KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第183回通常国会  国民生活・経済・社会保障に関する調査会 2013年02月27日

○林久美子君
済みません、時間もありませんので、簡単に伺わせていただきたいと思います。
後藤参考人、樋口参考人、本日は本当に大変貴重なお話をありがとうございました。一問ずつお伺いしたいと思います。
後藤参考人には、まず貧困についての法律の制定の必要性について伺いたいと思います。
子供の貧困率というのは、非常にOECDの中でも日本は高いと。先ほど貧困の固定化のお話がございましたけれども、イギリスではこれ法律を作っておりまして、例えば、しっかりと調査をする、あるいは計画を作る、そして公表するというステップを踏んでやるわけですけれども、この日本において子供の貧困を例えばこれから先一〇%に減らしていくとかいうことも含めて、法律を作るということについていかがお考えかということをお聞かせをいただきたいと思います。
そして、樋口参考人には、ややちょっとこれもテクニカルな話になってしまうのかもしれませんが、非正規の方の長期化のお話がありました。やはり非正規じゃなくて正規雇用にしていかないと国は安定しないんだと思います。
結局、労働契約法の十六条が、あれは解雇要件を課しているわけですけれども、労働者を守ろうとしている条文でありながら、裏を返せば、結局、企業の方は解雇要件が掛かってしまっているので正規で採りにくい、逆に非正規の方に偏らせてしまっているのではないかというような見方もありまして、この解雇要件を一定外すと、その代わり、基本的には非正規は駄目で、正規にしてくださいねというような形に変えてはどうかという見方も一つあるというようなことを伺ったことがあるんですけれども、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(後藤千恵君)
そういう必要性は感じます。そういうふうになれば本当にしっかりとやっていけるようになるとは思います。ただ、法律ということになるとかなりハードルが高くなります。取りあえずはその具体的な数値目標を出し、今までも数値目標を出しているんですけれども、それが達成できなかったときの検証、また反省、それを反省を基に今度違うやり方でやっていく、そういうことがなかなか日本はできてこなかったので、しっかりと数値目標を出し、イギリスもちゃんと、中間的にどのくらい達成できたかということをちゃんと公表して、それを今後に生かすようなやり方をやっています。日本でも是非そういうふうに、単なる数値目標ではない、本当に実現するための目標を掲げてやってほしいと思います。
そのためにも、政権が替わるごとに貧困の問題への取組が変わるというのでは、やっぱり本当に困っている人たちは助けられないと思います。例えば、政府とは別にシンクタンクというか社会保障の問題だけをしっかりやるところが例えばあって、そこでもうきちんと、先ほどの貧困の、生活保護の捕捉率を含めしっかりとデータをつかみ、そこがしっかりと政権が替わっても見続けていくみたいな、そういう組織は日本には必要なのかなと、これは私見ですけれども、思ったりもしております。
○参考人(樋口美雄君)
数値目標の方は実は私も賛成でして、それはやっぱり進めるべきだろうというふうに思います。
その一方で、御質問のございました整理解雇の四要件のところでございますが、これは御案内のとおり、法律で決められているものではなく判例による、判例の積み重ねということでなってまいりました。ここではどういったものが合法的な整理解雇に当たるかというような四要件であるわけでありますが、もう一つ、実際の解雇の問題を考えたときに、誰を解雇するのかというようなところも非常に重要なポイントになってくるかというふうに思います。
アメリカでも、人数についてはこれは雇用主側が自由に選べるということでありますが、誰を対象にするのかということについては労使で大体規定を、ルールを決めている。例えば、セニョリティールールという勤続年数の短い人から順番にしますというようなこともあるわけでありまして、実は、この四要件をどう見直すかということと並んで、じゃ具体的にそれを進めようと思ったときに誰をその対象とするんですかと。よく日本ではリバースセニョリティールールというふうにアメリカ人が比喩して言うことがあります。アメリカのセニョリティーは勤続の長い人が最後まで守られるというものに対して、日本はむしろ高齢者の方が最初に、勤続の長い高齢者がその整理解雇の対象になってしまうんじゃないかというような表現で言われているわけでありまして、ここのところが実は非常に論点になってくるかなと。
そういう中において、今やはり考えておかなくちゃいけないのは、正社員でもいろんな方いらっしゃいますよねというような、その正社員の多様化。あるいは、多様な正社員との関連で、例えば職務限定とか地域限定というような、全国転勤はできないと、その代わり、一定の事業所であるとか引っ越しを伴わないような転勤であれば認めるけれど、それ以外は好みませんよというような、そうした場合に、ある事業所を閉鎖するというようなことが起こったときに、今ですとほかの事業所に雇用保障をしながら異動するということを前提にしているわけでありますが、ここにある意味では、事業所を閉じるのであれば整理解雇というかその道を開くとかというような、段階的なやり方はあるんではないかというふうに思います。
職務についても同じでありまして、今までやっていた仕事がなくなっているにもかかわらず、今の場合、ほかの仕事でも企業の中の転勤あるいは配属をすることによって雇用保障ということになっているわけでありますが、果たしてそれが本人にとってもプラスかマイナスかどうかというところがあるかなと。ただ、今から入ってくる社員についてはそういったものがあるわけですが、既に雇われている人についてそれをどう適用していくかというのはいろんな議論があるんではないかというふうに思います。
○林久美子君
ありがとうございました。
先ほど両参考人から、子供の貧困に関しての数値目標には御賛同いただけるというお話いただきました。後藤参考人もおっしゃったように、政権が替わるたびに政策が揺らぐのではやっぱりこの類いのものは困りますので、実は、今、法案を作ろうと思って準備をしています。例えば貧困率をこの数値まで下げるとか、イギリスのも参考にしながらやっておりますので、また様々な面から御指導をいただければと思います。
どうもありがとうございました。