KUMIKO HAYASHI OFFICIAL

第180回通常国会 社会保障公聴会 2012年8月6日

第180回通常国会 社会保障公聴会 2012年8月6日

○林久美子君 おはようございます。民主党の林久美子でございます。
公述人の皆様、本当に今日はお忙しい中、そしてまた大変示唆に富んだ御意見をお聞かせをいただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、時間も限られておりますので御質問をさせていただきたいと思います。
まず、池本公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。
今回の三法案について、待機児童の問題等々についても一定解決に向けた道が開かれるのではないかということで、御評価をいただいたような気がいたしております。その一方で、今回のこの三つの法案によって格差の是正というものも一つ進むのではないかなと私は考えておりまして、ちょっとこの点についてお伺いしたいんですが。今日もお話の中で、これまでは国の公的な支援がほぼなされてこなかった一定の基準を満たした保育所について、認可外の保育所についても、これから財政的な支援が行われると。それが量的な拡充につながっていくことも当然ありますでしょうし、一方で、これまでは児童福祉法第二十四条で保育に欠ける要件があったので、どうしても正規社員でフルタイムの方が最優先で、そういった方たちが認可の保育所に入りますと。そうなった後で、例えばパートの方とかはどうしても認可外のところになってしまう。でも、収入が多い方の方が保育の公費の負担も多くて、そうじゃない方は公費の負担が非常にない中で、先ほども十万円を超えるというお話もありましたけれども、そういうところを選ばざるを得ないという状況もあったのかなというふうに思っております。
そうした意味においては、基準を満たしたものについて公的な支援が行われるということは格差の是正、解消にもつながると考えますが、この点についての御評価をお聞かせいただけますでしょうか。
○公述人(池本美香君) 御質問ありがとうございます。
そこまできちんとレジュメに盛り込んでおりませんでしたけれども、本当に格差、要するに全ての子供にきちんと保育給付を出すという点では非常に公平な制度になったと思います。私自身も日ごろから、保育制度の方も認可と認可外の格差が余りに大きいということで、認可外は保育料も高く、施設も貧弱、保育士も担保されていないというところで、本当にくじに当たるか当たらないかというような非常に格差が大きいところで、そこを解消するということは一つ大きな前進だと思っております。
あともう一つ、格差の点でいいますと、育児休業の方も、結局取得して給付を受けているのは、フルタイムで育児休業もあってたくさん休める人に給付が支払われるということで、必ずしも公平な制度になっていないと思いますので、ここも含めて格差の是正ということはしっかり考えていく必要があるかと思います。
ただ、本当に認可外施設で結局就労を諦めてしまった知人も何人もおりますので、そういった人たちもきちんと働けて、結局、そういう所得の底上げをしていくという意味で非常に保育制度は重要な意味を持っていると思っております。
ありがとうございました。
○林久美子君 ありがとうございました。
では、続きまして菅家公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。
連合の皆さんは、働くことを軸とする安心社会を目指していこうということで日ごろ御活動いただいておりまして、その実現に向けては、高齢者中心の社会保障を全世代支援型でしっかりと転換していくことが必要なんだと、同時に、制度をつくることと財政措置が重要であるというようなお考えで取り組んできていただいたかと思います。
そうした意味では、やはり仕事と家庭を両立する、ワーク・ライフ・バランスと、なかなか口で言うほどやるのは簡単ではないということを日々多くの方が痛感をしていらっしゃるかと思うんですが、今回の三法案によってこのワーク・ライフ・バランスにも一定、プラスの成果が見られるのではないかというふうに考えますけれども、この点について公述人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(菅家功君) 委員御指摘のとおり、現在でもM字カーブの問題でありますとか、六割強の女性の労働者が働くことを諦めざるを得ない状況といったものがあるわけでありまして、そういう意味で、社会経済の持続可能性を担保するため、あるいは生産年齢人口の就業率を上げていくことは極めて重要だというふうに考えております。その最大の眼目は女性の社会参加だというふうに考えておりまして、そういう意味で、ワーク・ライフ・バランスというものが重要だというふうにも考えているところでございます。
今回の改革によりまして、そういった保育サービスなどの量的拡大などを行うことによりまして、女性の参画といったことを通じましてワーク・ライフ・バランス社会の実現にも貢献するというふうに考えているところでございます。
○林久美子君 つまり、今回の三法案によって非常に大きな問題となっている格差の是正が解消されていくであろう、あるいは日本が、この少子高齢化が進み、労働力としても、そして能力を発揮するということからも女性の社会への参画が望ましくなってきている世の中にあって、このワーク・ライフ・バランスにも大きな第一歩を踏み出すであろうということの御意見をお二人からいただけたかと思います。
続いて、また池本公述人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、将来への課題ということをお示しをいただきました。グローバルな視点で見たときに、この教育という部分にどういうふうにコミットしながらきちっと進めていくかという話だったかと思います。
今回の三党合意の中でも、そしてこれまでの民主党の政策の中でも子ども家庭省と私たちは言ってまいりましたし、今回の三党合意では組織の在り方をしっかり考えようということで盛り込んでいただいたわけでございますけれども、これ、子ども家庭省なのか、どういう名前がいいのかというのは別として、働くということ、あるいは保育と教育というものをどういうふうに、どの辺に軸足を置いてつくっていくかという非常に難しい問題なんだと思います。
ヨーロッパの方でも、最初はそっちの家族政策側にあったものが教育側に動いてきていたりしますので、池本公述人はどういう形が現段階で、今の日本の現状を踏まえて望ましいと思っていらっしゃるのかというのをお聞かせいただきたいのと、もう一点、幼児教育の無償化のお話がありました。
これは、非常に私も理想的だとは思っています。しかしながら、先ほどの格差の話ともリンクするんですが、今これだけ待機児童がまだいる中で幼児教育無償化をしてしまうと、その保育所なり幼稚園に入れたところのお子さんは税の恩恵を受けて幼児教育、保育を受けることができる、しかしながら待機になって入れなかったところのお子さんは全くそういった機会を奪われてしまうということもあって、やはり最初に大事なのはこの待機児童の問題なのかなというふうに思っているんですけれども、この二点について御意見をお聞かせいただければと思います。
○公述人(池本美香君) 先ほど、所管の問題、御質問ありまして、確かにヨーロッパの場合は、まずは福祉の方に置いてあったものを教育の方に移してきたという経緯がございますけれども、日本はとにかく時間的な、もう待っている場合ではないということがまず一つで、いかに一番効率の良い制度でやるかといった場合に、教育として子供にいい質の教育を与えるかという観点で議論を整理した方が格差の問題も、今は親が働いているか働いていないかということで子供を分けるような形になっていますけれども、全ての子供に質の良い教育を与えるという観点で整理をした方が、結果として女性も外に出れるということになりますし質も向上するということで、私はニュージーランドとスウェーデンの保育政策について調べてまいりましたけれども、ニュージーランドなども、なぜ教育にしたかというと、保育の質と量を両方上げていかないと、結局高学歴の女性は、要するに家庭教育に熱心な人ほど外に出られないということですので、まず子供にいい教育を与えるんだというメッセージを社会として出していくことが非常に重要だという観点からも教育として一元化した方がすっきりしますし、また、そういう子供中心の政策というメッセージも発信できるのではないかというふうに感じております。
それから、幼児教育の無償化のことで、確かに今、優先順位としてどこかということでは、確かに就労支援で、女性の就業率の低さというところからいいますと、そこは優先的にはあると思いますけれども、やはり一部の人に手厚くというよりは、もう四歳は無償、要するに小学校の義務教育のような、ああいう無償のいい制度をできるだけ下の年齢まで下ろしてくるというのが目指すべき方向なんではないかなというふうに思っております。
○林久美子君 ありがとうございました。時間軸の関係と目指すべき方向性をしっかりとやっぱり踏まえながら我々も取り組んでいかなくてはいけないというふうに思います。
今、全ての子供にとっての最善の利益が何かということをきちっと踏まえることによって保育の質の改善、量の拡充につながるんだという御指摘をいただきました。そこで、吉田公述人にお聞かせをいただきたいと思います。
吉田公述人も、全ての子供にとって何が最善の利益なのかということが大事だとお話しいただきました。確かに政府のワーキングでもずっとそのことを原点にこの二年間弱議論をしてきたわけでございますけれども、そうした中で、第二次ベビーブームのお話もありましたけれども、私も第二次ベビーブーム世代で、子供は一人でございまして、やっぱり私たちの世代がもっと子供を産み育てていかないといけないなと思いながら伺っていたんですけれども。
これは私自身の経験として、実はまだ子供が小さいときに、私もちょっとフリーで仕事をしていたときに、認可外の保育園にしか入れなくて、しかもある年のまだ本当にちっちゃいときのクリスマスに、仕事がちょっと予定より長引いて迎えに行ったら子供が一人で待っていて、本当にもう何か親としてすごくつらい気持ちになったことがあるんですね。きっと親というのは、子供がまだちっちゃいとき、育っていく過程を本当は自分でそばで見たいし育てていきたいという思いはきっとみんなが持っていると思うんですね。
そうした意味では、やはり企業の理解ということが欠かせないんじゃないかなというような思いがあるんですけれども、この点についてお聞かせをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○公述人(吉田正幸君) 委員おっしゃるとおりだと思います。
一つ極端な話を申し上げますが、東京二十三区の認可保育所に入ると、乳児、ゼロ歳児の場合、アバウトに約月五十万円公費が掛かると言われております。極端な話というのは、じゃ、五十万円そのゼロ歳の子供の保育にコストを掛けるのであれば、その親に、お母さんに仕事を一年間休んで十万円毎月差し上げて、そして育児休業を出した企業に十万円差し上げて、それでも三十万円残るということなんです。毎月十万円というのは相当大きい金額ですから、これは極端なお話ですけれども。
そういう意味で、私は、やっぱりワーク・ライフ・バランスということは極めて重要だろうと思いますし、単に企業だけというよりは、もう社会全体がそういうものに対してもっともっと理解を持たなければいけない。社会全体が支えるというのは、もちろんこの消費税も含め、税金も含めですけれども、同時に、お金だけではなくて、心もみんなが支えなければいけないというふうに私は思っています。
一番肝要なのは子育ての社会化と、さっき時間がなくて申し上げませんでした。一部誤解があって、子供は社会が引き受けるからお母さん一生懸命働いてねというふうにとらえられている方もありますが、私は決してそうは思っていません。元々、昔の我が国農村社会は、子育ては地域社会化をされていたと思っています。もちろん、親が我が子を産んで、乳児の早い段階の愛着形成、アタッチメントというのはこれもう極めて重要でございますが、そのことをベースとしながらも、隣近所とか親戚とか、おじいちゃん、おばあちゃんとか、あるいは兄弟がたくさんいれば、年の離れた上の長女とか長男が一番下の小さい赤ちゃんの面倒を見るとか……

○林久美子君 おはようございます。民主党の林久美子でございます。 公述人の皆様、本当に今日はお忙しい中、そしてまた大変示唆に富んだ御意見をお聞かせをいただきまして、どうもありがとうございます。 それでは、早速ですけれども、時間も限られておりますので御質問をさせていただきたいと思います。 まず、池本公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。 今回の三法案について、待機児童の問題等々についても一定解決に向けた道が開かれるのではないかということで、御評価をいただいたような気がいたしております。その一方で、今回のこの三つの法案によって格差の是正というものも一つ進むのではないかなと私は考えておりまして、ちょっとこの点についてお伺いしたいんですが。今日もお話の中で、これまでは国の公的な支援がほぼなされてこなかった一定の基準を満たした保育所について、認可外の保育所についても、これから財政的な支援が行われると。それが量的な拡充につながっていくことも当然ありますでしょうし、一方で、これまでは児童福祉法第二十四条で保育に欠ける要件があったので、どうしても正規社員でフルタイムの方が最優先で、そういった方たちが認可の保育所に入りますと。そうなった後で、例えばパートの方とかはどうしても認可外のところになってしまう。でも、収入が多い方の方が保育の公費の負担も多くて、そうじゃない方は公費の負担が非常にない中で、先ほども十万円を超えるというお話もありましたけれども、そういうところを選ばざるを得ないという状況もあったのかなというふうに思っております。 そうした意味においては、基準を満たしたものについて公的な支援が行われるということは格差の是正、解消にもつながると考えますが、この点についての御評価をお聞かせいただけますでしょうか。
○公述人(池本美香君) 御質問ありがとうございます。 そこまできちんとレジュメに盛り込んでおりませんでしたけれども、本当に格差、要するに全ての子供にきちんと保育給付を出すという点では非常に公平な制度になったと思います。私自身も日ごろから、保育制度の方も認可と認可外の格差が余りに大きいということで、認可外は保育料も高く、施設も貧弱、保育士も担保されていないというところで、本当にくじに当たるか当たらないかというような非常に格差が大きいところで、そこを解消するということは一つ大きな前進だと思っております。 あともう一つ、格差の点でいいますと、育児休業の方も、結局取得して給付を受けているのは、フルタイムで育児休業もあってたくさん休める人に給付が支払われるということで、必ずしも公平な制度になっていないと思いますので、ここも含めて格差の是正ということはしっかり考えていく必要があるかと思います。 ただ、本当に認可外施設で結局就労を諦めてしまった知人も何人もおりますので、そういった人たちもきちんと働けて、結局、そういう所得の底上げをしていくという意味で非常に保育制度は重要な意味を持っていると思っております。 ありがとうございました。
○林久美子君 ありがとうございました。 では、続きまして菅家公述人にお伺いをさせていただきたいと思います。 連合の皆さんは、働くことを軸とする安心社会を目指していこうということで日ごろ御活動いただいておりまして、その実現に向けては、高齢者中心の社会保障を全世代支援型でしっかりと転換していくことが必要なんだと、同時に、制度をつくることと財政措置が重要であるというようなお考えで取り組んできていただいたかと思います。 そうした意味では、やはり仕事と家庭を両立する、ワーク・ライフ・バランスと、なかなか口で言うほどやるのは簡単ではないということを日々多くの方が痛感をしていらっしゃるかと思うんですが、今回の三法案によってこのワーク・ライフ・バランスにも一定、プラスの成果が見られるのではないかというふうに考えますけれども、この点について公述人の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(菅家功君) 委員御指摘のとおり、現在でもM字カーブの問題でありますとか、六割強の女性の労働者が働くことを諦めざるを得ない状況といったものがあるわけでありまして、そういう意味で、社会経済の持続可能性を担保するため、あるいは生産年齢人口の就業率を上げていくことは極めて重要だというふうに考えております。その最大の眼目は女性の社会参加だというふうに考えておりまして、そういう意味で、ワーク・ライフ・バランスというものが重要だというふうにも考えているところでございます。 今回の改革によりまして、そういった保育サービスなどの量的拡大などを行うことによりまして、女性の参画といったことを通じましてワーク・ライフ・バランス社会の実現にも貢献するというふうに考えているところでございます。
○林久美子君 つまり、今回の三法案によって非常に大きな問題となっている格差の是正が解消されていくであろう、あるいは日本が、この少子高齢化が進み、労働力としても、そして能力を発揮するということからも女性の社会への参画が望ましくなってきている世の中にあって、このワーク・ライフ・バランスにも大きな第一歩を踏み出すであろうということの御意見をお二人からいただけたかと思います。 続いて、また池本公述人にお伺いをさせていただきたいんですけれども、将来への課題ということをお示しをいただきました。グローバルな視点で見たときに、この教育という部分にどういうふうにコミットしながらきちっと進めていくかという話だったかと思います。 今回の三党合意の中でも、そしてこれまでの民主党の政策の中でも子ども家庭省と私たちは言ってまいりましたし、今回の三党合意では組織の在り方をしっかり考えようということで盛り込んでいただいたわけでございますけれども、これ、子ども家庭省なのか、どういう名前がいいのかというのは別として、働くということ、あるいは保育と教育というものをどういうふうに、どの辺に軸足を置いてつくっていくかという非常に難しい問題なんだと思います。 ヨーロッパの方でも、最初はそっちの家族政策側にあったものが教育側に動いてきていたりしますので、池本公述人はどういう形が現段階で、今の日本の現状を踏まえて望ましいと思っていらっしゃるのかというのをお聞かせいただきたいのと、もう一点、幼児教育の無償化のお話がありました。 これは、非常に私も理想的だとは思っています。しかしながら、先ほどの格差の話ともリンクするんですが、今これだけ待機児童がまだいる中で幼児教育無償化をしてしまうと、その保育所なり幼稚園に入れたところのお子さんは税の恩恵を受けて幼児教育、保育を受けることができる、しかしながら待機になって入れなかったところのお子さんは全くそういった機会を奪われてしまうということもあって、やはり最初に大事なのはこの待機児童の問題なのかなというふうに思っているんですけれども、この二点について御意見をお聞かせいただければと思います。
○公述人(池本美香君) 先ほど、所管の問題、御質問ありまして、確かにヨーロッパの場合は、まずは福祉の方に置いてあったものを教育の方に移してきたという経緯がございますけれども、日本はとにかく時間的な、もう待っている場合ではないということがまず一つで、いかに一番効率の良い制度でやるかといった場合に、教育として子供にいい質の教育を与えるかという観点で議論を整理した方が格差の問題も、今は親が働いているか働いていないかということで子供を分けるような形になっていますけれども、全ての子供に質の良い教育を与えるという観点で整理をした方が、結果として女性も外に出れるということになりますし質も向上するということで、私はニュージーランドとスウェーデンの保育政策について調べてまいりましたけれども、ニュージーランドなども、なぜ教育にしたかというと、保育の質と量を両方上げていかないと、結局高学歴の女性は、要するに家庭教育に熱心な人ほど外に出られないということですので、まず子供にいい教育を与えるんだというメッセージを社会として出していくことが非常に重要だという観点からも教育として一元化した方がすっきりしますし、また、そういう子供中心の政策というメッセージも発信できるのではないかというふうに感じております。 それから、幼児教育の無償化のことで、確かに今、優先順位としてどこかということでは、確かに就労支援で、女性の就業率の低さというところからいいますと、そこは優先的にはあると思いますけれども、やはり一部の人に手厚くというよりは、もう四歳は無償、要するに小学校の義務教育のような、ああいう無償のいい制度をできるだけ下の年齢まで下ろしてくるというのが目指すべき方向なんではないかなというふうに思っております。
○林久美子君 ありがとうございました。時間軸の関係と目指すべき方向性をしっかりとやっぱり踏まえながら我々も取り組んでいかなくてはいけないというふうに思います。 今、全ての子供にとっての最善の利益が何かということをきちっと踏まえることによって保育の質の改善、量の拡充につながるんだという御指摘をいただきました。そこで、吉田公述人にお聞かせをいただきたいと思います。 吉田公述人も、全ての子供にとって何が最善の利益なのかということが大事だとお話しいただきました。確かに政府のワーキングでもずっとそのことを原点にこの二年間弱議論をしてきたわけでございますけれども、そうした中で、第二次ベビーブームのお話もありましたけれども、私も第二次ベビーブーム世代で、子供は一人でございまして、やっぱり私たちの世代がもっと子供を産み育てていかないといけないなと思いながら伺っていたんですけれども。 これは私自身の経験として、実はまだ子供が小さいときに、私もちょっとフリーで仕事をしていたときに、認可外の保育園にしか入れなくて、しかもある年のまだ本当にちっちゃいときのクリスマスに、仕事がちょっと予定より長引いて迎えに行ったら子供が一人で待っていて、本当にもう何か親としてすごくつらい気持ちになったことがあるんですね。きっと親というのは、子供がまだちっちゃいとき、育っていく過程を本当は自分でそばで見たいし育てていきたいという思いはきっとみんなが持っていると思うんですね。 そうした意味では、やはり企業の理解ということが欠かせないんじゃないかなというような思いがあるんですけれども、この点についてお聞かせをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○公述人(吉田正幸君) 委員おっしゃるとおりだと思います。 一つ極端な話を申し上げますが、東京二十三区の認可保育所に入ると、乳児、ゼロ歳児の場合、アバウトに約月五十万円公費が掛かると言われております。極端な話というのは、じゃ、五十万円そのゼロ歳の子供の保育にコストを掛けるのであれば、その親に、お母さんに仕事を一年間休んで十万円毎月差し上げて、そして育児休業を出した企業に十万円差し上げて、それでも三十万円残るということなんです。毎月十万円というのは相当大きい金額ですから、これは極端なお話ですけれども。 そういう意味で、私は、やっぱりワーク・ライフ・バランスということは極めて重要だろうと思いますし、単に企業だけというよりは、もう社会全体がそういうものに対してもっともっと理解を持たなければいけない。社会全体が支えるというのは、もちろんこの消費税も含め、税金も含めですけれども、同時に、お金だけではなくて、心もみんなが支えなければいけないというふうに私は思っています。 一番肝要なのは子育ての社会化と、さっき時間がなくて申し上げませんでした。一部誤解があって、子供は社会が引き受けるからお母さん一生懸命働いてねというふうにとらえられている方もありますが、私は決してそうは思っていません。元々、昔の我が国農村社会は、子育ては地域社会化をされていたと思っています。もちろん、親が我が子を産んで、乳児の早い段階の愛着形成、アタッチメントというのはこれもう極めて重要でございますが、そのことをベースとしながらも、隣近所とか親戚とか、おじいちゃん、おばあちゃんとか、あるいは兄弟がたくさんいれば、年の離れた上の長女とか長男が一番下の小さい赤ちゃんの面倒を見るとか……