KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第186回通常国会 総務委員会 2014年03月28日

第186回通常国会 総務委員会 2014年03月28日

○林久美子君 民主党の林久美子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年の「あまちゃん」ブームもあり、また今年に入っては「ごちそうさん」も非常に好調で、私もたまに時間があるときは朝の連続テレビ小説も見ておりますけれども、そうした番組にとどまらず、報道番組も含めて、やはり落ち着いたいい番組をつくっていらっしゃるなと思うことが度々あります。

 しかしながら、非常に残念なことではありますが、今年に入ってから、籾井会長が会長に御就任なさってから、非常にNHKさんの放送業務以外のところで大変に連日マスメディアを騒がせていると。とりわけ、それがこの日本放送協会のリーダーである籾井会長の発言、立ち居振る舞いによるものであるということは非常に私は大きな問題であるというふうに思います。かつてないほど今NHKさんは厳しい状況に置かれていると言っても過言ではないというふうに思います。

 一方で、私もこの仕事をさせていただく前はテレビ局に勤めておりまして、記者の仕事もしておりましたし、同期のNHKの記者、友人もおります。この仕事を始めてからはやはりいろんな面で現場の記者さんとのお付き合いもありますし、非常に最前線の皆さんは頑張っていらっしゃいます、真面目に取り組んでいる。一生懸命取材をして少しでもいい放送をして日本を良くしたいと、そういう思いで私は現場の方は頑張っていると思います。

 さらには、受信契約を取ろうと一生懸命本当に営業の最前線で、日中お留守のところは夜遅く、もうたまに遅過ぎるんじゃないかというぐらい遅い時間まで頑張って回って、一軒一軒受信の契約を成立させようと頑張っている、そういう職員の方たちがいる。こういう現場の努力をまさに今台なしにしてしまっているのではないかと思います。

 さらに、籾井会長の就任発言以降、我々国会議員も連日、NHKどうなっているんだと、総務省さんどういうふうに捉えているんだと、しょっちゅうしょっちゅうやっぱりヒアリングをお願いするわけですよ。この間、総務省の職員さんは国会に呼ばれなかった日がないというぐらいに大変な状況です。全体の奉仕者たる公務員が本来の仕事ができないような状況を生んでしまっている。そうした意味においても、私は、籾井会長の責任は重いと、そういう事態を招いてしまっているんだということをまず冒頭しっかりと自覚をいただきたいと思います。

 そして、今日、審議に先立って会長から御発言がありました。答弁の際にはしっかりと、質問いただいた委員の皆様に十分納得いただくことにならなかったこともあり申し訳なく思っているというお話もありましたので、今日はしっかりと納得のいく御答弁をいただきますように心からお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 本日は平成二十六年度のNHK予算の審議ですので、まずは予算についてお伺いします。

 平成二十六年度の収支予算では、受信契約件数の増加等で受信料収入が増加するというふうに見込んでいらっしゃって、平成二十六年度の経営計画では、平成二十三年度以来三年ぶりに今回は黒字を見込んでいらっしゃいます。
 籾井会長、この計画どおり、予算のとおり、受信契約件数は現段階においても増加すると思われるでしょうか、いかがですか。

○参考人(籾井勝人君) 今ちょうど予算を審議していただいている最中でございます。私としましては、最初に就任のときにいろいろ発言をしまして、皆様方に御迷惑と御心配を掛けていることについては誠に申し訳なく思っております。

 さはさりながら、今この段階におきまして、私は、やはりこの予算を何とか達成すべく、まず、営業部門だけに対応を任すのではなくて、私も含めまして役職員一丸となって、良い放送を行い、営業活動も行い、受信料の公平負担について御理解いただき、収納が落ち込むことがないように取り組んでいきたいというふうに思っております。

○林久美子君 まず何とか予算を達成すべくというお話でございましたけれども、やはりこれだけ世の中に大きな影響が出ている以上、その予算を審議してもらうときに、この予算が少なくとも現段階において当初の見込みと合致しなくなっているのではないかというようなことはやっぱり自覚をいただかないといけないんだと思うんですね。それがほとんどが受信契約件数の増加によるものだということでこれ計画を立てていらっしゃるわけですから、これが予定どおり増えるというふうに今の段階で思っていらっしゃるかどうかということを私は伺っております。増えるというふうに見込んでいらっしゃいますか、お答えください。

○参考人(籾井勝人君) お答えいたします。

 結果につきましては、やはり時が過ぎ、決算が終わるときになれば分かるわけでございますけれども、今の段階で、スタートする段階で私としては今の予算を下回るということにはならないというふうに思います。
 受信料以外の収入については特に影響はないというふうに考えております。

○林久美子君 今、受信料以外の収入については特に影響がないという答えでございました。ということは、受信料については影響があるというお考えであるというふうに理解してよろしいですね。

○参考人(籾井勝人君) 受信料につきましては、増えるかもしれないし減るかもしれないし、これはやはり予算どおりにぴっちりというわけにはいかないわけで、やはり結果で多少のぶれはあるというふうに思います。

○林久美子君 今更申し上げるまでもございませんけれども、NHKの予算六千六百二十九億円のうちの九七%が受信料収入です。心配そうに新藤大臣も御覧になられていますけれども、籾井会長の様子を。これは今予算を審議しているわけですね、この現場で。増えるかもしれないし減るかもしれないし、それは私は分からないというようなトップの発言の下で、これは与党の皆さんも是非考えてください、予算を審議してくれと言われて、これは国会としてこれでいいんだろうかと私は思います。
 籾井会長、冒頭、しっかりとした答弁をいただけると今日決意表明もありました。もう一度、増える見込みであるのか減る見込みであるのか、これは組織のトップとしてしっかりとお答えをいただきたいと思います。

○参考人(籾井勝人君) 収入につきましては、やはりある期間、例えば三か月とかでいろいろチェックしてまいります。そして、先ほども答弁しましたように、これにつきましては、やはり払っていただけない方にはそれなりの催促もしなければいけないし、丁寧に御説明しながら収入を図るということでございます。やはり払込みがない場合には訪問しながらやっていくということでございます。
 現時点では二十六年度の受信料収入への影響等を予測することは困難でありますので、今のまま予算を維持して予算を審議していただくようにお願いしているわけでございます。

○林久美子君 現段階では受信料契約の見込みについて見通しを立てることは困難であるというお話でございました。しかしながら、先を見通すための指標というのは私は幾つかあるんだと思います、これは過去の例とも照らし合わせて。

 そこで、お伺いをさせていただきます。受信料を払っていらっしゃる多くの視聴者の方からやはりNHKにはいろんな意見が寄せられていると、先ほどもお話がございました。そこで、最新の状況を教えていただきたいんですけれども、今回のことでNHKさんに寄せられている意見は何件で、うち何%が、何件が批判的な意見だったのか、そして、受信料の支払をやめたい、拒否したい、もう払いたくないという声は何件、何%あったのか、お答えください。

○参考人(籾井勝人君) お答えいたします。

 一月二十五日から昨日までの視聴者からの御意見はおよそ三万六千四百件です。内訳は、批判的な意見がおよそ二万三千五百件、約六五%、肯定的な意見がおよそ六千五百件、一八%、その他は問合せとなっております。

 批判的な意見としましては、偏った放送になるのが心配だ、もう受信料は払いたくないといったものがございます。また、肯定的な意見としては、日本の立場にはっきり言及したことは大変良かったと、こういう意見もございました。
 お一人の声の中に様々な意見が入っておりますので、なかなか具体的な内容を正確に集計することは難しゅうございますけれども、受信料に言及したものは寄せられた視聴者意向全体の約三割というふうに理解いたしております。

○林久美子君 およそ三〇%、寄せられた意見の三〇%が受信料に関する御意見だったと。

 現在、受信料の契約者の八八%が口座からの引き落としというふうになっているやに伺っております。この会長発言が出た当初は、今は口座振替になっているからそれをわざわざ解約するという人はそんなにいないのではないかというような声が一部で、一部ですが、聞かれていました。しかし、そんなことはなくて、平成十六年のチーフプロデューサーによる不祥事のときも、あのとき既に口座振替がもう八〇%近かったんだそうです、当時から。このときには百二十八万件の受信料の不払が結果として発生をしまして、十六年度から十七年度にかけて四百五十億円の減収になっています。四百五十億円の減収になっている。

 当時、直接もう銀行に行って、支払やめる、止めてくれということで人が銀行に殺到したんだそうです。銀行からNHKさんに、もう受信料払わない、口座やめてくれと、人がすごく並んでいるから何とかしてくれと、NHKの方にむしろ銀行からクレームが入ったということも伺っております。

 今回の件で銀行へ直接行って支払をやめてくれというふうに言っていらっしゃる方は何人、何件いらっしゃいますか。

○参考人(籾井勝人君) 二十六年二月におきます口座振替中止数は八千件でございます。ちなみに、昨年は五千件でございます。

○林久美子君 ということは、少なくとも八千件の方はもうストップしているわけですね。恐らくこれから、払わないと言っている人はここから督促状を出して、またそれを後追いしていくわけですから、更にこれ膨らんでいくということを単純に考えても、これはやはり、十年前は支払拒否が一か月でどんどん、一か月、二か月、半年、一年と増えていっているわけですから、そういうトレンドをたどる可能性もこれ会長の発言によってはあるわけですから、となると、非常に当初の見通しに比べると受信料の収入というのは私は厳しい状況に置かれるんじゃないかなというふうに思います。

 そういうことについて、先ほど会長は今の段階では予測はできないとおっしゃいましたけれども、NHKに寄せられている電話の内容や実際に止められている銀行の口座、こういうことを踏まえても見通せないというふうにおっしゃいますか。

○参考人(籾井勝人君) 今も申しましたように、二月の落ち込みは八千件でございます。昨年に比べて確かに増えてはおりますが、そんな巨大な数字ではないというふうに思います。

 ただ、ただ、この口座振替が止まっただけで支払をしないということではございませんので、これは我々が振替の通知を出してお金を払ってもらうという努力をまずするわけでございます。そして、その上で、もし払っていただけなければ、いただけなければ、我々としましては訪問いたしまして更に説明してお願いするという、こういう段取りになっております。

○林久美子君 まず、ちょっと会長の御認識の問題点を指摘させていただきたいと思いますが、去年が五千件で今年は八千件で増えているけれども、払いたくないと銀行の口座を止めている人が増えているけれども大した数じゃないんだとおっしゃいましたけど、これは、会長、たとえ一件でも増えていることは真剣に受け止めなきゃいけないんだと思いますよ、私は。一件だから、二件だから、三千件だからいいということじゃない。一万件、たくさんあるから悪いんだということじゃ私はないと思う。その辺りの御認識が私は甚だ、長年国民の信頼を勝ち得るべく努力を積み重ねてきたNHKのトップとして私はやっぱりふさわしくないのではないかと思わざるを得ない。

 先ほど来、会長は支払ってもらう努力をするということを重ねておっしゃいます。でも、その前に、支払いたい、負担金として私たちはやっぱり視聴者としてNHKに支払うんだと思えるようなリーダーになることの方が大事じゃないですか。会長、いかがですか。

○参考人(籾井勝人君) 一つだけ、私は別に大したことないということは申し上げておりません。

 ただ、先ほどから御説明しておりますように、今回の件を理由に口座振替やクレジットカード支払を停止された場合に、基本的に払込用紙による請求を続けております。それでも払込みがない場合には訪問をすることになりますが、早くてもそれは三か月後となるため、現時点では二十六年度の受信料収入を予測することが困難だと申し上げているわけですが、ただ、受信料の収納につきましては、先ほどからも御説明しておりますように、営業部門だけに対応を任せるのではなく、私も含めまして役職員一丸となって、良い放送に加えて営業活動も行うということで、受信料の公平負担について御理解をいただき、収納が落ち込まないように取り組んでいくつもりでおります。

○林久美子君 会長も自ら営業するということ、当委員会でも重ねておっしゃっていらっしゃいますね。それは具体的にどうやって御自身で営業なさるんでしょうか。具体的に分かりやすくお答えをいただきたいと思います。

○参考人(籾井勝人君) 確かにこういうものの営業というのは、なかなかお金をもらうということは難しゅうございますけれども、受信料の収納につきましては、先ほどから言っておりますように、役職員含めて一丸となってやるということでございます。

 それ以上にどういう方法があるかといえば、いろんなプロパガンダをやるとかそういう方法もありますけれども、基本形は、やはり視聴者のところに行きまして御説明をして御理解をいただくと。委員先ほどおっしゃいましたように、一視聴者たりとも落ちたら大変なことなんだと、真面目に取れということでございます。これはもう私もそのとおりだというふうに思いますし、そういうことを踏まえながら私としては営業を実行してまいりたいと思います。

 私自身、こういう中ではありますが、営業センターに出向いて職員や地域スタッフから受信料の収納の現状を確認したり、コールセンターを訪問して日々視聴者からの電話に対応しているオペレーターと話したり、そういう意味におきまして、直接現状と対応を話し合うということも考えております。

○林久美子君 今、会長は、自ら視聴者の元に出向くということと、営業センターに出向くということと、コールセンターに出向くということをおっしゃいました。いつから実際に出向いていかれるんでしょうか。時期をお答えください。

○参考人(籾井勝人君) 役職員一丸となってやる予定でございます。もちろん私も含めてでございますが、まだ私がいつどこに行ってどういう活動をするかということは決めておりません。それは適切に判断してスケジュールを組みたいというふうに思っております。

○林久美子君 会長のこういう御答弁を聞いていると、多分多くの頑張っているNHKの職員さんたちはやっぱり、申し訳ないですけど、がっかりされる方は多いと思いますよ。

 こんな話を聞きました。自分たちが現場で頑張れば頑張るほど数字が上がっていって、一生懸命やることによって、やっているんだけれども、会長によってそれが壊されてしまうと、そういうことをおっしゃる方たちというのも、やっぱり感じている方も私はいるんだと思うんですね。それを、時期を見てとかというお話をされますけれども、私は、本当に組織のトップであったら、申し訳なかった、すぐにでも対応しようということで、まさにリーダーシップを発揮をいただくべきではないかなと思います。

 NHKでは、六月末に視聴者に四半期の業務報告というのをなさっていますね。毎年、一回目がこの六月末だというふうに伺っています。ここで四月、五月、六月の三か月分の業績が経営委員会にも報告されたりするわけなんですけれども、先ほどのちょっと予算の話でございますけれども、そのときにもう会長が現場に出向いて営業していらっしゃるかどうかまだ分かりませんけれども、この段階で、収入の見込みが当初どんと下回っていたというような場合に、会長は御自身で責任を取る、組織のトップとして責任を取るおつもりはおありでしょうか。

○参考人(籾井勝人君) まだ六月末になっておりませんので、そういう仮定のお話について、今私が責任を取るとか取らぬとかいう話は差し控えさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

○林久美子君 そうです。それぐらいの責任感がないと私は職員の方は付いてこないと思います。会長、横を向かないでしっかりと見て聞いてください。そうやってたくさんの職員さんが現場で頑張っているんだと、それで、それを視聴者の方たちが負担金という形で受信料を払ってNHKを支えているんですよ。その自覚が私は余りにも欠けていると思う。

 そういう中において、浜田委員長、伺います。

 委員長のところにもいろんなお声、意見、思いというのが多分届いていると思います。

 そういう中で、放送法第五十五条一には、経営委員会は、会長、監査委員若しくは会計監査人が職務の執行の任に堪えないと認めるとき、又は会長、監査委員若しくは会計監査人に職務上の義務違反その他会長、監査委員若しくは会計監査人たるに適しない非行があると認めたときには、これを罷免することができると規定されています。言い換えれば、経営委員会は、会長が職務執行の任に堪えない、不適格だということを思えば罷免することができる唯一の機関であるわけです。にもかかわらず、今回の経営委員会の動きは私は決して早くなかったと思います。むしろ遅かった。そういう現場の努力と比べると、私は、経営委員会の、申し訳ないですけれども、委員の皆様に、危機感とか、そうしたものが私はいま一つ感じられません。

 経営委員会は、これまで視聴者の皆様の参加を得て視聴者のみなさまと語る会というのを開催してこられました。平成二十五年度は七回です。最後は昨年の十一月三十日の開催となっています。つまり、籾井会長体制になってからはまだ一回も開かれていません。二十六年度は、当然、こういう状況もありますから、しっかりと、より以上の開催をすべきであると思いますし、できるだけ早く、だって、一月にこういう状況が生まれていて、今もう三月も終わろうとしているわけですから、私は余りにも後手に後手に回っているんじゃないかと思います。

 これ、語る会、いつ開催されますか。

○参考人(浜田健一郎君) 四月十九日に佐賀、五月二十四日に青森の二回、二つの会場での開催を予定しております。それ以降の開催は未定ですが、放送法施行規則で年六回以上の開催が義務付けられており、例年七回から八回を開催しております。

○林久美子君 四月十九日、五月二十四日ですよね。本当に、去年、おととしは七回と八回でしたけれども、もっとやっぱり、先ほども申し上げましたけれども、増やすべきだし、こういうときにはやっぱり機敏にちゃんと自分たちが責任を持って、経営委員のメンバーが視聴者の声を聞こうじゃないかという私は行為があってしかるべきだったと思いますよ。だから、むしろ、この四月十九日はもう募集が終わったとホームページにも出ていましたけれども、本来だったらもっと早くにこれは開催していただきたかった。今後、経営委員会はもっとスピーディーに対応いただきますように、この場をお借りをして委員長にしっかりと私はお願いを申し上げたいというふうに思います。

 籾井会長、籾井会長もコールセンターにもお出かけになられるということでございましたけれども、是非この語る会にも参加をされて、じかに有権者の声を聞かれてみたらいかがでしょうか。どうですか。(発言する者あり)視聴者、済みません、視聴者ですね。どうですか。

○参考人(籾井勝人君) お答えいたします。

 私は、この前、初めて福島に行きました。その後も、各地を回りながら、視聴者並びにNHKの職員等ともコミュニケーションを図りながら皆さんの御理解を深めていきたいというふうに思っております。

 それから、今経営委員と一緒にとおっしゃいましたけれども、経営委員は経営委員の機能があります。我々には我々の機能があります。これを一緒にして行くということは少し考えにくうございます。

○林久美子君 別に語る会に行くことが機能を一緒にするということにならないと思います、私は全く。そういう意味で誠実さに欠けるんだと思います、会長。

 職員の方が会長を目の前にして、とんでもないじゃないかと言えると思いますか。下手をしたら、また辞表を書けと、日付の入っていない辞表を書けと言われるかもしれない。そういう状況で、会長、これは自覚をしておいてください。職員の方が会長を目の前にして、思ったこと、言いたいことを言える環境では今ないんだと、そういう自覚はしっかり持っていただきたいと思います。

 こういうふうにやり取りをさせていただいていますと、残念ながら、日本を代表するNHKの会長としてやはり私はいかがなものかと。予算の見通しも、増えるか減るかも見通せないし、分からないし、そのときになってみなきゃ分からない、そういう会長でいいのかなと本当に私は思います。
 会長、会長の報酬はお幾らですか。

○参考人(籾井勝人君) 三千九十万程度です。

○林久美子君 このほかにも、会長の職務をサポートするために人が付いています。会長には秘書さんが付いていると思いますけれども、何人の秘書が付いていますか。

○参考人(籾井勝人君) 私の秘書としては一人です。あとは秘書室という組織でございますから、それが私の秘書というわけにはまいりません。私の秘書は一人です。

○林久美子君 秘書室長も含めて秘書室の方ということになると思うんですが、トータルすると四人だというふうに伺っています。秘書さん一人当たりの報酬、お幾らか御存じですか、年間の。

○参考人(籾井勝人君) 存じ上げません。

○林久美子君 やはりそれぐらいのことは把握しておいていただきたいと思う、自分たちの近くにいる方ですからね。どれぐらいの秘書さんたちがどういうぐらいのお給料をもらって、どういうふうにして業務をしていらっしゃるかと。まず一番近いところなんだから、私はそういうことにも目を向けていかないといけないんだと思いますよ。

 秘書の平均給与は一人当たり年間一千百八十一万円です。秘書さん四人ですから四千七百二十四万円。さらに、会長には会長専用の車が付いています。これの運転は、管理運営はタクシー会社に業務委託していらっしゃるそうで、その費用は年間一千三百七十六万円、一千三百七十六万円。つまり、会長の報酬と合わせて、少なくともですよ、秘書さんのお給料とこの車の業務の委託だけで年間九千百九十二万円。すなわち、一億円近くが会長に掛かっている、会長にいい仕事をしてもらうためのサポート体制も含めて、掛けられているんだということです。

 この費用の原資は何ですか。

○参考人(籾井勝人君) お答えします。

 NHKには、基本的に収入は受信料しかございません。

○林久美子君 それでは伺います。一世帯当たりの受信料はお幾らでしょうか。

○参考人(籾井勝人君) 今、衛星放送で、消費税込みで二千二百六十円かな、六十円でございます。あっ、二千二百八十円。前が二千二百二十円で、六十円上がります。それから、地上契約は一千三百十円でございます。

○林久美子君 そうですね。地上の契約だと一世帯当たり月額千二百二十五円、四月から消費税で千二百六十円になるわけですが、今ほど申し上げました、一億円近くが会長に掛かっていると。この中からも、秘書さんや運転手さんの人件費を抜いて、最初へ戻って会長の年間報酬だけ、この三千九十二万円だけで一体何世帯分の受信料に相当するんだろうかと。私、計算しましたよ。二万五千二百四十世帯分の受信料に相当するんです。二万五千二百四十世帯というと、例えば東京でいえば皆さんどの辺りだとお考えですかね、世帯数でいうと。千代田区が三万です、三万。私の地元滋賀県でいうと、栗東市の二万四千世帯に相当する。つまり、千代田区や我が地元滋賀県の栗東市の世帯が丸々、籾井会長の報酬だけでですよ、報酬だけ、秘書さんのお給料とかそういうのを抜いて報酬だけで、千代田区の人たちみんなが籾井会長の一年間の報酬を支えているということなんですよ。何が言いたいかというと、それだけ、それだけ負担金としてみんなで払おうよと、それだけ会長の職責は私は重いということを申し上げたいんです。

 今、年間二百万円収入、満たないワーキングプアと呼ばれる人がいっぱいいますよ。正規社員になりたくてもなれない人が山ほどいる。そういう方たちのそういう世帯からもこの受信料は支払われているんです。分かりますか、会長。そういうことを考えると、私はやはり、これだけの混乱を招いて、冒頭幾つか申し上げましたけれども、こういう状況に今至っているその責任を、私は、会長は取られるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○参考人(籾井勝人君) 何度も申し上げておりますが、私、着任のときにああいうふうな発言をして、皆様に大変御迷惑を掛けているということは何度も申し上げております。また、それについてもおわびもしておりますが、一刻も早い事態の収拾を図ることがNHKの経営にとって非常に大事だと考えております。
 放送法に基づきまして公共放送の使命を果たしていくということでNHK会長としての責任を全うしていきたいというふうに考えております。

○林久美子君 では、こう伺いましょう。辞任をなさるおつもりは今のところなさそう、ないような感じですけれども、NHKの方の職員のお給料は、二十五年度から、給与制度の改革を推進するために今後五年間で基本賃金を一〇%下げると伺っています。でも、彼らが、彼らが先頭に立って頑張っているんですよ、NHKの放送を支えている。視聴者のニーズに応えよう、期待に応えようと彼らが頑張っている。そうしたら、会長、せめて会長の報酬をカットするとか返上するとか、そういう姿勢はあってもいいんじゃないですか。いかがでしょうか。

○参考人(籾井勝人君) 役員の報酬も過去に二五、六%もう下げているんですね。それが今の現実でございますが、私としては、そういうふうな収入のこともさることながら、一刻も早く事態の収拾を図ることがNHKの経営にとって大事なことだと思っていますので、それに全力を挙げていきたいと思っております。放送法に基づきまして公共放送の使命を果たしていくということでNHK会長としての責任を全うしていきたいと考えております。
 現時点では報酬を返上することは考えておりません。

○林久美子君 役員の方のを既に下げているとかいう話ではないんです。私は、会長の、会長の報酬を返上するなりカットするなりしたらどうですかということを申し上げているんです。ほかの役員の方のことを問題にしているんじゃありませんよ。

 会長の発言なり行為がこの事態をつくっているんですよ。現場の士気を低下させているんですよ。負担金を支払ってくださっている視聴者の期待を裏切っているんですよ。だからこそ、一定けじめを付けてもう一回やり直していくんだと。

 理事の方には日付の入っていない辞表を書かせたんですよね、会長。今も金庫に保管をされている。返したらどうですか、使わないんだったら返したらどうですかとあんなに言われているのに、辞めてもらうときにはもう一回辞表を書いてもらうから、使わないんだからいいんです、返さないんですと会長おっしゃっていますよ、当総務委員会でも予算委員会でも。人に対してはそういう行為をなさる、会長、聞いてください、聞いてください、会長であって、御自身のこととなると、いや、一切やらないと、それはやっぱりおかしいんじゃないかと思いますよ。会長、せめて報酬の返上をしていただけませんか。

○参考人(籾井勝人君) 先ほども申しましたように、私は役員と申しましたが、会長の報酬も二六%ぐらい下がっているのでございます。それを是非考えていただきたいと思いますが、新しい会長に就いた私に対して、理事の皆さんが強い意気込みを表明して書いていただいたものというふうに受け止めております。したがいまして、私はその気持ちを考え、私自身の人事に対するやり方も考え、これを返す気はございません。

○林久美子君 会長、私の報酬も下がっているんですよと、これまでに比べてずっと下がってきたんだとおっしゃるけど、会長が就任されてから更に下がったわけじゃないですよね。自分の発言によってこれだけNHKの信頼を傷つけておいて、それは過去ずっと、私の前の人の間に下がっているから、ずっと昔に、大昔に比べたら下がっているからそれでいいんですよというのは私は違うと思いますよ。全くもって違う。

 そういう、組織のトップがそういう……(発言する者あり)大臣、伺いますので、後ほど。ですけれども、組織のトップとして、これは与野党を超えて、NHKというのはやっぱり国民にとって財産なんですよ、これは財産。そこの組織のトップがこういう状況で、現場で士気が落ちていて、非常に混乱をしていて、視聴者の中に不信感が広がっていて、もう受信料を払いたくないという人がいっぱい出てきていると。この状況で今この予算の審議をしているわけですけれども、この状況を放置していいと私は誰も思っていらっしゃらないと思います。

 だから、これについては、どうか引き続き、委員会で議論するのか、何らかNHKさんにこの予算を通すときに対応を求めるのか、その辺りはもう理事の皆さんにも御検討いただければと思いますけれども、それぐらい深刻な事態だと我々は、国会は捉えていますよ、会長。そういう思いでしっかりと臨んでいただきたいと思います。

 最後に、時間がなくなってまいりましたので、新藤総務大臣に伺います。

 今回の予算や事業計画、資金計画に付した大臣の意見というのがございますね、大臣意見。この中で、「放送法の趣旨を十分に踏まえ、正確かつ公平な報道に対する国民・視聴者の負託に的確に応えること。」と。もう一度読みますよ。「国民・視聴者の負託に的確に応えること。」というふうに、大臣、書いていらっしゃいます。こうした観点からも、政治がNHKに何かできるわけじゃないと大臣はいつも、介入はできないんだと放送法を根拠におっしゃっています。おっしゃっていますが、大臣意見を付せる立場には少なくともあるわけです。あるわけです。こうした今のままのNHKの状況では、大臣がお付けになった「国民・視聴者の負託に的確に応える」と、この大臣意見の達成もかなわないんじゃないかと私は非常に危惧をしています。

 最後に、大臣のお考えをお聞かせください。

○国務大臣(新藤義孝君) 私は、まず、今回の会長就任の記者会見に端を発した混乱、誠に残念だと、このように思っておるわけであります。それから、この国会において度重なるこういう御議論をいただいていることは、それはNHKという公共放送がきちんと運営されるんだろうかと、こういうことについて皆さんが御心配をいただいていて、それに対しての御議論を賜っていると思っております。ですから、私は、今まさに御指摘いただきましたように、放送法の趣旨にのっとって国民の負託に応えられるかどうか、こういったものをもう一度この機会に見詰め直すいい機会だと、こういうふうに思っているんです。

 先ほどから委員のお話を聞かせていただいていると、前提が、やはり私はもう一回ちゃんと整理した方がいいと思っているんです。

 今回の問題は、会長が就任の会見において個人的見解を述べた、そして、それが不偏不党、公平公正、こういったNHKの放送姿勢とそぐうかどうかということが問題になったわけであります。ですから、会長は、この件について個人的見解は取消しをすると、そして放送法に基づいてNHKをきちんと運営してまいりますと、こういうことを再三おっしゃっているわけであります。

 ですから、それについて今混乱が出ているとするならば、しかもその受信料の御心配でありますが、受信料の心配はこれは三か月後にならないと今まだ分かりません。それから、会長の年次というのは、これから新年度予算が四月から始まるわけでありますから、これからのそういう中にいろんな御心配があることはよく分かります。だからこそ、しっかりと体制を立て直して、私はNHKに予算に基づいて仕事をしていただきたいと再三再四思っているわけであります。

 この放送法が、自由を認められるとともに、何人からも干渉されない、結果、自主自律の放送をしていくんだと、ここのところをきちんと踏まえた、NHKがそういう放送をしていただけるように私たちもしっかりと見ていきたいと、このように考えております。

○委員長(山本香苗君) 時間が過ぎております。

○林久美子君 まとめさせていただきますが、私は大臣とちょっと見解が違うのは、確かに入口論は、入口はNHKの籾井会長の会見でしたよ、就任会見。でも、そこからどんどんどんどん、会長が発言をされるたびにどんどん話が大きくなって、入口と違うところにまでもう今来てしまっているんだと私は思います。だから、それは私はそう思っているので、しっかりとこれはNHK会長として籾井会長にも改めていただきながら取り組んでいただきたいと、我々もしっかりと引き続き議論をしていきたいということを申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 もう結構です。ありがとうございました。