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第183回通常国会 予算委員会 平成25年4月22日

第183回通常国会

予算委員会 平成25年4月22日

○林久美子君 民主党の林久美子でございます。よろしくお願いいたします。
 さて、第一次安倍内閣では教育基本法の改正、そして今回の第二次安倍内閣では教育再生実行会議を立ち上げられ、様々な課題について今議論をなさっていらっしゃるわけでございますけれども、この間、安倍総理が在任の間は常に教育という問題を政権の中枢に据えて取り組んでこられたということかと思います。その方向性についてはいろいろな思いもございますけれども、教育を大切にしていらっしゃるということに関しては敬意を表させていただきたいと思います。
 現在、私は民主党の次の内閣で文部科学を担当いたしておりますし、私自身、現在、小学校五年生の男の子を持つ母親でもございますので、本日は主に教育についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 安倍総理、まずは教育再生に懸ける思いからお聞かせをください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 全ての子供たちが高い水準の学力と規範意識を身に付ける機会を保障する、そういう教育を行っていくことが教育再生、教育改革の目的でございます。

○林久美子君 ただいま総理からは、全ての子供たちという御発言をいただきました。
 我々民主党が政権にあったときに、教育についての大きな取組として高校の授業料の無償化を実施をさせていただきました。実際に経済的事由による退学者は半減をいたしましたし、高校中退者の再入学、いわゆる学び直す人も一五%増えました。そうした意味では、全ての子供たちの学びを保障するということにおいて大きな成果があったというふうに私は思っております。しかしながら、非常に残念なことに、当時自民党の皆さんは野党のお立場でいらっしゃいましたけれども、ばらまき四Kということで、この高校授業料無償化はばらまきであるということを終始一貫繰り返してこられました。
 総理、今改めて総理大臣というお立場にあって様々な方から御意見等々聞かれる機会もあるかと思いますけれども、今でも民主党政権が行った高校授業料無償化はばらまきであるとお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高校無償化制度については、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図ることを通じて教育の機会均等に寄与するものと考えております。そのための政策はより効果的に進める必要があると考えています。
 このため、高校無償化制度に関しては、所得制限の導入、これは自由民主党が従来から主張していた点でございますが、まさにばらまきかどうかということについては、真に必要としている人たちに対して、言わばこれは国民の皆様からいただいた税金を投入をしていくわけでありますから、それが正しく均てんされていくことが大切であろうと、こう考えたわけでございまして、真に必要な、公助が必要な方々への制度となるように検討をしていきたいと考えております。

○林久美子君 民主党政権時代にやった所得制限のない高校授業料無償化はばらまきだとお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、言わば高校段階においては、必要でない人に行っているということについては我々はばらまきと考えたわけでございます。

○林久美子君 何をもってばらまきと判断するのかというのは非常に大切な視点だと思います。
 文科大臣の下村大臣は、先月、参議院の文教科学委員会において、ばらまきについてこうおっしゃいました。何をもってばらまきとするかどうかは財源論だというふうに思うんですよね、財源論と御答弁をなさって、その一方で、質疑の後半では言い直されました。効果、効率や見通しを十分に配慮せず、見境なく多数に金銭を配ることというふうに位置付けたいと答弁をなさいました。
 総理、ばらまきの定義として、内閣としての見解をお示しをいただきたいと思います。と同時に、私はやはりばらまきかどうかというのは財源論ではなくて制度で判断をされるべきと思いますが、いかがでしょうか。

○委員長(石井一君) まず、下村文科大臣。

○国務大臣(下村博文君) ちょっと誤解があるようですので、私の方からまずお話を申し上げたいと思います。
 ばらまきの定義というのは、効果、効率や見通しを十分に考慮せず、見境なく多数に金銭を配ること、これを申し上げました。我々は、同じ四千億円という財源があるのであれば、高校無償化の方向性について、つまり私的負担を軽減するという方向性については、これはあるべき方向性であるというふうに評価いたします。ただ、より成果、効果のある配り方というのがあるだろうという中で、これは公私間格差や低所得者層に対して更に厚い手当てをするということがより望ましい形であろうと。その中で、同じ四千億という財源の中で判断するのであれば、所得制限を設けて公私間格差や低所得者層に対して更に厚い手当てをすると、そういう我々の考え方から見て、民主党の高校授業料無償化はばらまきだというふうに申し上げたわけでございます。

○林久美子君 低所得者に厚くというお話がございました。そういった意味においては、我々の高校授業料無償化はばらまきではございません。実際に授業料無償化実施に合わせて特定扶養控除の縮減を実施をいたしました。この結果どうなっているか具体的な数字を御紹介しますと、現在の制度で、年収三百万円の家庭ならおよそ九万四千円プラスになりますが、一方で、年収二千四百万円の家庭ではプラスは七千円弱になっています。つまり、お金持ちになればなるほど無償化しても実質的には負担が増える仕組みになっているということでありまして、決して、低所得者に厚くとか大臣がおっしゃったようなばらまきではないのではないかという概念に照らし合わせても、そごがある制度ではないというふうに思っております。
 むしろ、ばらまきだということであれば、麻生大臣、昔のことで恐縮でございますが、定額給付金ございました。一万二千円ずつ全ての国民に総額二兆円を選挙前に配るといったことがございましたが、まさにああいう政策の方が私はばらまきではないかなというふうに思っております。
 先ほど総理もおっしゃいましたが、高校授業料無償化に所得の制限を設けるというお話でございまして、七百万円で境界を引くというやに伺っています。
 所得制限を掛けるということの問題は幾つもあるのですが、今日は一つだけ申し上げたいと思います。これは所得の反映までにタイムラグが生じるという問題です。
 例えば、高校一年生のお子さんが学校に通っていて、その世帯は元々年収八百万の世帯だったとして、じゃ、夏にちょっと給与の変動があって、結果として年収五百万の世帯になってしまった。本来であれば、そうしたら二年生のときにはそのお子さんは無償化の対象になるはずにもかかわらず、個人所得の額は一月から十二月までの収入をベースに翌年の三月までに申告をして、修正期間を経て確定をすると。これに基づいて制度に反映されるのは早くても七月ぐらいになるということになると、一年生のときに家計変動があったお子さんの家庭では、二年生のときには無償化対象にならずに、無償化対象となれるのは三年生になってからということになるわけです。
 こうなったときに、じゃ二年生の間の本来無償化になるはずだった期間の授業料は徴取されてしまうということになるわけですね。これについては、その後に返還するとか給付をするとか、何らかの形でしっかりと対応なさるということでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) まず最初に、林委員が指摘されましたが、例えば定時制高校の高校生は逆に負担になっているんですね。それについては言及をされる必要があるというふうに思います。
 それから、所得制限の話でございますが、自民党が野党のときの一つの目安として、同じ四千億円の中で、より公私間格差と、それから低所得者層に対する厚い給付型奨学金のような制度を考えているわけですが、その目安として七百万ということを提示をしましたが、今文部科学省の中で、この高校授業料無償化の見直しの中で、必ずしも七百万ということではなくて、より均等な形での、公正公平な形でどこに所得制限を線引きをするかどうかということについてはまだ検討中でございますので、まだ七百万ということが確定しているわけではございません。
 それから、ほかの制度でもやっぱり所得制限というのはあるわけで、この高校授業料無償化だけを、所得制限を導入する初めての制度ではないわけでございます。ですから、ほかの制度の中でのことも参考にしながら、それから、できるだけそういうふうな負担における、所得における差異が出ることによって不満が出ないような制度設計についてはこれから慎重に考えてまいりたいというふうに思います。

○林久美子君 まだきちっとした制度設計がなされていないということかとも思います。
 なぜ無償化の所得制限にこだわるかというと、それは、安倍政権が教育を非常に政権の大きな柱に掲げていらっしゃるんじゃないでしょうか。まさに人をつくっていくことというのが国づくりの基本であるという理念に立っていらっしゃるからこその私はお取り組みだと思っておりますので、そうした意味で、一概にほかの制度と並びで判断されるのは私は適正ではないというふうに思うということを申し上げたいと思います。
 我々は、こうした問題を発生させることなく全ての子供たちにきちっと学びを保障したいということで授業料無償化を入れたりしてまいりましたけれども、格差是正、低所得者対策とおっしゃるのであれば、その部分はより積まれたらいいんだと思うんです。ですから、是非そうしたことも御検討いただきたいと思います。
 さて、こちらを御覧いただきたいと思います。(資料提示)覚えていらっしゃると思いますけれども、「日本を、取り戻す。」、自民党さんの重点政策二〇一二、昨年十二月の総選挙のマニフェストでございます、公約集でございます。この中で「Action2 教育再生」というふうに書かれておりまして、この中に「幼児教育の無償化に取り組みます。」ということがございます。
 自民党さんは、平成十七年の郵政選挙以降、常に選挙のたびに幼児教育無償化というのを公約で掲げてこられました。しかし、安倍総理、今回、待機児童の問題にもお取り組みを進めるというお話ございましたけれども、なぜ今、幼児教育の無償化なのでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 子育て支援、少子化対策において重要性が高まっている中において、自由民主党で議論を重ねてきた結果、幼児教育の無償化に取り組んでいくべきだということになったわけでございまして、財源の問題がございますので、財源を確保しながら進めていきたいと、このように考えております。

○林久美子君 私は政策にはやはり優先順位というものがあると思います。幼児教育無償化は悪いことではないし、非常に先を見ると大事な政策だと思います。しかしながら、これだけ待機児童の問題が社会問題化して、子供を持ちたい人が安心して持てない中で、子ども・子育て支援三法案が通ってようやくこれから動き出そうという中にあって、まずイの一番に出てくるのが幼児教育無償化というところにやや疑問を感じているわけでございます。
 下村大臣、今総理から財源のお話がありました。この幼児教育無償化の財源として幾ら掛かると見込んでいらっしゃいますか。

○国務大臣(下村博文君) 先週の金曜日に、待機児童解消については、これは安倍総理が日本記者クラブで表明したとおり、前倒しでこれは対処するということでございます。そして、それに合わせて、この幼児教育の無償化については、今、森少子化担当大臣そして田村厚労大臣また私と政府側、それから与党、自民党、公明党の担当実務者によって今協議をしているところでございまして、六月までに一定の結論を出したいというふうに考えております。
 今考えていることは、この幼稚園、保育園を通じ、三歳から五歳の全ての子供に係る入園料及び保育料の平均的な金額について無償化した場合、必要となる追加公費の額は国及び地方公共団体合わせて約七千九百億円と推計されているところでございます。

○林久美子君 高校の授業料の無償化は三千九百億円、幼児教育の無償化は七千九百億円掛かるということでございます。
 その財源について安倍総理は、昨年の衆議院議員選挙期間中の十二月五日の日に静岡県の街頭演説で、当時、総裁として幼児教育無償化の財源について御演説をなさっています。覚えていらっしゃるでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) それはちょっと覚えていませんね。

○林久美子君 では、私から御紹介をさせていただきたいと思います。私たちは幼児教育を無償化していく、ちゃんと財源もあります、おっしゃっていらっしゃいます。
 これだけ民主党政権のときも含めて財源というものが大事だということで議論がなされているわけですから、当時、総裁であった安倍総理が目星もなくおっしゃったというふうには考えておりませんけれども、具体的にどこに七千九百億円の財源があるのか、お聞かせください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 公約を今読んでいただいたんですが、幼児教育の無償化に取り組んでいくということを公約としてお話をしました。ですから、それについては財源を獲得しながら進めていくということでございまして、現在は同時に三人ですか、この幼児教育に、言わば幼稚園、保育園にお子さんを通わせているお子さんのところについては無償化を始めているわけでありまして、この財源を確保しているということであります。段階的に進めていくということになります。

○林久美子君 総理、ちゃんと財源もあると演説をなさっていますので、この財源についてどこにあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、今年度予算でもう今申し上げたことについては対処しております。

○林久美子君 じゃ、同時入園の第三子分のみということでおっしゃっているんですか、この演説は。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、取り組んでいくということでありますから、そこから取組を始めていくということであります。

○林久美子君 いや、ちゃんと財源もありますとおっしゃっていて、段階的に取り組むということはお話しなさっていらっしゃらないんです。だから伺っているんですけれども、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) ですから、今段階的に、まず第一弾についてはこの予算にもう既に入れているわけでありますから、当然、財源がなければ予算に入れられないということであります。(発言する者あり)

○林久美子君 ちょっと静かにしていただけますか。
 それで、第三子のお話がございました。同時就園している年子の三人の子供がいて、三番目のお子さんだけ無償化に今回なっています。
 先ほども効果、効率を重視するというお話がございましたが、総理、じゃ、当然、幼児教育無償化にも所得制限を入れるということでよろしいでしょうか。
 いや、総理に聞いているんです。総理ですよ。

○国務大臣(下村博文君) いや、その件については総理の指示で、先ほど申し上げましたが、関係閣僚三大臣とそれから今与党の中で所得制限を設けるかどうか、制度設計については今検討している最中でございまして、先ほど申し上げましたように、六月までには中間取りまとめをする予定でございまして、具体的に所得制限をそれでは幾ら設けるかどうかも含めて、あるいは設けるかどうかも含めて、今我々三大臣と与党で検討している最中でございます。

○林久美子君 今回の第三子の部分に関しては、これまで年収六百八十万円で実質的には所得制限が掛かっていました。これが外れたわけです。これは所得制限を掛けない方向で進んでいるというふうに私は見るんですが、いかがですか。

○国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおり、幼稚園の対象の子供、第三子については、所得制限を撤廃したことによって第三子を無償化にしたということでございますが、これももちろん前提でありますが、だからといって全て所得制限を外すか外さないかと、新たに所得制限を設けるかどうかも含めてこれは今検討している最中で、これは予算が総額全て掛かった場合に七千九百億円という、その予算の中での段階的な制度設計の中で、あるべき形はより所得制限を設けない三、四、五歳児の無償化であるというふうに思いますが、財源との兼ね合いもあると思いますので、段階的にいつからどういう形でやっていくかということについては今検討している最中でございます。

○林久美子君 高校授業料無償化は、所得制限が掛かっていないものはばらまきなので所得制限を掛けると。幼児教育無償化については、まだ分からないけど、少なくとも今の段階では所得制限を一部もう外して始めているわけです。
 これは私は政策の一貫性を欠くというふうに思いますけれども、総理、総理にお伺いをしたいと思います。いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 基本的に、言わば義務教育として、小学校、中学校は義務教育でありますが、高校は義務教育ではない。その段階で、高校には進学をしないという選択肢を取る方々もいらっしゃいます。一方、幼児教育については、保育園か幼稚園、これはほぼ御両親は必ず行かせるわけでありますから、その点については観点が違うということは申し上げておきたいと思います。

○林久美子君 ちょっと通告をしていなくて申し訳ございませんが、今のお話だと、就学前はほとんどの人が行くけど、高校は行かないという選択で行かない人もいるんだというお話でしたが、幼稚園の就園率と高校の就学率、大臣、分かりますか。(発言する者あり)いや、高校と違うということで対比でおっしゃいましたよね。大臣いかがですか。両方、保育園も含めていいです。

○国務大臣(下村博文君) 今、高校の進学率は約もう九八%近いというふうに思います。そして、幼児教育については、これは幼稚園、そして保育園、総合こども園、あるいは家庭教育もありますので家庭でやっているものもあります。一概に高校進学率と単純に比較することはできないと思います。

○林久美子君 では、私の方から御紹介いたします。高校一年生の進学率九七・九%、五歳児の就園率は九六・九%です。高校の進学率の方が高いんです。
 総理、幼稚園の子供を持つ家庭の教育費と高校生の子供を持つ家庭の教育費、どちらが掛かると思われますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、林さんの今言っている意味とは違うんですがね。言わば幼稚園、保育園にはまだ現在の段階では待機児童がいるという状況になっています。そういう待機している方も含めてのそれは数字なんだろうと思いますよ。その中において、御両親が仕事をしていれば、これはどうしても保育園に預けざるを得ないという状況が生まれるわけであります。そして、基本的には高校というのは今でも義務教育ではありませんから、その中で選択はできるということになるわけであります。
 そこで、もちろん全てを全く所得制限を抜いて無償化するという考え方もあるかもしれませんよ。しかし、我々は、まずは保育園について待機児童をゼロにしていくということとともにそれを無償化をしていく、幼保を無償化をしていくということを目指していきたいというのが我々の政策であります。

○林久美子君 幼稚園とか保育所に通う子供さんを持っている家庭の教育費と高校生の子供さんを持っていらっしゃる家庭の教育費、どちらが掛かると思われますかと私伺いましたけれども。
 総理に、総理にです。

○国務大臣(下村博文君) よろしいですか。高校の方が高いです。
 ただ、民主党の言われている高校無償化というのは、林先生、これは公立高校における高校授業料の無償化ですね。私立高校においては無償化になっているわけではないわけです。公立高校の授業料の相当額分を無償化対象にしていると。このことによって、授業料比で申し上げると、高校授業無償化以前、私立高校と公立高校の授業比率が四対一だったのが、これが三対ゼロになったと。つまり、公立高校の授業料はゼロ、私立高校の対比でいうと四対一が三対ゼロと。
 つまり、そういう意味では、これは私立高校の通っている生徒の立場でいうと、これは無償化になっていないわけですね。ですから、完全無償化じゃないわけです。それは段階的というふうに将来のことでお考えになった手だてだったのかもしれませんが、我々は野党のとき、それ自体が一律の対応であって、真の困っている子供に対するその家庭的な経済状況に応じた手当てではないということをばらまきというふうに申し上げたわけでございます。
 今回の幼児教育の無償化は、公立とか私立とか、それから幼稚園とか保育園とか関係なく無償化を目指すということでございます。それが単純に幼児教育と、それから高校の、公立高校の授業料の無償化と単純に対比できない点であるということについては御理解いただきたいと思います。

○林久美子君 私が申し上げたいのは、要は、しっかりと家計の負担が大きいものから順次やっぱりやっていくべきだと思うわけです。
 どう考えても、高校に通うお子さんの家庭の方が家計の中に占める割合は高いわけです。それは子供を育てている方だったら多分皆さん分かられることだと思います。だからこそ、我々は高校授業料無償化をし、あるいは奨学金制度を拡充をし、さらには出世払い方式と言われる奨学金制度もつくったわけです。こうしたものが全部整った後に、後に幼児教育無償化というものがあるなら分かりますよ。しかしながら、こっちには所得制限を掛けて、幼児教育無償化はまだ分からないけど、取りあえず第三子は外したことは間違いないわけですから、そういった意味において私は一貫性を欠くということはしっかりと指摘をさせていただきたいと思います。
 ちょっと時間も限られていますので、次のテーマに移らせていただきたいと思います。
 安倍総理、今回、やはり第二次安倍内閣は適材適所人事で組閣をなさったかと思いますけれども、とりわけこの教育という分野においては、大臣、そして副大臣、政務官に至られるまで、しっかりと経験等を考慮をされて適材適所人事を行われたということでよろしいでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 下村大臣は、御承知のように第一次安倍内閣において教育再生を担当、官房副長官でありましたが、教育再生を担当してまいりました。また、自由民主党における文教部会長も務めてきたわけでありまして、この道ずっと進んできた人物を大臣に指名したと、こういうことでございます。

○林久美子君 当然、副大臣、政務官もということでよろしいですよね。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 副大臣、政務官、それは様々な経験を積んでいくということもございますから、既にこれは今までキャリア的にずっとその分野において積んでいるということにはなりませんが、大臣については十分なキャリアを積んでいるということになりますが、副大臣、また政務官については、それは御党でもそうだったと思いますが、その中において当然見識を積んでいくということであります。もちろん、そういう素養のある人物にそれぞれ就任をしてもらったと、このように考えております。

○林久美子君 そうした中で、教育を担う副大臣というのはより慎重に人選をなさったかと思います。
 教育担当の副大臣は谷川副大臣でいらっしゃいますが、ホームページ等を拝見しても教育の教という字もどこにも見当たらないし、経歴も全く教育については御担当をなさったことがないというふうに思います。と同時に、私はこれ、教育を担う副大臣としていささか疑問に感じるところがございます。
 今日は副大臣にお越しをいただいておりますけれども、御地元の長崎県の諫早湾の干拓事業における入植者選定において、平成二十三年の九月に長崎県議会に百条委員会が設置をされました。この百条委員会が設置された経緯と委員会の目的について、谷川副大臣、御答弁をお願いいたします。

○副大臣(谷川弥一君) 平成十九年十二月二十五日の長崎県諫早湾干拓地への入植者の選考において、財団法人長崎県農業振興公社は農業生産法人T・G・Fを選定しましたが、この選考においてT・G・Fは優先的に選考されたのではないかという議論が長崎県議会で行われ、平成二十三年九月、当該選定及びそれに対する県のかかわりを調査するため、県議会は諫早湾干拓事業における入植者選定に関する調査特別委員会を設置したものと認識しております。

○林久美子君 当時、農林水産大臣政務官をお務めだった副大臣の御親族が経営される企業がこの入植者選定で優先されたのではないかと、副大臣がこれに関与されていたのではないかということも調査対象に挙げられて、副大臣は出頭要請も受けていらっしゃるやに伺っておりますが、副大臣、出頭されましたでしょうか。

○副大臣(谷川弥一君) 平成二十四年五月二日、百条委員会は私に対して証人としての出頭を提起をしましたが、そもそもT・G・Fの入植者に関与した事実はなく、ほかの証人の証言等により自分の潔白は証明、立証されており、証言の必要性は認められませんでした。また、衆参両院における国政調査権の発動は、多数派による濫用を防ぐために全会一致が慣例となっています。これに対し、百条委員会の運営は公平公正でなく、調査権が議会多数派による政争の具として濫用されていました。こうした百条委員会の決定に鑑み、弁護士の法的見解を踏まえ、出頭しないことに正当な理由があると判断し、五月二十四日に不出頭の提出を行いました。

○林久美子君 出頭されなかったということでございます。
 そして、昨年七月に長崎県議会からこうした副大臣の対応を非難する声明というものが出されました。この声明文の中では、「堂々と出頭して証言をすべきにもかかわらず、正当な理由もなく、出頭を拒否することは、まことに遺憾の極み」とされています。
 正当な理由なく出頭を拒否した場合どうなるのか。総務省、地方自治法第百条第三項にはどのように書かれているでしょうか。

○政府参考人(望月達史君) 地方自治法第百条第三項におきまして、「出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。」と規定されております。

○林久美子君 禁錮や罰金に値するということでございますが、副大臣、これはやはり出るべきだったと思いますが、いかがですか。

○副大臣(谷川弥一君) やましいところは一切ありません。
 私がT・G・Fに関与した事実がないことは他の証人の証言等により立証されており、証言の必要性は認められませんでした。また、衆参両院における国政調査権の発動は、多数派による濫用を防ぐため、全会一致が慣例となっています。(発言する者あり)

○委員長(石井一君) 静粛に願います。

○副大臣(谷川弥一君) これに対し、百条委員会の運営は公平で公正ではなく、調査権が議会多数派による政争の具として濫用されていました。こうした百条委員会の状況に鑑み、弁護士の法的見解も踏まえ、出頭しないことに正当な理由があるものと判断し、不出頭の届出を行いました。

○林久美子君 先ほどから同じ答弁を同じ紙を見て繰り返していただいていますので、これ以上議論しても前に進まないのかなと思いますが、こうした、李下に冠を正さずという言葉もあります。本当にきちっとお話ができるのであれば、私はきちっと出頭して証言をなさるべきだったというふうに思いますけれども、こうしたことと併せて、教育担当として本当にふさわしいのかどうかと思う部分がほかにもございます。それは、副大臣のいじめに対する認識のコメントにも表れています。
 副大臣、昨年十二月二十七日、就任会見でいじめ防止について何が必要だとお述べになられましたでしょうか。

○副大臣(谷川弥一君) 私は平成二十四年十二月二十七日の就任会見において、いじめをしたら必ず見付かるんだよ、そして怒られるんだよという理論をきちっと生徒に理解してもらう、そのためにはやっぱり怖い人が学校にいないと駄目なんだと、そういうふうに述べたんです。
 これは荒れている学校への対処方法の一つとして発言したものであり、体罰を容認するものではありません。

○林久美子君 副大臣、今省略なさいましたが、こうおっしゃいました。怖い人が学校にいないと駄目ですよ、だから、学校の先生の中に武道家、一番いいのはボクシングだと思っているんだけど、ボクシング、空手、剣道、柔道、それからプロレスも入るのかな、このようにおっしゃっています。
 いじめを防止するために怖い先生が必要だというのはどういう意味でしょうか。(発言する者あり)

○委員長(石井一君) 御静粛に願います。

○副大臣(谷川弥一君) いじめに対しては徹底的に予防措置を図ることが必要であります。そのためには、子供がいじめを思いとどまるようにすることが必要だ、私はそういう観点から述べたんです。

○林久美子君 副大臣、やはり私は体罰を容認するような発言であるような気もしますが、今でも副大臣は怖い先生を副大臣として各学校に配置をするように職務を執行しようとお考えでしょうか。

○副大臣(谷川弥一君) 私が子供のときに、先生との会談の中で何を思ったのか、中学校二年生だったと思いますが、担任の先生の手のひらにきりをばんと突いた子がおったんです。私はそれをじっと見ておって、先生は黙ってそれをばっと抜いて、そして腰に掛けておったタオルでぎゅっと巻いて、そしてそれできれいに拭いて、駄目だよ、こんなことをしたらと。それからその子は収まりました。そういうのがイメージとしてあったんです。
 強い先生に毅然とした態度を取ってもらえれば多くの問題が僕は解決するんじゃないかなと思っているんです。
 以上です。

○林久美子君 大津で中学校二年生の男の子がいじめで自ら命を絶つという事件がありました。調査委員会の報告書が、一月三十一日に第三者調査委員会のまとめた調査報告書が出ていますが、副大臣はお読みになられましたか。

○副大臣(谷川弥一君) 市長さんと直接会いました。それから、大臣の部屋でもお会いしました。なかなか新聞にも載っていないようなぴしっとした……(発言する者あり)いや、持っています。読んでいます。

○委員長(石井一君) ちょっと私語をやめてください。

○副大臣(谷川弥一君) すばらしいと思っています。

○林久美子君 しっかりと、読んでいらっしゃるのなら読んだ、読んでいないのなら読んでいないときちっと言っていただかないと議論ができないかと思いますけれども。
 その続きでございますが、先月の参議院の文教科学委員会で、副大臣は我が党の斎藤嘉隆委員の質問に対して、いじめを防止するための考え方として省内にどういう指示を出しているとおっしゃいましたでしょうか。

○副大臣(谷川弥一君) まず、いじめが本当に悪いことだということを日本全国に広く普及して、そうだよな、そうだよなと皆さんが思うような、そういう社会風潮というのか、そういうのをまず是非していきたい。次が、徹底して、どういうことがどこであっているか徹底してつぶさに調査して調べて、原因を細かく分析して、それから対策を打っていくと、いろいろと、そういうことを言っています。

○林久美子君 随分御答弁変わっていらっしゃいます。私がこの今議事録を手元に持っていますが、読み上げます。「私は省内で言っているのは、NHKに相談してくれと言っているんです。」とおっしゃっています。これはどういった意味でしょうか。

○副大臣(谷川弥一君) 座右の銘が真実一路の旅を行くということでして、決してごまかすつもりはありません。
 とにかく、NHKと言ったのは、テレビというのが一番啓蒙というか知らしめるのにはいいメディアだと僕は思っておるので、とにかくいじめは駄目なんだということを各家庭全部に伝えるための手段としてお願いしたらどうかと言いました。

○林久美子君 啓発というのは確かに手段の一つだと思います。しかし、大臣、これは副大臣として特定のテレビ局の名前を挙げて指示するのは適正な職務の執行なんでしょうか。(発言する者あり)

○委員長(石井一君) 静粛に願います。

○国務大臣(下村博文君) 谷川副大臣の真意は、いじめを撲滅するためにオールジャパンとして是非協力をしてもらいたいという中で、民放にはなかなかそこまではお願いできないけれどもというような思いで、一つの例としてNHKというふうに言われたんだと思いますが、これは別に強制力を持ってNHKにということではなくて、例えばそういうところを通じて子供たちに広報活動をしていただいたらどうかという例だと思います。

○林久美子君 それでは、谷川副大臣、もう一度伺います。いじめを防止するための取組として文部科学省が本来行うべき施策の具体例を挙げてください。

○副大臣(谷川弥一君) きちっと私は大臣じゃないんで話したわけじゃないんですが、常々言っていることは、いじめが起こったときに、いろんなところから抗議が来たときに先生が孤立するケースがある、それを防がなけりゃいけないということが一つ。もう一つは、自分よりも強い子供が自分の言うことを聞かぬ、場合によってはトラブルが発生する、そこで個人的に処理しようとすると自分が負ける、負けると先生の権威が壊れる、これをどうするかな、これをどういうふうにしたら解決できるかな、まだ答えが出ていません。
 そういうことを通じて、いろんなことを想定しながら、何としても先生が困らないように、きちっとした教育ができるように、例えば、学校に来るのは三十五人、四十人、いろいろ学級、三十五人ですか、メンバーはいろいろあるんですが、その人たちは静かに先生の話を聞くということが前提になっています。それを聞かないで、いろいろあった場合に、まだ今ぴしっとしたシステムになっていないので、そういうことを含めてです。

○林久美子君 済みません、ちょっとよく分かりにくかったんですけれども、いじめ、本来の文科省として行うべき施策の具体例を、副大臣、挙げてください。お願いします。

○副大臣(谷川弥一君) いじめの問題については、いじめは絶対に許されないとの意識を日本全体で共有し、子供たちを加害者にも被害者にもまた傍観者にもしない教育を実現することが必要であると考えています。
 特に、犯罪行為として取り扱うべきと認められる場合の警察への通報やいじめを繰り返す児童生徒への出席停止制度の活用などの対策を講じるとともに、道徳教育の充実が必要であると考えています。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充等により、教育相談体制の充実を図っていこうとしているわけです。

○林久美子君 今幾つか挙げていただきましたが、今、安倍政権も熱心に取り組んでいらっしゃいますが、道徳の教科化ということが挙げられていますが、先ほどお話しいたしました大津の第三者調査委員会の報告書の中にはこんなふうにも書かれているんです。今回の学校が道徳教育実践研究校の指定校でした、二年間にわたってそうした中でこうした事件が起きてしまったということに関して、道徳教育や命の教育の限界についても認識を持つべきだということがやっぱり書かれているんですね。だから、総合的に文科省として本来行うべき施策を一つ一つやはり私は積み重ねていくべきなんだというふうに思っています。そうした意味においても、谷川副大臣のこれまでの御発言に私は疑問を感じているということでございます。
 副大臣に関して、あと一つだけ伺いたいと思います。
 先月の委員会で谷川副大臣は、実際にいじめや体罰の発生した学校にはまだ足を運んだことがないんだとお話しになった上で、一番ひどいところを視察に行きたいので、そこを選んでくれぬかという指示もいたしておりますというふうに答弁をなさいました。副大臣、具体的にどのような学校に視察に行こうとお考えでしょうか。

○副大臣(谷川弥一君) 学校現場の声をよく聞きながら有効な対策を考える必要があるということでいろいろお願いしているんですが、まだ、その具体的に私が行ったところがひどかったという認識はないんです。非常に一生懸命、先ほどの答弁も実はそこで聞いた先生方の話を参考にしながら会議をしているんですが、まだ、先生が今御質問のようなひどいところにまだ行っておりません。行ったところは非常に、前はひどかったけど今は非常に良くなっていたところでした。

○林久美子君 文科省、副大臣の指示を受けてどういう学校を選定しようと準備していますか。

○政府参考人(布村幸彦君) お答えいたします。
 谷川副大臣からの御指示を受けて、学校現場の声をよく聞かせていただきながら、いじめ問題等に有効な対策を考える必要があるという観点から、視察先といたしましては、児童生徒の生徒指導上の諸課題に対する対応として参考とさせていただくと、そういう取組をこれまでなされてきた学校を選ばせていただいております。

○林久美子君 総理、私何を申し上げたいかといいますと、先ほどの百条委員会のこととか、さらにはこれまでの副大臣の委員会における発言、会見における発言、例えば今のひどい学校の話でもそうですよ、ああいうことを発言してしまうと副大臣が見に行った学校はひどい学校なんだということになってしまうわけです。教育を担われる方だからこそ、私はもっとしっかりと慎重に発言はいただかなくてはならないと思います。
 こうした一連のことを受けて、総理、適材適所人事だったと思われるでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 谷川文科副大臣は、離島、長崎の離島で育ちました。そして、まさに自分で人生を切り開いてここまで来た方であります。年齢も相当私よりも先輩でありますが、そういう人生経験を生かしていただきたい。言わば教育というのは、やはりその人たちの人生を反映、生きてきた人生、そこで積み重ねてきた知恵や言わば哲学の反映でもあるわけでありますから、そういうものを生かしてもらいたい。
 確かに、谷川さんは、言葉はまあ時に少し荒いというふうに思われるかもしれませんが、しかし、まさに誠意のある人物でございますので、その誠意と今までの経験を教育の場で、教育行政の場で生かしていただきたいと、このように期待をしております。

○林久美子君 省内に対する指示等を御覧になった上でも、総理、今のお考えはお変わりないですか。

第183回通常国会

予算委員会 平成25年4月22日

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 省内に対する指示は、役所というのは比較的、視察に行きたいと言うと全てが整っているところを用意しがちなんですね。そうではなくて、やはり課題のある、問題を抱えている学校に自分は行きたいということをおっしゃったんだろうと、このように思います。

○林久美子君 私は、総理の副大臣に対する評価と私の評価はちょっとそういった意味では違うんですけれども、やはり子供たちの成長の基盤を支える大事な私は仕事だと思います。副大臣というのはたくさんの権限を持っていて、いろんな指示が出して、いろんなことが私はできるポストだと思っています。ですから、NHKに番組を作ってもらえばいいとか、そういう次元の話ではなくて、やはりしっかりと自らが現場に行って話を聞き、一つ一つ政策を下村大臣とともにつくっていくんだという気概を、ここで改めて気持ちを入れ替えていただきたいということをお願いをさせていただきたいというふうに思います。
 時間になりましたのでこれで私の質疑は終わらせていただきますけれども、教育再生を政権の柱に掲げる安倍政権でございますから、しっかりといま一度、もう一度しっかりとした政策を積み上げていただいて、財源を確保しながら子供たちの未来を切り開くような教育を是非ともお願いをしたいと思います。
 ありがとうございました。