KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第186回通常国会 総務委員会 2014年05月13日

第186回通常国会 総務委員会 2014年05月13日(未定稿)

○林久美子君 民主党の林久美子でございます。本日、三十五分という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、軽自動車税の軽課について、これは新藤大臣にお伺いをしたいと思います。地方行政に深く関わる総務省であれば、軽自動車がいかに地方の方たちにとって生活の足であるかということはよく御存じだと思います。ちなみに、私の地元の街宣車も軽でございます。細いところも入りやすいので。それぐらい、本当に一家に一台のみならず二台、軽があるところがたくさんあると。

 実際に軽自動車の一世帯当たりの保有率は、一位が佐賀県と鳥取県、片や四十六位は神奈川、四十七位は東京ということを見ても、すなわちしっかりとデータとしても地方の方に軽自動車の保有者の、保有割合が高いということがお分かりいただけるかと思います。

 消費税増税というのは社会保障の安定化のために当然必要だと思いますが、一方で、やはり私はこの軽自動車についての税の在り方については見直す必要があると思います。平成二十六年度の与党税制改正大綱でも、軽自動車税についてもグリーン化を進める観点から、軽課についても検討を行うことと明記されておりますし、新藤大臣御自身も参議院の本会議で、平成二十七年度税制改正に向けて検討をしていきたいというふうに御答弁をなさっていらっしゃいます。

 そこで、現在のこの軽自動車税の軽課についての検討状況をお聞かせいただきたいと思います。と同時に、昨年開催された自動車関係税制のあり方に関する検討会のような有識者による検討会を設置するお考えがおありかどうか、併せてお伺いをしたいと思います。

○国務大臣(新藤義孝君) この軽自動車に対する軽課につきましては、委員も御案内だと思いますが、与党の税制改正プロセスの中で決定するものでありますから、現在総務省としては関係省庁と車体課税についての様々な議論を行っております。そして、自動車税における環境性能課税やグリーン化特例の見直しについて検討をすることにしているわけでありまして、軽自動車に対する軽課については、これらの制度との整合性を持って設計される必要があると、このように考えております。

 この環境性能課税及びグリーン化特例の見直しについては、平成二十六年度与党税制改正大綱においての見直しで大枠が示されておるわけでありまして、軽自動車の軽課についてもこれらの検討と併せ、関係省庁間で十分の協議を経て二十七年度の税制改正に臨みたいと考えているわけでありまして、既に大枠が示されていて、その中であとはこの作業を、様々なですね、関係省庁との詰めを必要とするという状態であります。新たな有識者による検討会というようなものは、現状のところにおいては今考えておりません。

○林久美子君 今、新藤大臣から関係省庁と様々な議論をしているというお話ございました。

 今回の自動車をめぐる一連の税制改正というのは、やはり自動車税というのは地方財源ですから、総務省の立場とすれば、こっちの枠の中で軽くなった分は自動車の中でけりを付けるというふうにしかやっぱり私たちからは見えないんですね。

 ただ、本来、地方の財源を確保するというのは政府全体としての必要な取組であって、その際には役所の縦割りの壁を越えて全体として取り組むべきであると。そういうことを考えますと、関係省庁の議論というのでその省庁の枠の中に閉じ込められることがないようにこれは是非していただきたいというふうに思います。

 議論のときに、軽自動車は税が軽いからよく売れるんだと、普通自動車は売れていないじゃないかみたいな話もこれはあるんですけれども、実際見てみてると、十年前の平成四年は軽自動車の販売台数はおよそ百九十万台、一四年度には百八十五万台とほぼ横ばいなんですね、実は。一方、普通乗用車の方で見ると、平成四年にはおよそ四百万台の販売台数が、これが一四年度には三百万台と百万台減っているわけなんです。だから、むしろ、軽ががっと上がったんじゃなくて、普通乗用車が下りてきて近づいたというのが私はこれは実態であるというふうに思います。

 自動車産業というのは、リーマン・ショック以降もずうっと雇用も含めてしっかりと抱えてきて、日本経済をしっかり引っ張ってきたと。租税総収入の八十兆円のうち自動車関係諸税の収入はおよそ一割、八兆円ということを考えても、私は、これはもう自動車全体の税が重いという理解に立つべきだと思います。ただでさえどんどん海外へ生産拠点が移っていってしまっているわけですけれども、やっぱり日本の基幹産業として国内外でしっかりと自動車産業が勝負できる、しっかりと優位性を持って販売していける環境をつくるのが本来私は政府の、政治の役割であると思っています。そういうことを考えると、自動車全体の負担を軽くすべきで、軽自動車の税額がむしろ国際水準なんだというふうに考えるべきであると私
は思うんですね。

 その軽課の措置としては、燃費のいい軽自動車はもうこの際、従来の七千二百円に戻すというのが自動車のユーザーの方にとっても非常に分かりやすいのではないかと思いますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(新藤義孝君) まさに委員のおっしゃるところは重要な部分でありまして、まず軽自動車は一般の国民の足となっていると。特にそれは地方において顕著なことがあるわけでありまして、そういった国民生活についての配慮というのは重要だというふうに思います。

 それから、自動車の取得をやはりしやすくすること、それから自動車産業に我々支援することはやはり非常に重要な部分なわけで、そういったものをじゃ一体どこで、このいい点をつくるかというところに様々な腐心があるということだと思います。

 特に、軽自動車についてはまさに非常に今までたくさんの方が買われていただいて、現状で新車のたしか四割ぐらいが、もう新車販売のうちの四割ぐらいが軽自動車になっているのではないかと、このように思います。しかし一方で、この軽という設定そのものが国際的には非常に特異な部分でもあります。ですから、スズキなどは、インドでは結局日本の軽のシャシーを使って、でもやはり外国では馬力が足りないので、結局、税制も同じですから、したがってエンジンをもう少し大きくしたやつで売ったりしているということなんです。かつ、普通車との差額が四倍に及ぶということでございます。

 ですから、そういったものの調整というものはやはり必要だと思います。そして、グリーン化ですとか環境性能特例とか、こういったものを検討する中で、どのような税率、また税額にするか、こういったものはこれはよく検討していきたいと、このように考えますし、それも踏まえての与党の税調プロセスがあると、このように考えております。

○林久美子君 できない理由というのはやっぱり幾つも挙げられるんだと思うんですね。でも、そうではなくて、冒頭申し上げたように、大臣御自身も今お述べになったように、やはり日本というのは、都会だけじゃなくて、均衡ある国土の発展ということで地方も含めてここまでやってきたわけです。そういう地方の方たちにとってまさに本当に大事な軽自動車、さらには自動車産業全体の中でも非常に大事な部分でありますから、ここはユーザーにとってしっかりと分かりやすいように、しかも、きちっと国内でもやっぱり車が売れるようにというところに目を配りながら、これについてはしっかりと御検討をいただきたいというふうに私は思います。

 先ほど、既にあるグリーン化の仕組みなんかとの整合性も見ながらというお話しいただきましたけれども、私自身は、普通乗用車のグリーン税制と同じ仕組みでなくてはならないということはないんだと思うんですね。軽自動車独自の仕組みで、むしろ減税額が一定であるという方が私は分かりやすいと思うんですけれども、こうした形でお考えいただきたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

○国務大臣(新藤義孝君) これは自動車税における検討を踏まえて、それらも含めて検討していくわけです、軽自動車につきましてもですね。ですから、同じになるかどうかは、それは検討の中で明らかになっていくわけなので、まだそこを決めているわけではございません。

 ただ、いずれにしても、いろいろな工夫をしながら、これは国民の方にも御理解をいただき、また税制としても整合性の取れたものにしていく、こういう検討は進めていくべきだと思います。

○林久美子君 是非これ大臣、前向きに検討をいただきたいと思います。

 国民の皆さんの御理解をというお話もありましたけれども、そのためにも、先ほど有識者会議の設置は考えていないというお話でしたけれども、この議論のプロセスはできるだけ透明化をして広く見えるようにしていただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 では次に、郵政関係について伺います。御答弁は山本政務官、よろしくお願いいたします。

 先ほど藤末委員からもお話がありましたが、いよいよ財政審が動き出したということでございます。十四日の日に、日本郵政の株式売却について具体的にどういう議論が行われたのか。ちょっと先ほど答申の時期についても触れられましたけれども、具体的に今後どのようなスケジュールで議論が進んでいくのか、お答えいただきたいと思います。

○大臣政務官(山本博司君) 林委員にお答え申し上げたいと思います。

 四月十四日に、財務大臣から、財政制度審議会に対しまして日本郵政株式会社の株式の処分について諮問が行われました。現在、同審議会の国有財産分科会におきまして、主幹事の証券会社の選定基準などについて御審議いただいている形でございます。これまでに関係者からヒアリングを行いまして、二回審議が行われたところでございます。

 引き続き御審議をいただいた後で、六月頃に答申をいただく予定になっております。

○林久美子君 六月頃に答申を出していただくということでございました。

 これまでにも、NTTやJTなど、段階的に株式を売却するという方策なども取られているわけですね、実際に売却するときには。日本郵政の、じゃ、株式の売却は具体的にどういう形で行われていくのか。まさに今検討中のさなかではあると思いますけれども、その方向感を含めてお話をいただきたいと思います。

○大臣政務官(山本博司君) 日本郵政株式の売却方法につきましては、現在、財政制度審議会の国有財産分科会、御審議をいただいておりますけれども、現時点においてまだ決まっているわけではございません。

 平成九年九月から様々な、この売却の方法ということでございますけれども、入札方式とか、またいろんな形ございますけれども、平成九年九月に東京証券取引所におきましてはブックビルディング方式、これが導入されて以降、新規株式公開におきましては全ての案件でこのブックビルディング方式が採用されていると承知をしております。また、平成九年以降のNTTとかJTの株式売却におきましてもこのブックビルディング方式が採用されているところでございます。

○林久美子君 今、東証、東京証券取引所がブックビルディング方式を導入して以降、全てのIPO案件がブックビルディングだというお話がありました。そういうことを考えると、今回の日本郵政の株式の売却も、かなりそのブックビルディング方式が優位であるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

○大臣政務官(山本博司君) まだ具体的な形で決まっておるわけではございませんけれども、国有財産分科会の委員の方々の意見の中には、入札方式は大変公開価格が高くなって流動市場に影響があるというふうなことでございますとか、今、大型案件、これは国内外で募集しておりますので、海外で主流となっているブックビルディング方式が採用されているという、審議会でもそういう委員が出ているのは承知をしております。

○林久美子君 議論の中でもブックビルディングが大勢を占めているということかなというふうに拝察をさせていただきます。

 先ほど藤末委員も触れられましたが、次に、主幹事証券会社の選定についてお伺いをしたいと思います。

 基本的に、参議院の附帯決議にも盛り込まれているように、広く国民に保有をしてもらうというのが大事なことなんだと私は思うんですね。そういう観点から見れば、やはり海外の投資家よりも日本の証券会社を優先的に選定するということもこれは選択肢としては考えられるんだと思います。

 まず、主幹事証券会社の対象に海外の証券会社も入るのかどうか、お答えいただけますか。

○大臣政務官(山本博司君) この日本郵政に係る主幹事証券株式会社の選定基準ということに関しましては、財政制度審議会や国有財産分科会におきまして、事務局よりNTTとかJTの選定基準について説明をして、それらを踏まえながら今現在審議をしているところでございます。

 この具体的な観点ということに関しましては、証券会社における日本郵政のビジネスモデルの理解度とか、また証券会社のコンプライアンス上の問題がないこと、こういうことを確認すべきという、こういう委員の意見も出ておる状況でございまして、透明性、公平性の確保を図るという財務省における選定基準はそういう形で進めております。その意味では、海外も含めて公平に検討するという形でございます。

○林久美子君 ということは、海外のところもやはり対象に残るのかなとは思いますけれども、主幹事証券会社の数というのは、かなり今回規模大きいですよね、についてはどれぐらいを考えていらっしゃるんでしょうか。

○大臣政務官(山本博司君) この数につきましては、従来、NTTとかJTの答申において何社、具体的に数は何社なのかという明確に記載はされておりません。ですから、答申をいただいた選定基準を基に財務省として適切に対応していくという形でございます。

 ちなみに、現実的に今までのJTとかまたNTTの売却等では複数社の形になっておる次第でございます。

○林久美子君 複数社、これだけ規模が大きいと一社というのはなかなか難しいのかなとは思います。

 今回の株式売却収入の四兆円程度、復興財源にこれ充てるわけですね、東日本大震災の。そういうことを考えると、先ほどからお話がありますが、金融二社も含めてしっかりとトータル的にこれはやっぱり姿が見えていかなきゃいけないんじゃないかと。NTTの株の売却も二十年掛かっているわけですね。そういうことを考えると、時間的な長さも頭の中に描きながら、しっかりとした価値でこの日本郵政の株式が売却される、これが重要だと思います。

 そして、総務省としてもしっかりとこれはバックアップをしていただきたいと思いますけれども、新藤大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(新藤義孝君) 先ほども申しましたが、郵政の企業価値を高めながら上場を良いタイミングで行って、そして、その後に適切な処分を行って、それを財源としてしっかりと我々は国民に還元すると、こういったことをやっていきたいと思っておるわけでありまして、全面的に支援をさせていただきたいと、このように考えております。

○林久美子君 ありがとうございました。

 では次に、地方公務員の非正規化の状況についてお伺いをしたいと思います。

 早稲田大学メディア文化研究所が全国の十八歳から七十四歳の二千五百三十人に行ったインターネット調査がありまして、この結果、官製ワーキングプアと呼ばれる非正規の公務員について、減らすべきとする人が八割を超えて、処遇を改善すべきという人も八割を大きく超えました。非正規公務員の六割以上は年収が二百万円以下の状況でございます。なおかつ、その非正規公務員の七割以上が実は女性なんですね。これは、女性だから非正規にしているわけではないけれども、結果として非正規のほとんどが女性だということになると、これはやはり間接差別にも当たってくる話だと思います。

 安倍政権は、現在、女性の力を最大限に活用するんだということをおっしゃっていらっしゃいますし、人事についても女性の積極的な登用をしていこうということかと思いますけれども、そういう安倍政権にとっても、この間接差別を解消するということは非常に重要なテーマであると思います。

 非正規公務員を減らして待遇を改善すべきという国民の声もあるし、安倍政権が女性を活躍できるようにするんだと言っているその政府方針も考えると、やはりこの公務の現場でもしっかりと女性の力が正当に活用される必要があると思いますけれども、これは大臣、どういう手だてを講じていこうとこの総務省の中で考えていらっしゃいますか。

○国務大臣(新藤義孝君) この女性の社会進出は、我が国において非常に重要な部門だと思います。

 ちょっと今手元に数字が持ち合わせありませんが、労働力の中に非労働力として専業主婦が入っているわけであります。それがたしか、非労働力全体が五千四百万ぐらいおりますから、その中で大宗を占めるということであります。もちろん、その中にはそれぞれの事情があるし、お考えがあるんですが、労働力が今後不足していく、要するに、生産年齢人口が下がっていく中で、やはりこれまで以上に働ける方には働く場を、また働きたい意欲のある方に提供していこうではないかと。高齢者もしかりであります。

 そういう中で、この女性の社会進出というものは、本来の、そもそも男女を問わず、人間の能力を発揮をして、そして張りのある、生きがいを持って人生をお過ごしいただくことは重要でありますから、我々は後押ししなくてはいけないという考えであります。そのために少子化担当、また女性の社会進出の担当の大臣も置いているわけでありますから、専門的ないろいろな政策はそちらの方で出しております。

 今委員が御指摘いただきましたように、間接云々というお話をお話しされましたが、これは臨時・非常勤職員の確かに四分の三は女性が占めているわけであります。しかし、それは看護師、保育士、給食調理員、こういった方々が主にいらっしゃるわけで、これは女性が差別してそうなっているのではなくて、女性が求められている職場にその方たちが行った結果多くなっているということではないかというふうに思っております。

 今の、いずれにしても、しかし、この非正規公務員につきましては、これは能力が十分に発揮できるように、地方公共団体において働きやすい環境の整備、そういったものは是非やっていただきたいと。総務省としても、その任用や処遇の在り方についての助言は行っておりますし、今後も進めてまいりたいと、このように考えます。

○林久美子君 大臣、それは、女性の力が求められる職場にばかりですよ、あえて言えば、非正規の枠を持っていっているということにもなるわけです、これ。

 今おっしゃいましたけど、保育所も保育士の非常勤嘱託職員が増えていて、調べてみると、公立の保育所の保育士さんの非正規率の方が民間よりも高いんですよ。民間が三八・九%なんですけど、公立の保育所は五三・五%なんですね。来年四月からは子ども・子育て支援制度が始まります。やっぱりしっかりと社会全体で子供を育てやすい環境をつくっていこうと。社会保障と税の一体改革でも、その消費税増税分を子供に今回入れられるようになって、全世代対応型の社会保障制度にまさに変えようとしているわけですよね。その中でこの保育所の現場の非常勤非常に多い。

 あるいは学童保育も、小学校に上がったら学童に行く、保育所に行っていたお子さんなんか割と学童に行く方多いですけど、学童なんて非正規の指導員の方しかいないところっていっぱいあるんです、いっぱいある。さらには、学校の現場で見ても、用務員さんとか、通常現業職員と呼ばれている方たちですけれども、これは平成十七年に総務省さんが通知を出して非正規化が進んじゃっているんですよ。

 私、大阪の池田小の事件とか、いろいろ学校現場に不審者が入ってきて子供たちが傷つく事件が相次いだときに、学校安全対策基本法というのを議員立法で作って、そのときに学校の安全を専ら担当する専門員をつくるべきじゃないか、そういうところに例えば用務員の方とか、ボイラーなんかも扱っていらっしゃいますから、を充てるべきではないかという法律を作ったことがあるんですけれども、そういうことを考えても、やはり子供とかに関わるところの雇用の状況が不安定というのはもう本当にいいことは私はないと思うんです。

 大臣にもお子さんがいらっしゃるので、これは子供を持つ親の感覚としてもお分かりいただけると思いますけれども、少しでもこういう現場の非正規化をなくしていって、むしろ正規化にかじを切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(新藤義孝君) 私は今小さな子供がおりますし、かつ自分自身が幼稚園を経営しておりますから、ですから、もう子供たちとその若い親御さんがどのように関係しているかよく承知をしております。

 そして、かわいい子供たちに楽しいそういった時間を過ごさせる上で、親や、それから保育士、教諭、そういった人たちが安定をして、まず先生たちや親が楽しくないと子供も楽しくないんですね。ですから、そういう環境をつくらなきゃいけないというのは極めて重要だと思いますので、できる限りの安定的なそういった待遇ができるような、それはこれまでも政府もそういうことでやっているわけでありますから、私もそれについては意を砕いていきたいと、このように思います。

 一方で、この非正規というのは働き方の一つとして、短時間であって、限られた時間であるからこそ勤められるという方もいらっしゃいます。ですから、働き方の多様性の中でこういったものもあるわけであります。

 もちろん、本来ならば正規であるべきものが様々な事情で非正規にならざるを得ない部分もないとは言えませんね。ですから、そういったものは、これはもう問題解決しなくてはいけないんですが、ゼロ、一〇〇ではなくて、やはりそれぞれの方々に合ったそれぞれの働き方、そしてそれぞれの安定的な待遇、こういったものをつくれるような努力が必要ではないかと、私もそのように考えております。

○林久美子君 働き方の多様性は確かに必要なんですけど、少なくとも私の周りでは、こういう自治体関係の非正規の方に聞くと、正規になりたいという方が多いですよ。

 待機児童の保育所の問題も、保育士さんが非正規で待遇が悪いから、キャパとしてはあっても、保育士さんを募集しても来ないから、結果として待機児童が発生しているところも実はいっぱいあるんです、地方に行けば。

 そういうことを考えても、私は、いろんな働き方の多様性は認めつつも、むしろそういう声にしっかりと応えていくんだという前向きなお取組を心からお願いをしたいと思います。

 では、最後に、NHKの問題に入りたいと思います。

 もう余り時間がなくなってしまったんですが、今日は籾井会長にも、浜田委員長にもお越しをいただきましてありがとうございました。

 まず、時間がないので簡単にお答えいただきたいんですが、先月二十二日に総務委員会でこのメンバーでNHKさんに視察に行かせていただきました。そのときに籾井会長は、もういろいろ問題を起こすこともないから皆さんの期待に応えられないかもしれませんと半ばアイロニカルに笑顔でお話しになったのを覚えているんですけれども、その日の午後に経営委員会があって、突如そこで人事案を提案されたと伺っております。

 当然、これまでは私信という形で事前に提案してきたにもかかわらず、何で今回、当日、急遽提案したのかと。経営委員のメンバーからも異議を唱える声が上がったと言われています。

 これは、人事権の濫用はしないんだとずっと籾井会長おっしゃってこられたわけなんですけれども、ある意味で私は人事権の濫用なのではないかとも思いますし、経営委員会のこれは同意権の重さを踏みにじる行為なんじゃないかと思いますが、会長、いかがでしょうか。

○参考人(籾井勝人君) お答えいたします。

 私が申すまでもなく、人事については、それが漏れないようにするということは非常に重要なことであります。私はこれを非常に重要視しまして、それともう一つ、経営委員会のスケジュールを考えて四月二十二日にやったわけでございます。そして、しかも、この四月二十二日にお伝えするということにつきましては、三月二十六日の経営委員会において皆様方にあらかじめそのように申し上げております。

○林久美子君 じゃ、あらかじめおっしゃっているんであれば、かつてから私信で送ってきて、漏れないように、そこは経営委員会の方のきちっとした倫理観を信用なさって対応されるべきだったと思いますし、これは経営委員会としても黙っているというのはおかしな話じゃないかと私は正直思います。

 しかも、籾井会長はこの経営委員会の前日に、二月に再任されたばかりの専務理事二人の方に個別にお会いになられて辞任を迫ったというふうに伺っておりますけれども、これは事実でしょうか。

○参考人(籾井勝人君) 個々の人事のことについてはお答えできません。

○林久美子君 籾井会長、恐らくそういうふうに御答弁なさるだろうと思っておりましたけれども、私もきちっとそれについては事実として確認をさせていただいた上で御質問をさせていただいております。

 放送法第五十五条のところに理事の罷免について書かれているわけでございますけれども、このときには、「会長は、副会長若しくは理事が職務執行の任にたえないと認めるとき、又は副会長若しくは理事に職務上の義務違反その他副会長若しくは理事たるに適しない非行があると認めるときは、経営委員会の同意を得て、これを罷免することができる。」と書かれておりますけれども、二月に再任されたばかりの二人がこれに当たるとは到底思えないと。罷免要件に当たらないのに辞任を求める、辞職を求めるというのは、私は、これは籾井会長の非常に自己中心的な行為であるというふうに思いますので、これについては厳しく指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 浜田委員長にお伺いしたいんですけれども、こうやって就任当日にまず理事全員の方に辞表を提出させたり、この間視察に行った日でしたっけ、その辞表は、籾井会長、その前後にお返しになられたようですけれども、そういうふうにされたり、理事の方に辞任を迫ってみたり、あるいは人事も経営委員会の当日に突如出してみたりということを考えると、これはまさに、放送法を守るというよりも、それも守り切れていないばかりか、現場の士気を低下をさせていると思います。

 浜田委員長、経営委員の皆さんは国会で選ばれて内閣総理大臣に任命されていらっしゃるわけですよ。非常に重たい。そして、会長以下の役員など執行部に対する責任をある意味では負っていらっしゃるわけですよね。今の経営委員会は、ずっと籾井会長御就任以来これだけその事態が収束しない中で来ている以上、十分にその職責を果たしていただいているとは残念ながら私は言えないのではないかというふうに思います。

 退任された理事の方が退任の御挨拶で、経営委員会の場で、いまだ混乱は収束していないと、これまで執行部に事態の収束に当たれと言ってきたけれども、むしろ経営委員会こそが責任を持って事態の収拾に当たるべきだとおっしゃったと伺っています。

 そうしたことを考えても、私は、もっと経営委員会はしっかりしてくれなきゃ困ると思うわけですね。NHKというのは、かねがね申し上げていますが、国民の皆さんの受信料で成り立っているということは、すなわち国民の共有の財産なんですよ。そこの経営委員会なんです。二回これまで浜田委員長は籾井会長に対して苦言を呈してこられましたけれども、もう三回目ですよ、三回目。ここはやっぱり、より重大な決意を持って経営委員会として事に当たらなければならないと思いますけれども、浜田委員長、いかがでしょうか。

○参考人(浜田健一郎君) 経営委員会といたしましては、三月の経営委員会では、経営委員会も自らの責任を自覚した上で、真摯な議論に基づく自律的な運営を引き続き行い、監視・監督機能を十分に果たしていくことを申し合わせました。

 また、視聴者の反響や受信料への影響などについて引き続き報告を求め、注視していくことや、執行部の今後の事業運営や次期経営計画の立案などの個別具体的な業務に当たって厳しくその執行を監視し、意見を伝えていくことが経営委員会の役割であると考えております。

 執行と監督という車の両輪として適切な緊張関係を維持しながら、NHKが引き続き視聴者・国民の皆様から幅広く信頼され、支持され、公共放送としての使命を果たせるよう、全ての委員が真摯に取り組んでいると認識しております。経営委員会がその職責を果たしていけるよう、委員長としても引き続き努めていく所存であります。(発言する者あり)

○委員長(山本香苗君) 林久美子さん、質疑を続けてください。

○林久美子君 浜田委員長、ちょっと今の答弁は正直ひどいと思いますよ、誠意がないし。

 先ほども申し上げましたけれども、本当に国会で選ばれて内閣総理大臣に任命された組織のトップとして余りにも自覚に欠けている。

 今のお話の中で、監視監督機能を十分に果たしてということを確認したと。とてもじゃない、今の答弁で確認したとは思えないですよ、そのリーダーとして思えない。その点についていかがですか、もう一度きちっと答えてください。

○参考人(浜田健一郎君) 経営委員会は放送法のルールに基づき、私どもとしては十二人の委員の合議体であります。その委員の意見を集約を図りながら、粛々と業務を遂行しているというふうに思っております。

○林久美子君 じゃ、最後に一問だけ。浜田委員長は籾井会長でいいと思っていらっしゃるんですか。

○参考人(浜田健一郎君) はい、そのとおりでございます。

○林久美子君 じゃ、浜田委員長は籾井会長がNHK会長にふさわしいと思っていらっしゃるということは、私はある意味ショッキングに受け止めさせていただきましたけれども、だとすれば、浜田委員長は現場のNHKの職員の方の思いを分かっていないですよ。受信料を払っている国民の皆さんの思いも分かっていない。

 第六期の口座振替、クレジットカードの継続支払の動向は、支払方法を銀行に行ってちょっとやめてよと言った人の数は一万六千件で、前年同期より五千件増加しているわけです。これがまさに国民の思いなんです。視聴者の思いなんです。

 そういう意味においても、これは引き続き、こういうことを繰り返している籾井会長の下で私はNHKがきちっと国民の期待に応えられるとはなかなか思えないので、引き続きまた議論をさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。