍を作ってくれという手続ができるわけじゃありませんから、かといって親がその責任を果たさないのであれば、例えば、児童養護施設というのは公的機関ですから、この公的機関の証明があれば子供に関しては戸籍を作っていただける、あるいは住民登録をしてもらえるというような通知を、これ是非、これは総務省か、出していただきたいと思うんですけれども、大臣、これはいかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 頑張ります。
 住民基本台帳法上、日本人に係る住民票の記載、これは記載の正確性の確保の観点から、戸籍の記載が行われた上でこれに基づき行われるもの、これが基本でございます。
 先ほどから委員がおっしゃっていただいているとおり、民法第七百七十二条に基づく市町村長の判断で住民票の職権記載ができる、これもございますので、この旨はもう既に通知をいたしております。
 ただ、今御指摘がありましたような様々な事案につきまして、やはり戸籍と住民票の連携一致、これも大事な観点でございますので、やはりどういう考え方ができるのか、戸籍制度を所管する法務省と連携しながら検討をしてまいりたいと思います。

○林久美子君 少なくとも子供に罪はないんですよね。だけど、その保護者の在り方によって実際に児童養護施設にいる子供たちはそういうケースがあるのは、これは事実です。
 少子化が非常にこの国の発展の大きな阻害要因の一つともなっている中で、もう今生まれてくれている子供たちすらちゃんと育てられないようでは、私は日本の未来というのは決して明るくないと思います。そういう子供たち一人一人にも光を当てるような取組を、これは是非していただきたいとお願いをいたします。
 あともう一つは、これから先、新たな無戸籍者を出さない取組というのも一方で大切だと思います。
 やっぱり、どうしてもこの血縁関係のない父親との親子関係を七百七十二条などによって非常に強制されてしまう現状を変えなきゃいけない。でも、民法をいじるというのはかなり大変なことで、今すぐできることではないのかもしれません。これは息長く取り組んでいかないといけないことかもしれません。
 ですから、じゃ、今何ができるのかと考えると、出生届を出す段階で父未定という形で出生届が出せないかということです。これは、戸籍法でも父未定の出生届というのはきちっと認められています。認められています。これは、親の事情だけでなくやっぱり子供の利益を優先すべきだということを考えると、七百七十二条関係で明らかに無戸籍になってしまいそうな場合に関して言えば、もうこの人と間もなく籍を入れますとか、もう入れましたとか、これから裁判手続を私たちはやるんですというような人たちに関して言えば、例えば病院の先生の聞き取りがあってもいいし、行政に対する説明とか、まあ幾つかの要件があっても構いませんけれども、前の夫の子供となることを避けるために、あるいは前の夫に知られるのが怖いということで出生届が出せなくて無戸籍児になってしまうのにブレーキを掛けるというためには、父未定という形での特例を認めていただけないかと思います。
 この点に関してはいかがでしょうか。これは法務省の方で、大塚政務官、お願いします。

○大臣政務官(大塚拓君) 現行法上、委員御指摘のように、父を未定とする出生届が受理される場合というのは、嫡出推定が重複をする場合に限られているところでございます。例えば、女性が外国籍であって前の婚姻関係というものが把握できないといったことで、本来は婚姻関係があるにもかかわらず窓口で確認できず誤って受理をしてしまうといったようなケースにおいてこうした重複というものが、余り多いケースではないというふうに聞いておりますけれども、非常に少ないケースというふうに聞いておりますが、存在するということになっております。
 戸籍制度は、そもそも民法によって定まる親族的身分関係を登録、公証するものでございますので、御指摘の事案、そうしたケースにおいて、今の重複するようなケースを除いた場合に、民法の七百七十二条の規定によって子が嫡出推定を受け、母の夫又は元夫というものが法律上の父として定まっているということになるわけです。
 実際に定まっているそうした父親というものが法律上存在している状況で、裁判等の手続を経ない段階で、市区町村の戸籍窓口において一方当事者のみから事情を聞いて父が定まっていないものとして出生届を受理しその旨を戸籍に記載することは、民法によって定まる親子関係とは異なる戸籍の記載をするということとなってしまいますので、戸籍制度の本質と整合しないということで、こうした形での出生届を父未定という形で受理することができないというふうになっております。
 現在、法務局に相談に来られた無戸籍者に対して懇切丁寧に手続を御案内をするほか、無戸籍者として存在を把握されてはいるがいまだ法務局への存在を案内されていない方、あるいは案内されたものの法務局に相談に来られていない方といった者については、市区町村と相談をしつつ、その方の個別の事情を十分に勘案した上で手続の案内を行うということで支援を努めているところでございますけれども、これが現状のできる範囲ということで、こうした取組を継続して一日も早くこうした状況が解消できるようにしてまいりたいと、こういうふうに考えております。

○林久美子君 だから、結局、戸籍というものを非常に厳格に運用されるんだと思います。
 しかし一方で、二百日以降の出生の子供の話も申し上げましたけれども、私は、厳格である一方でバグがある現実があると思います。やっぱり、生まれてきている子供たちの最善の利益に立った政治をやっぱり我々はしなくてはいけない。政務官もお子様がいらっしゃるのでお分かりかと思いますが、私たちの子供が本当に、もし戸籍がなかったらと想像していただいたときに、きっとその苦しみというのは理解いただけると思います。ですから、どうか前向きに御検討をいただきたいということを強く申し上げたいと思います。
 では次に、お待たせいたしました、NHKの問題について伺いたいと思いますが、時間が余りありませんので、さっと行きたいと思いますが。
 NHKの籾井会長が会長に就任されて以降、いろんなことがあって、先頃の通常国会は連日この委員会にお越しをいただいたりもいたしましたが、実は、放送法第三十二条、委員は、個別の放送番組の編集について、第三条の規定、すなわち、放送番組は、何人からも干渉され、又は規律されることがないという規定があるわけですけれども、この規定に抵触する行為を七月二十二日の経営委員会で、ある委員がなされたと。具体的に申し上げると、ニュース番組におけるキャスターの発言をめぐって、この放送法に抵触をして番組の編集に介入する発言をされたと伺っています。議事録を見たんですけど、全く載っていなかったんですね。なぜかというと、経営委員会議事運営規則で、こういう何か制作業務に関する件については除いて公表するというふうに定められていて、その実態というのがよく分かりません。
 浜田委員長、この経営委員会において委員の一人が個別の番組編集について介入する発言をしたということは事実なのかどうか。また、事実であるとすればこれは大きな問題だと思います、大きな問題。この経営委員は委員としてふさわしくないと思いますけれども、いかがですか。

○参考人(浜田健一郎君) 私は、当日の委員会は事情によりまして欠席をしておりましたが、報告で聞いております。七月二十二日の経営委員会で、全ての付議事項が終了した後に、百田委員より放送された番組に対して感想が述べられ、事実関係についての質問があり、これに対しての執行部からの見解が述べられたというふうに聞いております。
 今委員の方から議事録の公表についてのお問合せもあったわけなんですけれども、放送法第四十一条では、委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、議事録を作成し、これを公表しなければならないと定められております。本件につきましては、経営委員会の規定にのっとり、議事録には御指摘のとおり概要のみ記載をさせていただきました。放送番組及び放送番組の編集に関する情報であり、経営委員会議事運営規則により非公表とさせていただいております。
 以上でございます。

○林久美子君 委員はふさわしくないんじゃないかと。

○参考人(浜田健一郎君) それにつきましては、委員の任命につきましては私の申し上げる立場ではないというふうに思っておりますが、経営委員会としては、意見交換の場も設け、申合せを行うなど、できる限りの努力を続け、意思統一を図っていきたいというふうに思っております。

○林久美子君 経営委員の罷免については、経営委員会でできる形にはなっていなかったでしたっけ。
 しかしながら、公平、公正、中立でなくてはならない経営委員、いろんな地域からの採用も含めてバランス取ってきたはずです、今まで。そういう中で、一個人としてどんな見解をお持ちでも構いません。しかしながら、経営委員としてはやはりフラットであるべきだし、その方が法律に、あろうことか法律に抵触するようなことをなさった場合にはしっかりとした対応をやっぱりすべきだと思います。
 籾井会長に伺います。
 NHKのOBの方千五百人から辞任要求などが出されていらっしゃいます。この件についての受け止めをお伺いしたいのと同時に、以前、会長、七月に、三年以内にインターネットを通じて同時再送信を実現し、ネット視聴者からも受信料を徴収するという方針を示されましたが、十月半ばの二〇一五年度から三か年経営計画の中では、この受信料制度の変更を見送ったというふうに報道をされています。やはり、やや会長が前のめりになっていらっしゃって、多くの共感を呼ぶお取組に対する御努力が欠けていたのではないかと思いますけれども、会長のお考えをお聞かせください。

○参考人(籾井勝人君) お答えします。
 まず、千五百人のOBの話でございますけれども、私就任していろいろありましたけれども、やはり今年度の営業成績、つまり契約数であるとか支払率もこれも増えておりますし、極めて好調に推移しております。私自身もNHKに随分と溶け込んできたという実感を持っております。こういう中で、OBの方がそういう動きをされているということについては非常に残念に思っております。それから、今後も放送法にのっとり、公共放送の使命を果たしていきたいと思います。
 それから、今のネットの話ですが、これは新聞報道について私がいろいろコメントする立場にはございませんが、私のインターネットに関する認識は全然変わっておりません。NHKがインターネットを積極的に活用してコンテンツを提供していくことは時代の要請だと思っております。同時再送信を含むインターネットの活用は今後の重要な課題だと認識しておりますが、今後、放送法など制度の課題、著作権処理、伝送路、財源の在り方や受信料制度との整合などいろいろ慎重に検討していきたいと思っております。
 次期経営計画についてはまだ完成しておりませんので、そういう中で、経営委員会の議決を得れば経営計画を速やかに公表し、考え方を明らかにしていきたいと思っております。

○林久美子君 今の会長の御答弁ですと、全くそのインターネットについての考えは変わっていないと。かなり自信を示していらっしゃいましたので、恐らくじゃこの三年間の経営計画の中に入ってくるんだと思います。入ってこなかったときに、またそのときはそのときで会長の御意見を伺いたいと思います。
 では最後に、国民の、とりわけ地方の国民の生活の必需品といえば自動車でございまして、この自動車には、取得、保有、走行の各段階で複雑で重たい税金が掛かっているというのは今更申し上げるまでもございません。全国の百世帯当たりの自家用乗用車の保有率は百八・八台。高市大臣の御地元の奈良県では百十二台です。つまり、一世帯当たり一台以上の自動車をやっぱり保有していまして、地方に住んでいるほど保有台数が多く、したがって、自動車に関する税の負担は地方の人に重くなっていると、これは今更申し上げるまでもない事実です。平成二十六年度の税制改正では、自動車取得税の税率が一部引き下げられたものの、軽自動車税の増税が決定されるなど、まだまだ自動車ユーザーにとっては厳しい状況が続いていると思います。
 そこで二点伺います。
 一点目は、この生活必需品である自動車の税金は、簡素化と負担の軽減という観点から見直す必要があると思います。これについての大臣の見解をお聞かせをいただきたいと思います。
 もう一つは、今後自動車取得税の廃止の付け替えのような形で環境性能課税が導入をされると。これ、税率のボリュームを見ても、ほぼそのまま振り替えているように私には見えるんですが、やはり日本経済に打撃を与えるとも思いますし、自動車産業というのは雇用も含めて日本を引っ張ってきた産業でもありますので、この産業に対するダメージも大きいと。さらには、先ほど申し上げました税の簡素化とかいう観点からも環境性能課税は導入を見送るべきであると私は考えます。大臣の御見解をこの二点についてお聞かせください。

○国務大臣(高市早苗君) まず、自動車が、私の地元も含めましてですが、公共交通機関、これが不十分な地域で生活の足として使われていることについては十分実情として理解いたしております。
 昨年度の税制改正ですけれども、負担の軽減、グリーン化、こういったものを図る観点から、車体課税については自動車取得税の税率の引下げ、それからグリーン化特例の重点化拡充、あと、やはり車体課税の不均衡の是正を行う観点から、軽自動車税の見直し、これらを行いました。今後の車体課税の見直しですけれども、やはり地域における利用の実情、それから納税者の負担、環境政策との関係、それから安定的な財源の確保、こういったものを総合的に考慮しながら検討していく必要があると思います。
 環境性能割、これを自動車取得税の付け替えだということで導入すべきでないというお考えなのかと存じますが、環境性能割は、自動車取得税と比較しまして、環境性能が良い車の取得に対するインセンティブを強化するものでございます。この環境性能割を今後、まだ税制改正プロセスの中で、二十六年度の大綱で示された考えに基づいて検討していくこととなる、そういう状況でございます。

○林久美子君 環境というとやっぱり大事だというイメージがあるんですけれども、実態としては付け替えなのではないかなと私は考えています。しっかりと地方に目を向けた取組をいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。